沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 11月号

九州医師会連合会平成20年度
第1回各種協議会

3.地域医療対策協議会

副会長 玉城 信光
常任理事 安里 哲好
理  事 玉井  修

開 会

熊本県医師会の八木剛志理事の司会により、 平成20 年度第1 回各種協議会地域医療対策協 議会が開かれた。

挨 拶

熊本県医師会の地後井泰弘副会長より、概ね 以下のとおり挨拶があった。

本日は、各県から15 題の協議事項が提案さ れている。活発なご協議をお願いしたい。

協 議

(1)特定健康審査の契約健診項目について (佐賀県)

<提案要旨>

佐賀県では、佐賀保険者協議会において、人 工透析が多いという疾病構造の特性から、全医 療保険者で特定健診の健診項目の血液検査基本 7 項目に、HbA1c、血清尿酸、血清クレアチニ ンの3 項目を追加し10 項目で実施することを 確認し、契約に向け健診体制など準備を進めて いた。

その後、政府管掌保険(佐賀社会保険事務 局)より、厚生労働省に確認したところ、政府 管掌保険の被扶養者については、集合契約で全 国レベルで展開する事業であるので標準の形態 で統一すべきとの指導があったとして、基本7 項目しか実施できないとの見解が示された。

佐賀県では、紆余曲折を経て、追加3 項目に ついては、佐賀県行政による「佐賀県糖尿病・ 人工透析予防対策研究事業」として実施するこ ととなった。

各県で地域特性を反映した特定健診の項目設 定や柔軟な運用ができるよう、特定健診のシス テムの変更を日医にお願いしたい。また、各県 において同様の事例はなかったかお伺いしたい。

(2)特定健診・特定保健指導の項目、単価 の統一について(長崎県)

<提案要旨>

特定健診・特定保健指導では、医療保険者、 実施機関とも複数の契約に参加することが可能 となっている。

しかし、実施機関では、かかりつけの患者さ んのことを考えて複数契約に参加すると、より 低い単価で健診等を行わなければならず、ま た、様々な項目・単価が存在することから事務 が煩雑となり混乱が生じる。

各地域においては従来からの経緯もあり困難 かもしれないが、市町国保も含めて全国的に同 一項目・同一単価(診療報酬点数表に基づく) にできないかと考える。

各県、日医のお考えをお聞きしたい。

協議事項(1)(2)は一括協議。

<各県回答>

各県ともに、特定健診を実施するに際し複数 の契約ルートが存在することで、健診項目や健 診単価が契約毎に異なる状況となり、健診実施 機関の事務作業は煩雑を極め現場は大変混乱し ていると報告あがり、今後、全国的に統一され た健診項目・健診単価を議論する必要があると 提案された。また、協議事項(1)で佐賀県が 提示した地域の特性に応じた追加健診項目を契 約に入れ込めないという状況は、福岡県、熊本 県、本県でも課題として浮上おり、地域特性を 反映した健診項目の設定等について、柔軟な運 用を可能とするシステム変更に向けた働きかけ を日医に期待したいとして意見がまとめられた。

○日医内田健夫常任理事コメント

(1)特定健康診査の契約健診項目について

保険者の負担で健診項目を上乗せするという ことはなかなか難しい話で、行政の援助が必要 と考える。全国的にみると、上乗せ健診を行政 との交渉で実施している市町村も多い。その辺 の交渉があるかと思う。保険者との契約となる と、集合契約や保険者間の調整等非常に難しい 問題が出てくると考える。将来的には予防健診 として一括した統一的なシステム、要するに全 国的にがん検診やその他の健診も含めた健診制 度の確立、それに関しての料金的な調整も行う ことができれば、国民にとっても実施機関にと っても非常に有益な制度になるのではないかと 思う。当面は特定健診に関しては行政と交渉し ていただき、行政の負担、責任で実施するとい う形をとらざるを得ないと思っている。

(2)特定健診・特定保健指導の項目、単価の統 一について

(1)で申し上げた通り、将来的には統一的 な形で取り組めれば一番良いと考えるが、現状 では過去の経緯により、特定健診の契約につい ても各市町村で内容にかなりの格差や違いがあ る。高いところを下げて統一的な料金設定をす るということは問題であり、今後の課題と考え る。来年度の契約に向けて日医で調査した結果 を情報提供しているので、その点をご参考にし ていただきたい。もう一つ重要なことは、事務 手数料(データ化や自己負担額の徴収等)とい う点でも非常にコストがかかっているというこ とがあり、料金の契約の上でも反映すべきこと となっているので、これを保険者との交渉の中 で上乗せするような形での交渉を是非進めてい ただきたい。

