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中部地区医師会長 安里 哲好 先生

安里哲好先生
P R O F I L E
昭和52年 3月
山口大学医学部卒業
昭和52年 4月 東京女子医大研修、麻酔科・集中治療部助手
昭和55年 4月 国立東京第二病院(現国立東京医療センター)循環器科
昭和59年 3月 琉球大学医学部附属病院地域医療部 助手・講師
昭和63年 12月 ハートライフ病院勤務
平成3年 9月 同上副院長
平成11年 2月 同上理事長
平成12年 3月 同上院長兼務(平成19 年3 月まで)
平成16年 6月
(平成19年 5月まで)
琉球大学医学部臨床教授
学会
日本内科学会 指導医
日本循環器学会 専門医
日本透析医学会 専門医
日本医療マネージメント学会

メタボ・糖尿病・喫煙対策 の具体的実践を中部地区医師 会でやっていきたい。



Q1.中部地区医師会長就任おめでとうござい ます。会長に就任されてのご感想と今後の 抱負をお聞かせいただけますでしょうか。

私は久米島で生まれ、母の病気の療養もかね て、生後6 ヶ月で沖縄市諸見里に移り住み、そ の後大学に行くまで20 年間、そこで過ごしま した。昭和59 年3 月に帰省後、琉大病院とハ ートライフ病院で仕事をしていて、中部地区の 南の端にありますが、充分に恩返しができてい ないといつも感じていました。この度、56 年の 歴史がある中部地区医師会の会長になったこと を光栄に思います。微力ですが、歴代の会長や 会員が培ってきた医師会をちょっとでも良いか ら発展させていきたいと思います。

抱負としましては、1)47 万人の地域住民と 共に行動する医師会づくり 2)会員にとって 魅力ある医師会づくり 3)看護学校の看護教 育の充実と向上をめざし、そのための健全経営 4)メタボ・糖尿病・喫煙対策の具体的実践を 掲げています。実際に医師会を運営して、学校 医・学校検診、予防接種等も重要な課題である ことを強く感じています。地区医師会の運営は 初めてですので、理事や会員の意見を聞き、会 務運営を進めていきたいと思います。

Q2.中部地区の保健医療について

中部地区の医療は充実していると思います。歴史的にも、今日においても質の高い医療(救 急医療も含め)の提供と若き医師の教育を担っ てきた県立中部病院を中心とし、各研修指定病 院での合同カンファレンス、メディカル・コン トロール協議会での活動、医師会・保健所との 協力の下で、糖尿病の標準的治療の勉強会も積極的です。医療連携も比較的スムーズに行われ ていると思います。

今後の課題として、県立中部病院が経営的に も安定し、今の医療の質を維持・向上させるこ と、3 疾病(脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)の 統一した連携パスが患者さんを中心に運用でき ること、更に肥満・メタボ・喫煙対策等の予防 活動も大切と考えています。国家的課題ですが、 地域がら、広域基地災害対策は頭が痛いですね。

診療所の先生がちょっと忙しい感じがします。 中部地区は10 万人あたりの診療所数が少ないの もその一つでしょうが(保健医療計画より)。

Q3.就任して短期間ですが、印象やお困りに なったことは

理事会は理事者13 名、月に2 回の理事会で すが、中部地区医師会の会員は529 名、職員は 120 名で、事務局の協力の下に管理・運営がな されていることを強く感じています。当惑した ことは就任直後に、看護学校の借入金6 億円の 個人保証でした。10 月から個人保証を外し、 20 年間の長期支払いにしました。看護学校外 構工事・植栽の入札(本会の希望価格にどうも って行くか)時にも神経を使いました。

次に、政治活動ですね。慣れないもので、先 の県議会議員選挙では、医師連盟中部支部の各 執行委員の意見を聞き、8 人の県議立候補と3 時間かけて面談しました。協定書の趣旨説明、 立候補者の政策・志を聞き、推薦状、為書き、 支援金等、初めての経験でしたので大きなスト レスでした。後日、国会議員と県議に日本の医 療の問題・沖縄の医療の問題についてミニ・レ クチャーをしたり、ゴルフをしたりして、意見 交換をしています。ただ、未だ、政治家と一緒 の時は緊張します。11 月の衆議院選挙は、始 まりも結果も心配ですね。

Q4.今回、地区医師会長と県医師会常任理事 を兼務されておりますが、その点特にご苦 労なされていることがありますか。

なぜか、昨年度のほうが忙しかった感がしま す。日医生涯教育における中央での発表、全国 勤務医協議会の沖縄開催のマネージメント、沖 縄県保健医療計画の委員長、出来たばかりの日 医がん対策委員会、女性医師部会の立ち上げへ の関わり、会長講演(医師卒後研修における医 師会の関わり)の準備、県外出張、各種委員会 や福祉保健部との協議会の取りまとめ、特定健 診・保健指導の関わり、その他報告・印象記等 と、ずーっと走りつづけて来ました。今年度 は、県医師会の配慮をいただき、業務の範囲が 小さくなりましたが、9 月頃より段々増えてき て、県医師会と中部地区医師会にかける電話を いつも間違えています。

中部地区医師会長は多忙さより、むしろ責任 の重みですね。中部地区医師会は、会長が決め、 誰も文句を言わないよと言われましたが、各理 事が置かれている立場を踏まえて各々の意見を 主張し、結局はまとめ役かと思うと同時に、理 事会の課題一つ一つに目を配って、その後どう なったのか確認の必要があり、権限より責任で すね。県医師会と中部地区医師会との考えが一 致しない時は困惑しますね。中部地区医師会の 意見を強く主張しながらも、最終的には県医師 会理事会の中で方針が決まる構図になり、相対 する考えを内包しながら進んでいます。

Q5.座右の銘、ご趣味などがあればお教え願 います。

座右の銘と言うよりは、好きな言葉は「人生 は冒険」です。キャプテン・クックの「航海は 未知なるものへの探検・冒険だ」では無いが、 人生は小さな冒険の積み重ねと言う感じがしま す。趣味は5 〜 10 年毎に変わっていきますが、 今は読書です。数年前に、突然、右足の親指が 赤く脹れて痛くなり、動けなくなり、どこにも 行けなかった時から、本を読む習慣がつきまし た。本の中に、他人が10 何年間で経験した幾 多のことが、数時間で疑似体験が出来ます。読 書は小さな、そして大きな冒険ですね。

インタビューアー:広報委員 比嘉靖