副会長 小渡 敬
去る9 月20 日(土)16 : 00 より、ホテル日航 熊本にて標記協議会が開催されたので報告する。
米満熊本県医師会理事より、開会の挨拶があ った後、村上熊本県医師会副会長より、開会に 当たって挨拶があった。
三上日医常任理事より、「来年3 月に介護報 酬改定が迫っている。毎週2 〜 3 回検討を行っ ている。来月10 月初めから具体的に方針を纏 めていくことになる。今日、皆さんのご意見を 伺い、反映していきたい。来週火曜日に理事会 にて執行部としての介護報酬改定に向けてのス タンスを決定して、介護報酬分科会で主張して いきたい。」と挨拶があった。
以下、村上熊本県医師会副会長の進行により 協議が行われた。
(1)(2)(3)(4)は一括協議を行った。
<提案要旨>
平成20 年4 月、前倒しで実施された介護報 酬改定により、療養病床転換の受け皿として創 設された介護療養型老人保健施設の療養費は、 従来の介護療養病床より20 %低く設定された。
福岡県では、本年5 月転換意向調査を実施し たが、介護老人保健施設への転換希望は、約 3,400 床にとどまっている。療養費が思ったよ り低かったことにより、経営的に不安があるこ と、2012 年以降経過措置が不透明なこともあ り、転換に踏み切れない医療機関が多い。次期 介護報酬改定において、報酬の引き上げを要望 したい。
有床診療所の介護老人保健施設への転換につ いては、福岡県では療養病床と一般病床の一体 的な転換が可能となった。
各県の転換支援対策及び日医の見解をお伺いしたい
<提案要旨>
療養病床転換の目安となる医療費適正化計画 における転換目標数が全国でもまとまりつつあ り、厚労省が削減目標とする15 万床を大幅に 上回り、22 万床(約63 %)程度になることが 見込まれている。
一方で、療養病床再編の受け皿施設として平 成20 年5 月に介護療養型老人保健施設が創設 されたが、報道(メディファクス)によると6 月30 日現在、全国で3 施設のみしか指定を受 けていないとのことである。
これは、転換先である介護療養型老健の報酬 設定や転換支援策など、転換後の経営面に不安 が残るような制度設計がなされているからだと 考えられる。
平成21 年4 月には介護報酬改定を迎えるが、 介護療養型老健の報酬引き上げや、新たな転換 支援策など、日医の今後の方針と展望をご教示 願いたい。
療養病床の再編成では、利用者の状態に応じ て適切な施設の機能分担を推進させるために、 療養病床を削減し介護療養型老人保健施設への 転換を求めている。
都道府県においては、医療費適正化計画で平 成24 年度末における療養病床の病床数に関す る数値目標が設定され、それを受けた地域ケア体制整備構想で療養病床の「転換推進計画」が 作成された。
第4 期介護保険事業(平成21 〜 23 年度)を 迎えて、療養病床の再編に向けた支援事業が出 されているが、本県においては転換は進んでい ない。今後、アンケート調査や医療機関へのヒ アリングが行われて具体的な方向性が示される。
本県では、医療療養病床1,791 床、介護療養 病床1,369 床を、平成24 年度末の目標数は医 療療養病床1,560 床へと削減計画が出されたが、 介護療養型老人保健施設への転換希望はわずか である。受け皿が未整備のままでこの施策が施 行されると、大量の医療難民、介護難民が生ま れ、地域包括ケアシステムは崩壊してしまう。
中央では療養病床の削減見直しの動きも活発 化しているが、それに対する日医の見解及び貴 県における転換目標、転換の状況及び方向性な どのご意見をお伺いしたい。
療養病床を介護療養型老人保健施設に転換さ せるために、その基本施設サービス費が決まっ たが、現在の介護療養型医療施設と比べ、約 20 %ダウンしており、転換は極めて困難である。
さらに疑問点がある。
看護職員と介護職員の配置は6 : 1、4 : 1 で変更はないが、医師の配置が3 人から1 人+ αと少なくなる。
これが介護療養型老人保健施設に転換した場 合に、医療機関との併設であれば、当直医は医 療機関との兼任でよいことになっているが、一 定の医療が必要な高齢者が入所するため、夜間 に容態が悪化した場合の対応等で、医師一人で は不安であるとの声があがっている。
日医の見解と各県のご意見を伺いたい。
<各県回答>