(3)特定健康診査と生活機能評価の同時実 施について(佐賀県)

<提案要旨>

佐賀県では、生活機能評価は、国保ベースの 契約では、特定健診の同時実施を基本としてい るが、介護保険者により対応がまちまちで、同 時実施と別途実施と混在している。一方、被用 者保険の被扶養者については、市町国保の枠組 みを利用して特定健診を実施することになって いるが、生活機能評価は特定健診とは別途実施 することになっている。

このことから、特定健診の受診者の実施項目の判別が非常に複雑になっており、特定健診実 施機関では受付、結果報告、請求などの対応が 煩雑になっている状況である。

各県において、生活機能評価はどのように対 応されているのか、お伺いしたい。

<各県回答>

宮崎県、大分県、長崎県では、同時実施と別 途実施が混在しており、鹿児島県では原則同時 実施として契約していると報告があった。また 福岡県では各市町村と各地区医師会が個別に契 約しており、熊本県では熊本県医師会と集合契 約する熊本市のみが同時実施として契約してい ると報告があった。

本県においては、当初受診者の利便性を考慮 し同時実施の契約が望ましいと考えていたが、 特定健診と生活機能評価の重複する健診項目に ついては、その項目に係る費用を特定健診単価 から差し引くというルールや、健診データを同 一ファイルに格納する場合としない場合とが保 険者毎に異なるという点等、事務作業が非常に 煩雑となる可能性が発生したことから、別途実 施として取り扱う方が望ましいとしていると報 告した。(沖縄県は各市町村と地区医師会また は個別の医療機関が直接契約している)

○日医内田健夫常任理事コメント

対象者の問題や費用負担の問題、また生活機 能評価についても電子化して一括して提出して ほしいという保険者もあるので、そういうとこ ろでの問題点が山積していると思っている。対 象者については、若干、厚労省で調整が進んで いるが、その他の問題についてはまだまだ整理 されていない。特定健診・特定保健指導につい ては、現在、厚労省の検討会がストップしてお り、現状の問題点を議論、整理する場が全く無 い。現在、保健局、衛生局、大臣、副大臣まで 働きかけ、実施機関において山積している問題 を検討する場を設けるよう強く要請していると ころである。来週、課長、室長を呼び、その点 について問題点をはっきりさせるということを 申している。年内での立ち上げということで話 を進めたいと考えている。

(4)特定健診・特定保健指導におけるデー タのXML ファイル化、および暗号処理化 はどの様に行われているか?(沖縄県)

<提案要旨>

特定健診・特定保健指導のデータ処理に関し ては、XML ファイル化および暗号化と、かな り高度な電子情報処理の知識と経験を要求され るものがあり、これが一般医療施設における健 診受託に大きなハードルとなっている。

沖縄県医師会では検査センターを持つ地区医 師会に上記業務を委託する形で何とかクリアし てきたが、離島医療施設等においては多大なコ スト負担を強いる結果となっており、今後大き な課題となっている。

特定健診の受診率を上げるため、健診受託施 設を拡げるためにも今後はデータ処理の簡便化 が必須であると考えている。

この様なデータ処理に関して各医師会ではど の様に取り組み、どの様な改善が今後必要かに ついてご協議願いたい。

<各県回答>

佐賀県を除く各県において、各健診実施機関 でデータ化の対応が困難な場合は管轄の地区医 師会が対応を図っており、管轄の地区医師会に て対応が困難な場合として、福岡県、熊本県で は県医師会がデータ化等の処理を行っていると 報告があった。佐賀県では、県医師会共同利用 施設(成人病予防センター)において既存シス テムの改修を行い、佐賀県内の特定健診実施機 関の96.1 %のデータ化の再委託を受けている と報告があった。また宮崎県では、各健診実施 機関にてデータ化を行っていただくことを目的 に日医総研を招聘した講習会も開催していると 報告があった。

○日医内田健夫常任理事コメント

厚労省のフリーソフトが迷走し、大変な迷惑が現場にかかっている。最新の情報では、第3 のフリーソフトを来年4 月に間に合わせる形で 国立保健医療科学院で公募し開発するとしてい る。既に電子化が義務付けられ健診も保健指導 もスタートしているところで、来年4 月から新 たなソフトで間に合わせるという話は本当にナ ンセンスな話である。既に電子化に対してかな りの投資をしているところをどうするのか、現 行のデータを新しいソフトに移せるのか等、 様々な問題がフリーソフトに対して出てきてい る。取り敢えずは、来年の4 月までは、少なく とも保健指導に関しては紙での報告と請求を認 めろと強く申し入れているところである。

(5)特定健診・特定保健指導受託医師会の 実態について(大分県)

<提案要旨>

従来の老健法下において行政から健診の委託 を受けていた医師会がそれを継続する形で今回 特定健診・特定保健指導(特健・特保)を市町 村国保から受託するケースは少なからずあると 思われる。

制度や契約関係が変わったことで健診内容の 設定(上乗せ健診の有無)、システム変更、単 価設定交渉、請求代行など医師会単位での業務 負担が大きくなっている。

現時点において判明した特健・特保事業受託 における問題点とその対応策、制度自体に対す る提言等現場からの情報として日本医師会及び 各県のご意見を伺いたい。

大分県では、16 郡市中、3 市(別府市、佐伯 氏、臼杵市)医師会が請求業務まで行っている。

協議事項(1)〜(4)と重複する事項として協 議は省略された。以下参考。

<各県回答>

福岡県:請求事務代行実施医師会9 医師会(内 受領代行実施医師会2 医師会)。

鹿児島県: 17 郡市医師会中3 郡市医師会が請 求事務代行実施。他医師会は併設の検査センタ ー等に業務委託。

佐賀県:県医師会共同利用施設にて事務代行 実施。県医師会共同利用施設にて事務代行 実施。

宮崎県:各郡市医師会との契約が整っている。

沖縄県: 7 郡市医師会中3 医師会が請求代行の 業務を請け負っている。

長崎県: 13 郡市中、7 郡市医師会が全部また は一部請求業務を行っている。

熊本県: 15 郡市医師会中6 郡市医師会及び県医 師会が請求業務を行い全県での実施体制を整備。

○日医内田健夫常任理事コメント

保険者協議会の調査では49.6 %が医師会に 受託ということである、今回日医が行った調査 によると、市町村国保と集合契約を行っている 郡市区医師会が478 医師会ということで約 70 %となっている。そのうち特定健診のみは 約5 割の352 医師会、特定健診・特定保健指導 の両方契約しているところが1 2 0 医師会 17.8 %という状況になっている。市町村国保と の取りまとめを都道府県医師会が行ったところ が17 都道府県ある。そのうちの特定健診・特 定保健指導の両方契約しているところが5 医師 会、特定健診のみが12 医師会となっている。 現状でも保健指導に関して契約が進んでいない ところもある。

(6)食生活改善指導担当者研修について (福岡県)

<提案要旨>

特定保健指導の実践者は、医師・保健師・管 理栄養士とされており、経過措置として平成 24 年度末までは、「一定の保健指導の実務経験 を有する看護師」も行うことができる。

しかし、平成20 年3 月10 日付け厚労省通知 によると、一定の保健指導の実務を有する看護 師とは、具体的には「産業保健の現場におい て、事業主又は医療保険者が雇用する看護師が 従業員の健康管理・指導等を行っている場合」 とのことである。

国が定める「食生活改善指導担当者研修(30時間)」を受講すれば、看護師・准看護師でも 食生活の改善指導及び3 メッツ以下の運動指導 を実施できることから、本会では、9 月から10 月にかけて本研修会を開催する予定である。

各県において、看護師及び准看護師による特 定保健指導の実施や食生活改善指導担当者研修 への対応についてお聞かせいただきたい。

又、日医の見解も伺いたい。

(7)特定保健指導の研修について(長崎県)

<提案要旨>

特定保健指導では、委託基準において、「特 定保健指導実施者は、国、地方公共団体、医療 保険者、日本医師会、日本看護協会、日本栄養 士会等が実施する一定の研修を修了しているこ とが望ましい」とされている。

各県での特定保健指導の研修会開催の実績、 予定についてお伺いしたい。また、日医では、 研修カリキュラムの作成、研修会の開催等の予 定はないか。

協議事項(6)(7)は一括協議。

<各県回答>

協議事項(6)の食生活改善指導担当者研修に ついては、各県ともに開催を予定していないと の回答であったが、宮崎県と熊本県では県栄養 士会が当研修を実施していることが報告された。