いずれの県も、転換が進んでいないとの報告 であった。その原因として、本年4 月の介護報 酬改定により、介護療養型老人保健施設の療養 費が従来の介護療養病床より低く設定されたこ と、今後の方向性が不透明なことで転換に踏み 切れない医療機関が多いとの報告があった。次 期介護報酬改定では、引き上げをしていただく とともに、新たな転換支援策が必要であるとの 意見であった。
また、医療必要度の高い入所者もおり、医師 1 人では対応が難しいとの意見も出された。
大分県からは、「転換型老人保健施設に移り たいと言っても、県は了承したが市町村から断 られたケースがある。国、県、市町村の考え方 が違っている」との報告もあった。
沖縄県からも、転換が進んでおらず、多くの 医療施設が転換に不安を感じており、県と共同 で転換支援策についての説明会を実施した旨、 報告した。
<三上日医常任理事コメント>
厚労省は、38 万床から15 万床に減少すると していたが、これは根拠のない数字である。結 果的に22 万床に増えたのは当然の結果である と考えている。
医療区分1 であっても、医療の必要はあり、 医療区分2,3 は当然医療が必要である。日本医 師会では、12 年度末で医療療養16 万床、介護 療養15 万床、計41 万床が必要であると考えて いる。
介護報酬の改定については、あげる必要があ り、日本医師会では、来週の理事会で日医の考 え方を発表することにしている。
有床診療所の転換が困難となっていることに ついては、日医としては有効に活用すべき病床 であると考えており、要望書にも書き加えるこ とにしている。
東京都は、国の考え方に反して7,000 床増や すことを自治体が自ら決めている。
来年の介護報酬は、必ずあがると宮島老健局 長も言っているので、プラス5 〜 10 %の改定 を要求したい。医療区分1 でADL3 の方の885 点はあまりにもひどいので、改定では1,000 点への引き上げを要望していく。
(従来型老健と転換型の老健との整合性は、 県民にもわかりにくいが将来はどう考えている のかとの質問に対して)従来型と転換型のダブ ルスタンダードは、今後対応が難しくなるの で、将来はダブルスタンダードは解消し、全老 健をスタンダードでやる。
(5)(6)(7)(8)は一括協議を行った。
<提案要旨>
年々経営環境の厳しさが増す医療保険制度下 での医療界にあって、介護保険制度への積極的 な関わりは、より重要なものとなってきてい る。しかしながら、開業医と勤務医、あるいは 専門科別によってその関心の度合いには大きな 差が感じられる。多種の業者が参入している介 護保険制度の中で、その改定に際して医師会が 一定の発言権を持つためには、医師会員の同制 度への関心を高め、積極的な関わりが必要であ ると考えられる。
各県医師会の取り組みについてお聞きしたい。
<提案要旨>
介護保険制度において、医師の発言権を増す ための具体的な手段の一つに主治医意見書の記 載がある。しかしながら、認定審査会での主治 医意見書に対して、他の職種からはかなり低く 評価されているようである。特にケアマネージ メントの際に、有用性が乏しいとのケアマネジ ャーからの指摘も多い。医師にとっては、他に も居宅療養管理指導書をはじめとして、事務的 作業に費やす時間が多いため、主治医意見書へ の記載が雑になることも理解はできる。しかし 将来、主治医意見書不要論が出てこないとも限 らず、そうなると介護保険での医師の存在感の 低下につながりかねない。
各県医師会での啓発事業について現状をお聞 きしたい。
<提案要旨>
主治医が診療を休んで全てのサービス担当者 会議に出席するのは無理があり、ほとんどが文 書か電話で済ましているのが実情かと考える。
介護保険法の制度として主治医の参加は必須 になっているが、主治医が当該利用者に介護サ ービス提供事業をしている場合は別として、医 療保険での医療だけを行っている主治医が会議 に無報酬で出席する動機付けは難しい。
県によっては、出席の報酬は主治医意見書記 載料に既に含まれていると解釈している所も多 い。介護認定の初回申請、更新申請および区分 変更時におけるこの解釈は正しいと考えるが、 認定期間が1 年や2 年の場合には無理があるの ではないか。
医療と介護の連携をさらに進めるためにも、 主治医のボランティア的な働きでなく明確な報 酬規定を設け、主治医の意識を喚起し、参加を 誘導する必要があるのではないか。
医療保険と介護保険の整合性を持たせるため にも、医療保険の療養担当規則の中で、診療情 報提供料か居宅療養管理指導料のいずれかで請 求できるよう明記すべきと考える。
各県の考えをお伺いしたい。
<提案要旨>
平成12 年介護保険が導入されから8 年間経 過し、介護認定の判定精度は安定し、利用する サービス内容も周知されスムースな運営が確立 されてきたにもかかわらず、認定審査とケアプ ランの作成に発足当初と同様の多大なマンパワ ーと費用をかけていることに疑問がある。
特に費用については、本県においても、大分 市(人口469,338 人)由布市(人口36,740 人)で共同運営の場合であるが、認定件数19,741 件に対し2,384,052 千円と多額を要している。 全国ではこの数百倍の費用を要すると考える。
利用者の介護サービスを決定するまでにかか る業務の簡素化を図るため、以下を具体的に提 案したい。
上記のように、簡素化しても公平公正かつ適 正なサービスの提供は可能と考えるが、各県並 びに日医のご意見を拝聴したい。
<各県回答>
提案趣旨に賛成であるとの意見が多く出さ れた。
主治医意見書に関しては、各県とも毎年、 「主治医意見書に関する研修会」等を開催し会 員の関心を高める努力をしているが、参加する 医師が固定してきており、参加しない医師への 対応に苦慮している県もあった。
サービス担当者会議への参加については、各 県とも報酬が必要であるとの報告であった。沖 縄県からは、日医の対応に期待したいと意見を 述べた。
業務の簡素化については、各県とも簡素化に 賛成との報告があった。
<三上日医常任理事コメント>
主治医意見書の書き方が不十分で、ケアマネ ージャーがこれでは必要ないという話を聞いて いるが、患者の生活を支えるという趣旨で書い てもらいたい。
サービス担当者会議は、医師にとっては負担 であり、無報酬であるのは改善が必要だが、療 養担当規則に書いてしまうと、義務規定になっ てしまうので、これは絶対に避ける。
簡素化の問題は、ご提案のとおりであり、簡 素化するよう課長通知が出ている。
主治医意見書なしではどうかとの話がある。 看護協会からは、要支援には意見書はなくても いいようにとの申し入れがあるが、私たちとして は、医療なき介護はないと考えており、医師が 積極的に関わらなければいけないと考えている。
<提案要旨>
認知症高齢者の増加に伴い、その対応が求め られている。認知症対策として重要なのは、早 期発見・診断であるが、そのためにはかかりつ け医の役割が大きい。
本県では、平成20 年3 月に福岡県の委託を 受け、「かかりつけ医認知症対応力向上研修」 を実施した。今後は、かかりつけ医、認知症サ ポート医、認知症専門医療機関等との連携体制 を確立するため、認知症サポート医等を中心に 連絡協議会を立ち上げる予定になっている。
認知症診療における地域の連携体制等につい て、各県の取組み及び日医の見解をお伺いしたい。
<各県回答>
鹿児島県:県の委託を受け、昨年度から「かか りつけ医認知症対応力向上研修」を実施。研修 修了者は、“もの忘れ相談ができる医師”とし て、県ホームページに掲載している。
佐賀県:郡市医師会では、取り組みしている地 区はあるが、県医師会としては特段取り組みし ていない。
宮崎県:昨年度より、「認知症サポート医養成 研修」を開始、4 年間かけて20 名程度のサポー ト医を養成予定。事例検討会等を医師会主催で 行い、かかりつけ医がより積極的に連携してい く姿勢が臨まれる。
また、認知症の場合、中核症状よりも周辺症 状(BPSD)で家族や介護者が精神的に追い詰 められることが多い。BPSD の急性憎悪期の時に緊急入院時の緊急入院体制作りが必要であ り、BPSD 専門病棟が各地域に開設されるよ う財政的支援をお願いしたい。
沖縄県:昨年度より、県が主体で行っている 「認知症サポート医養成研修事業」に医師を毎 年2 名派遣していただいた後、県内で数回研修 会を行っている。今後は、離島地域での連携体 制の確立についても検討を進めていきたいと考 えている。
大分県:認知症サポート医の養成、かかりつけ 医の認知症対応力向上のための研修会をおこな っているが、それ以上は進んでいない。高齢者 の認知症は、急増しているが、専門医療機関で の診察の予約期間は長く、サポート医の活用が 少ないのが現状である。