協議事項(7)の厚労省が定める特定健診・ 特定保健指導の研修については、福岡県、宮崎 県が昨年度に引き続き今年度の開催も予定して いると回答し、熊本県並びに本県では昨年度は 実施したが今年度の予定は無いとして回答し た。また、佐賀県では、県、希望する市町、県 医師会、県栄養士会、県看護協会等関係機関に より「佐賀保健指導支援ステーション」を設置 し、特定保健指導に携わる人材の育成・確保に 取り組んでいると報告があり、同ステーション において保健指導実施者向けの研修を予定して いると説明された。

○日医内田健夫常任理事コメント

日本医師会としては保健指導担当者の研修と いうものを実施する訳ではないが、今後、厚労 省との交渉となるが、TV 会議システムを利用し ての研修会やe ラーニングを活用した研修等も 認められるよう進めればと考えている。看護師、 准看護師の実務研修についても、実施機関の医 師がしっかり管理監督していただく上で看護師、 准看護師等を活用していただくということがで きればと思っている。これについては明確な規 定はないが、実際の現場ではそういう形での保 健指導も容認されると考えている。保険者で、 それを保健指導としてカウントするかどうかと いう判断も若干絡んでくるが、医師の管理監督 があり、しっかりとした指導内容が達成されて いれば、それは全く問題ないと考えている。

(8)特定保健指導の中途脱落者における自 己負担金の返還について(大分県)

<提案要旨>

特定保健指導受診者は初回面接時に自己負担 金を一括して支払うことになっている。しか し、特定保健指導機関から保険者への保健指導 料の初回面接時の請求額は、「動機づけ支援」8 割、「積極的支援」4 割で、残りは保健指導終 了後に請求することになっている。

以前から、途中脱退者がかなり出るのではな いかと懸念されているが、途中脱退者に対する 自己負担額の返還方法については明確ではない ようだ。特定保健指導機関は領収書を発行し、 その領収書が確定申告の医療費控除に使われる ことになっており、早めにルールを決めておか ないと混乱のもとになるのではないか。

日医の見解を各県のご意見を伺いたい。

<各県回答>

各県ともに、早急なルール設定を望む旨が意 見され、日医の対応を期待したいとした。

○日医内田健夫常任理事コメント

これについてもこれからいろいろと議論が出てくるところであると思っている。保健指導の 質が不満でやめてしまうということもあるし、 自己都合で中断するということも多いのではな いかと考える。その時に自己負担金を返還する かどうかということについてのルール作りにつ いても、厚労省、保険者協議会と話をし、早急 に詰めていきたいと考える。基本的には、自己 負担分に関しては中途脱落した場合でも返還し ないということを受診券の中に盛り込んでいた だければ一番すっきりした解決になるのではな いかと考える。これは今後の交渉ということも あるので、逐次経過を報告させていただければ と思う。

(9)医療連携体制の構築について(福岡県)

<提案要旨>

4 疾病5 事業の医療連携体制の構築が求められ ており、本県でも県行政と協議・調整を進めて いるところであるが、県行政の要請を受け、県 医師会より福岡市医師会に依頼し、福岡市医師 会方式の脳血管障害地域連携パスが構築された。

脳卒中など県内統一の連携パスの作成が理想 ではあるが、医療圏や拠点病院、地域の特性等 により地域毎の取り組みも進んでいる。

各県の取り組みの進捗状況についてご教示願 いたい。

(10)脳卒中の医療連携体制について (鹿児島県)

<提案要旨>

脳卒中の医療機関名の公表の仕方について、 各県の状況をお聞かせ下さい。

本県では、県全体で公表時期を設定し、その 時点までに医療連携機関名の一覧の作成が終了 した圏域分だけ公表する方法と、各圏域で、そ れぞれ医療連携機関名の一覧の作成が終了した ら、随時受付順に公表する方法の2 案のいずれ かを検討している。

ついては、各県ではどのような形で公表され ているか、以下の点について状況をお聞かせ下 さい。

1)県はどのような形で公表していますか。

2)公表について何か問題点はありますか。

3)公表されていない医療機関への配慮を何かしていますか。

4)公表後、どれくらい症例がありましたか。ま た、人口に対してどれくらいの割合になりま すか。

(11)地域連携パスの作成・運用状況及び意 見交換会の開催について(佐賀県)