長崎県:県委託で「認知症対策当総合支援事 業」を実施、「認知症サポート医養成研修」受 講者の派遣、「かかりつけ医認知症対応力向上 研修」の開催、普及パンフレットの作成等を実 施している。連絡協議会設置の具体的取組みは なく、今後検討が必要である。
熊本県:平成17 年度から認知症サポート医は 毎年派遣しており、その結果、県内全圏域に配 置されている。今後は、各圏域でサポート医が 中心となり研修会を開催予定。「かかりつけ医 認知症対応力向上研修」を毎年実施、修了者は 県のホームページに掲載予定である。
医療・保健・福祉の連携を重視しており、昨 年度「熊本県医療・保健・福祉連携学会」を立 ち上げて大会を開催した。今年度は、「認知症」 をテーマとして開催予定である。
<三上日医常任理事コメント>
認知症の患者は今後増えていき、300 〜 500 万人対象となってくるので、今後さらに推進し ていく必要がある。日医では、「認知症サポー ト医研修」を行っている。
地域ローカル支援センターで、認知症対応・ 連携について、円滑に進められるようにしてい きたい。東京23 区、特に板橋区においては取 り組みが進んでいる。うまく動いている県もあ るので参考になるのではないか。
<提案要旨>
訪問看護ステーンョンは原則として介護保険 サービスの1 つであるが、医療の必要が生じた 場合、特別指示書で医療保険を使って医療行為 を行うことが出来る。ターミナルケアや褥創処 置を除いては、サービスの利用期間が利用初日 より連続して月内2 週間までと定められてお り、例えば6 月1 日から2 日間利用したら、6 月15 日に再び必要性が発生しても利用できな い状況となる。
逆に5 月31 日から2 週間連続して利用する と、開始日が5 月という事で、6 月14 日から6 月分が使えるようになり、連続4 週間にわた り、サービスが使えることになっている。現状 の制度では予測不能な疾病の発生に対し、融通 のきかない、非常に不便なものになっていると 言わざるを得ない。在宅支援という観点からも 改善が望まれる。
各県及び日医のお考えをお聞きしたい。
<各県回答>
各県とも長崎県の意見に賛成であり、改善を 望むとの報告であった。
沖縄県からも、利用者が急性憎悪等により、 病状が悪化することは予測不能であり、一概に 医療行為の日程を決められるものでないと考え る、現場の状況に即した改善を期待したいと意 見を述べた。
<三上日医常任理事コメント>
ご提案のとおり、もっと柔軟な対応が必要で あると考える。介護保険と医療保険の同時改定 でないと難しいので、4 年後の対応となる。
<提案要旨>
医療必要度の高い患者が、自宅や老人ホームやグループホーム等の住まいに戻るのに従い、 無資格者が医療行為をなさざるを得ない状況が 発生しつつある。
例えば、痰吸引やインスリン皮下注は、本人 や家族ができない場合もあり、配置されている ナースや現制度下の訪問看護ステーンョンだけ では、365 日24 時間のニーズに追いつかない 状況である。医療訴訟も増えつつある状況で、 現場にその責任を押し付けるのは問題と考え る。今後どう対応してゆくべきかを伺いたい。
<各県回答>
医療職の介入は絶対に必要であるが、看護師 不足等により現実の対応は難しいとの意見が多 く出された。
現状での対応としては、一定の緩和が必要 (鹿児島県)、看護師養成が必要(佐賀県)、一 定の訓練を受けた介護福祉士などに資格を与え ることが現状では実効性が高い(宮崎県)、医 療行為の中でも在宅生活の支援的なものは役割 分担の見直しの検討が必要(大分県)、ある程 度訪問介護従事者がサポートしなくては困難な 状況(熊本県)等の意見が出された。
<三上日医常任理事コメント>
訪問看護ステーションでも、ヘルパーでもや らせて欲しいとの要望あるが、我々としては、 責任の所在の問題もあり難しい。
日医でもやってもよいとする意見とやらない 方がよいとの意見があるが、今のところやらな いとの方針である。
<提案要旨>
7 月4 日付のメディファクスに、広島県内の 老人保健施設において入所者の女性が何者か に暴行を受け負傷した疑いがあるとして警察が 当該施設を家宅捜索した旨の記事が掲載され ている。
介護保険は、各市町村等に相談や苦情受付の 窓口等が設置されているので、本来であれば、 上記事件等が発生した場合は、警察が直ぐに家 宅捜索を行うのではなく、苦情窓口等を持つ市 町村等が間に入り、両者の意見を聴取した上で 対応を判断する方が妥当であると考える。