<提案要旨>

医療法改正により、本年度より新たな医療計 画に疾病・事業毎の医療連携体制が盛り込まれ ることとなり、国策として医療連携パスの活用が 推進され、種々の疾病に導入される方向にある。

しかしながら、地域連携パスの活用推進にあ たっては、意見交換会(症例検討会)の開催、 地域連携パスの様式、運用の管理・見直し、地 域連携パスの情報管理・分析、診療報酬上の施 設基準の緩和など継続して運用するための整理 すべき課題がある。特に、今後の継続的な地域 連携パスの運用・管理には、行政において地域 連携パスセンター等の組織を設置する必要があ ると考えている。

このうち、意見交換会(症例検討会)の開催 については、7 月に県医師会主催で、脳卒中の 医療連携体制に係る急性期・回復期の関係医療 機関の施設紹介を中心とした研修会を開催した が、今後は、保健所を中心に、2 次保健医療毎 に開催頂く方向で検討を行っている。

各県における地域連携パスの作成・運用状況 及び意見交換会(症例検討会)の開催の仕方に ついて、ご参考までにお伺いしたい。

(12)4 疾病・6 事業にかかる医療提供体制 の構築について(宮崎県)

<提案要旨>

平成20年3 月に宮崎県医療計画が策定された。

4 疾病・6 事業にかかる医療提供体制の構 築、特にがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病 に関してだが、がんに対しては拠点病院という概念が運用されており、放射線治療や外来科学 療法、緩和ケアーチームなどの施設基準がある ようだが、宮崎県ではがん拠点病院に指定され た病院はすべて公的病院で民間病院は皆無であ る。しかしながら脳卒中と心筋梗塞に関しては 拠点病院という言葉は使用されておらず、民間 病院を含むいくつかの施設が医療提供病院とし て指定されている。反対に糖尿病に対しては従 来の医療提供体制と大きな変化はみられない。

他県の実情はいかがか?

また、本県はがん診療連携拠点病院と一部の 医療機関において、院内のがん登録が行われて いるが、地域がん登録に関して現在のところ検 討中であり、がん登録様式の県内標準化には至 っていない。各県では、共通のフォーマットの もとに登録されているのか?

協議事項(9)〜(12)は一括協議。

<各県回答>

地域連携パスについては、各県ともに積極的 な検討を行っていると報告があった。鹿児島県 では昨年度「脳卒中医療連携促進モデル事業」 を1 保健医療圏で構築し、その実績をもとに今 年度は他地区においても検討が開始されている と報告があった。佐賀県では昨年9 月に全県下 共通の「脳卒中・地域連携パス」を作成し本年 4 月から運用を開始していると報告があった。 長崎県では県央地域で脳卒中の地域連携クリテ ィカルパスの試験運用が開始されていると報告 があった。大分県、熊本県では、行政による医 療連携の構築に向けた協議会が設置され具体的 な検討が予定されていると報告があった。本県 では脳卒中に関しては7 地区医師会中4 地区が 連携パスの作成及び実施について検討を進めて いると報告した。また鹿児島県より、県内統一 された連携パスは理想であるが、限られた社会 資源の中で、如何に地域の特性に応じた医療連 携体制を構築するかも課題であると提示された。

脳卒中の医療機関名の公表については、各県 ともに、県の医療機関情報提供事業に係るホー ムページ上に公表していると報告があり、公表 について、現時点では特にクレーム等は寄せら れていないとの回答であった。しかし、佐賀 県、熊本県より、高次機能を有する大病院等へ 患者が集中することが今後懸念されると意見さ れた。公表後の症例数については各県ともに把 握していないと回答された。

佐賀県より提案された地域連携パスの意見交 換会(症例検討会)については、各県ともに現 時点では開催されていないとの回答であった。

がん診療の体制については、福岡県では、が ん診療拠点病院に2 医療機関(九大病院、九州 がんセンター)が指定され、地域がん診療連携 拠点病院に13 医療機関(私的病院3 病院)が 指定されていると報告があり、鹿児島県では、 がん診療連携拠点病院に鹿児島大学病院が指定 され、地域がん診療連携拠点病院に6 件(いず れも公的医療機関)が指定されていると報告が あった。佐賀県では、専門的ながん診療機能を 担う医療機関として、がん診療連携拠点病院 (公的医療機関)の他、望まれる医療機能を充 たす病院や診療所が指定されていると報告があ り、大分県では、がん診療連携拠点病院に大分 大学医学部附属病院が指定され、地域がん診療 拠点病院に別府医療センター、大分県立病院、 大分赤十字病院、大分県済生会日田病院が指定 されていると報告があった。長崎県では、がん 拠点病院は全て公的機関が指定されていると報 告があり、熊本県では、がん拠点病院は公的病 院8 か所が指定されていると報告があった。本 県については、がん診療連携拠点病院に琉球大 学医学部附属病院が指定され、地域がん診療連 携拠点病院に3 病院(県立中部病院、那覇市立 病院、北部地区医師会病院)が指定されている と報告した。

がん登録については、福岡県が、がん医療地 域連携研究会世話人会で検討中。鹿児島県が、平成4 年4 月から県下医療機関を対象に共通フ ォーマットで実施しているが、医療機関からの 報告数が少ない状況。佐賀県が、佐賀県総合保 健協会において県内で標準化された共通様式に より登録が行われている。大分県が、がん登録 の事業は実施されていない。長崎県が、がん登 録事業は昭和59 年から実施しており県内共通 のフォーマットが使用されている。とそれぞれ 報告があり、本県については、20 年前からが ん登録を行っているが、登録状況は良くないと して報告した。

○日医内田健夫常任理事コメント

取り組みが進んでいるところもあれば、これ からというところもあると思うが、再三、日本 医師会が申し上げてきたことは、地域の医療資 源というものが深い関わりを持つので、必ずし も厚労省が出したスキームに沿ってやる必要は なく、地域特性をしっかり加味した形で計画を 作っていただきたいということである。是非そ ういう形での取り組みを進めていただきたい。 医療機関の名称を医療計画に記載することに関 しては、4 疾病5 事業に関連する医療機関、例 えば脳卒中では、予防、急性期、回復期及び維 持期というところでそれぞれの医療計画の中に 記載されていく。都道府県医療審議会及び作業 部会並びに圏域連携会議といったようなところ でしっかり対応していただきたい。

がん診療拠点病院とがん登録については、こ の指定する会議に出せさせていただいている が、これが医療機関の格差、差別化に繋がるの ではないかということを会議の中でずっと申し 上げてきた。私が主張したのは、これはあくま でもがん診療の均霑化、地域で効率的ながん診 療体制を構築するということが最大の目的であ り、そのための取り組みとして進めていただき たいということをお願いしてきた。そういう趣 旨を是非活かしていただければと思う。

がん登録に関しては、まだ日本では遅れてい る。実績が無くこれからの課題である。今のが ん登録の水準では、まだ何も出来ないレベルで あり、今後がん登録を進めていくにあたって は、検診体制の問題、診療の質の評価等も含め た課題であると考えている。

(13)医師不足に対する各県医師会の対応に ついて(長崎県)

<提案要旨>

深刻な医師不足は、地域医療の崩壊の危機的 状況をもたらし、大きな社会問題となり、早急 な対応が求められている。これはいろいろの因 子が複雑に絡み合って招来されたもので、総論 的には短期・中期・長期に亘る国家レベルでの 適確な対応が必要である。しかし、各県医師会 としても看過できない問題で、県医師会レベル としてどのような対応が可能なのか、現況やお 考えをご教示下さい。また日医としてのお考え もお聞かせ下さい。

<各県回答>

各県ともに、医師不足が深刻な問題として取 り扱われており、ドクターバンク事業や女性医 師バンク事業を積極的に活用した取り組みや、 医師修学資金貸与事業や卒後臨床研修制度の見 直し及び充実等が図られていると報告があっ た。また鹿児島県より、今年度事業として新た に臨床研修医確保対策事業に取り組み、特に医 師不足が深刻な小児科・産科・麻酔科の専門研 修医を対象に年30 万円の奨励金を支給する事 業を実施する予定であることが報告された。