介護施設における上記事件等の対応について は議論が十分になされておらず、介護現場は対 応に苦慮している。
このような事件、事故等が発生した際の対処 法について、日医の考えをお伺いしたい。
<各県回答>
苦情窓口の迅速な対応と苦情解決のためのシ ステムを整えることが必要(佐賀県)、緊急相 談に対応するシステム作りが必要(熊本県)と し、明らかな刑事事件については、警察介入は やむを得ないとの意見であった。
<三上日医常任理事コメント>
広島の家宅捜索については、残念であり、遺 憾であるといわざるを得ない。介護保険に関し ては、市町村等に窓口があるので、施設で問題 が起きたらまず市町村が入っていくべきである が、患者さんと介護従事者との信頼関係ができ ていないとこのような事態を招くので、各施設 での信頼関係の構築が必要である。
(13)(14)は一括協議を行った。
<提案要旨>
近年介護施設における介護職員不足が明らか になった。この数年の相次ぐ介護報酬引き下げ により、介護職員の待遇の改善が望めない中、 介護職員が専門職としてのプライド、やりがい を持てない状況となっている。
今通常国会において、「介護従事者等の人材 確保のための介護従事者等の処遇改善に関する 法律」が全会一致で可決・成立したが、数値目 標は示されず、具体的な施策も不透明である。
介護職員の処遇改善を図る施策について、ま たそのための財源確保について、日本医師会の考えをお伺いしたい。
コムスン事件の背景として介護労働力不足、 介護報酬が低く抑えられていることなどが取り ざたされた。一方で外国人労働者の介護現場へ の導入もなされようとしている。
根本的には、財源を確保した上で介護報酬を 引き上げ、それを介護者の給与引き上げにつな げるよう担保して、労働不足解消の一助にすべ きと考えるが、2009 年改定ではどのような主 張を行う予定か?日本医師会のご見解をお聞か せ下さい。
<三上日医常任理事コメント>
介護力が不足しているので、まだ充分でない。
報酬を上げないといけない。厚労省もプラス にすると約束しているが、どうなるかわからな い。調査が終わったとき、どのくらいが妥当な のか検討していきたい。全老健の給与は少しづ つ上がっているが、役員(理事者)の報酬は下 がっている。
介護士は、高いモチベーションを持って入っ てくるが、報酬があまりにも少ないとだんだん と意欲がなくなってくる、医療系看護報酬も福 祉系介護報酬もいずれもアップさせることを重 点的に頑張りたい。
協議を終了するに当たって、三上日医常任理 事より、次のとおりコメントがあった。
介護は、医療から見ると遠いように思われる が、非常に近いものである。勤務医の先生方の 参加が少ない状況にあり、増えるよう取り組む ことにしている。是非各県でも参加が増えるよ うな対応をお願いしたい。
また、麻生太郎自民党総裁候補が2,200 億円 削減を取りやめるとの報道があるが本当かとの フロアーからの質問に対し、三上日医常任理事 から、羽生田副会長が、自民党の事務総長が確 かに言ったと聞いていると説明があった。
印象記
副会長 小渡 敬
九州医師会連合会平成20 年度第1 回各種協議会が9 月20 日に熊本県で開催されました。今回 は医療保険対策協議会、介護保険対策協議会、地域医療対策協議会の3 協議会で行われました。 私は介護保険対策協議会に参加したので、会の状況について若干述べたいと思います。
今回は各県より14 の提案事項がありましたが、療養病床の再編や地域ケア体制整備構想に関す ることと、主治医意見書や介護認定審査会、さらに介護職員不足等についての議題がありました。 今回は福田総理の辞任に伴い衆議院の解散含みで政局が混乱している時期で、後期高齢者問題や 療養病床再編等の医療政策も不透明な状況にあり、議論にもあまり熱が入らなかったように思い ます。日医からは三上裕司常任理事が出席していましたが、来年の介護報酬改定についても明解 な説明を聞くことは出来ませんでした。いずれにしても介護職員不足が社会問題になっているた め、介護報酬の引き上げはあると思われますが、単純に介護報酬を引き上げると介護保険料の引 き上げに繋がるため、選挙を前にそれも出来ず、引き上げの方法に苦慮しているようです。療養 病床の再編については、介護療養型老人保健施設への転換は全国でもほとんど進んでおらず、各 県とも国の施策が変わるかどうか今後のなりゆきを見守っているようでした。