○日医内田健夫常任理事コメント

地方だけでなく都会でも医師不足は非常に深 刻な課題となっている。勤務医の不足、それも 診療科によって非常に偏在が激しい状況であ る。今回、過去最大数を280 人上回る医師の定 員増ということが具体的に上がっているが、地 域偏在、診療科偏在、更には病院における勤務 医の不足等に対してどう対応するかということ が一つ大きな課題である。日医が再三申し上げ ているが、これには財源確保が最大の条件であ る。これも強く厚労省並びに文科省に要求しているところである。今回の医師の定員増に関し ては、363 億円の予算を文科省が概算要求して いるということで、おそらくこれは医師不足と いう喫緊の課題を財務省でもかなり認識してい るということであり、ほとんど通るのではない かと思っている。また来年度の概算要求では、 医師確保対策として、ベテラン勤務医の経験活 用のための定年後の雇用経費や地域医師会での ドクターバンク事業の支援、勤務医に対する直 接的な支援ということで、救急診療件数に応じ た補助、あるいは産科医療機関に対する分娩件 数に応じた補助等、現場でご苦労されている先 生に直接当たるような手当がほとんどないとい うことで、こういう予算をつけてくれてという ことで要求している。これについても、一部、 厚労大臣から認めるという話が出ている。

その他、都道府県医師会と全国の病院の約半 数に医師不足の現状と課題と取り組みというこ とでアンケートを早々に実施させていただく予 定である。厚労省が10 月1 日に実態調査を行 うので、それに合わせた形で実施させていただ くことにしている。是非ご協力をお願いした い。またこれが集計された折には情報提供させ ていただきたいと考えている。

これまで日本医師会が行っている医師不足に 対する取り組みの一つとして女性医師バンクが あり、就業成立が91 件、再就業成立が99 件と いうことでかなり実績が上がっている。就業が 成立した91 件のうち、この1 年半の間でお辞 めになった先生が1 人しかいないということで 非常に定着率も良い。

(14)小児救急、特に深夜帯の取り組みにつ いて(鹿児島県)

<提案要旨>

小児救急電話相談事業(#8000)が全国的に 浸透しつつある。本県においても昨年8 月より 同事業がスタートし、相談件数は今年6 月末現 在で3,327 件、1 日平均で約10.5 回となってい る。しかし、本相談事業も午後7 時から午後11 時までの準夜帯のみであり、深夜帯についての 取り組みは行われていない。特に、小児科医不 足が深刻な本県では、小児救急の深夜帯におけ る取り組みが困難を極めている状況にある。九 州各県においても同様の問題を抱えているので はないかと思料するが、深夜帯における小児救 急の取り組みについてご教示いただきたい。

(15)小児救急電話相談事業の現状と問題点 (熊本県)

<提案要旨>

全国的には、まだ未実施の県もあるが、九州 では沖縄県を除く全県で開始された。

各県それぞれ独自の方法をとっている。それ なりの長所・短所があるだろうし、又、新たな 問題点も出ているかと思われる。現状をお示し いただき、今後の参考にしたいと思う。

  • (1)実施方法(県医師会との関わり、実施場 所など)
  • (2)相談員(人数、医師か看護師か)
  • (3)電話相談実施開始日及び対応時間
  • (4)1 日平均相談件数
  • (5)すぐに医療機関を受診するよう勧めた件 数の割合は
  • (6)今までに経験したトラブルとその対応
  • (7)将来、24 時間対応を予定していますか

協議事項(14)(15)は一括協議。

<各県回答>

本県を除き、各県において小児救急電話相談 事業が実施されており、その活動内容及び実績 について報告が行われた。詳細は以下の通り。

○福岡県

  • (1)24 時間小児科医が対応する県下4 カ所 の病院にて対応。病院間の連携、データ集 積は医師会。
  • (2)小児科医の管轄のもと専任の看護士が 対応。
  • (3)平成16 年度より開始。年間365 日。19 時〜 23 時。
  • (4)1 日平均49.5 件(平成19 年度)
  • (5)20.6 %(平成19 年度)
  • (6)電話機、パソコン等の故障。担当看護師 が当番日を忘れ1 日対応できなかった事例。
  • (7)現時点で考えていない。

○鹿児島県

  • (1)24 時間小児科医が対応する病院にて対 応。鹿児島市医師会へ委託。
  • (2)医師6 名、看護師7 名。
  • (3)平成19 年8 月20 日開始。年間365 日。
  • 19 時〜 23 時。
  • (4)1 日平均10.6 件
  • (5)7.8 %(平成19 年8 月20 日〜平成20 年 8 月19 日)
  • (6)特になし。
  • (7)未定。

○佐賀県

  • (1)当面は佐賀大学医学部附属病院にて対応。
  • (2)医師と看護師(8 〜 10 名)
  • (3)平成17 年2 月21 日開始。19 時〜 23 時。
  • (4)1 日平均2.5 件。
  • (5)26 %(平成19 年度)
  • (6)特になし。
  • (7)予定無し。

○宮崎県

  • (1)宮崎市郡医師会病院にて対応。
  • (2)協力小児科医24 名、相談看護師5 名。
  • (3)平成17 年11 月3 日開始。対応時間は 土・日・祝日・年末年始(12/29 〜 1/3) 19 時〜 23 時。
  • (4)1 日平均6.2 件。
  • (5)20 %
  • (6)協力小児科医が発送された携帯電話の電 源を入れておらず、別の協力小児科医の個 人の携帯で対応した。
  • (7)予定なし。

○大分県

  • (1)事業に参加している医療機関の当番制。
  • (2)参加医療機関数20(病院4、診療所16)
  • (3)平成15年12月開始。平日19時〜翌8時。 日曜・祝日9 時〜 17 時、19 時〜翌8 時。
  • (4)1 日平均8.4 件(平成19 年度)
  • (5)9.1 %
  • (6)保健担当者の誤入力により、その時間帯 に診察していない医療機関の情報を相談者 に伝えてしまったため、当該医療機関と相 談者との間でトラブルが発生した。誤入力 を防ぐ対策として、各保険者で2 者による 入力確認後、県医務課でも入力情報を確認 するようにした。
  • (7)平成15 年の開始以来、ほぼ24 時間365 日相談を受け付けている。

○長崎県

  • (1)東京のコールセンターで対応。
  • (2)基本的には看護師が対応。必要があれば 医師も対応。
  • (3)平成20 年6 月1 日開始。19 時〜翌8 時。
  • (4)1 日平均、6 月10.1 件、7 月13.4 件。
  • (5)6 月12.8 %、7 月13.4 %
  • (6)特になし。
  • (7)予定無し。

○熊本県

  • (1)熊本市医師会熊本地域医療センターにて 対応。熊本市医師会に委託。
  • (2)看護師6 名。必要に応じて小児科医が対 応(その機会は極めて少ない)。
  • (3)平成17 年6 月1 日開始。19 時〜 23 時。 平成20 年7 月1 日より19 時〜 24 時。看 護師2 名体制で対応。
  • (4)1 日平均、平成17 年13 件、平成18 年 15 件、平成19 年18 件。
  • (5)平成18 年13.5 %、平成19 年11.3 %。
  • 相談員の慣れにより減少傾向にある。
  • (6)特になし。相談員の勘違いによる欠勤1件。
  • (7)予定無し。(人員確保が困難なため)

○日医内田健夫常任理事コメント

小児救急# 8000 は、7 月31 日現在で44 都 道府県で実施されている。その中で朝まで相談 に対応している県は4 県となっている。現在、 通話中の多さ、深夜帯での相談対応、相談体制 の質の確保、小児科医の確保等の課題が出てき ている。

昨年、小児科医会から、# 8000 小児救急電 話相談機能構想策定委員会による課題解決のた めの全国センターの設置という提言があった。 日医としても昨年の11 月に全国センターの設 置は大切なことであるとして、厚労省に働きか けるということを言っている。21 年度の概算 要求では、小児救急電話相談事業の全国普及と 全国的な質の向上を図るためのセンターの設置 を補助する事業と、それと連携した成人に対す る電話相談事業の導入、全国的な質の向上も図 っていただき、また、それとは別に総務省、消 防庁では、21 年度予算について市民の救急相 談に応じる窓口の設置などを内容とする救急安 心センターモデル事業を要求しているというこ とで、モデル事業として全国で3 か所設置する ということを要求しているとのことである。

印象記

安里哲好

常任理事 安里 哲好

今回の地域医療対策協議会の協議事項は15 項目といつもの倍近くあり、かつ協議時間は2 時間 と短時間であった。協議事項(事項により一括して)について、提案県からの主旨説明と各県の 現状を述べて、日医の内田健夫常任理事のコメントを付け加えたのみで終わった。協議事項につ いてのディスカッションや内田常任理事のコメントに対して、質問する時間はなかった。協議事 項を絞るか、あるいはディスカッションを中心に進めるかのどちらかの選択が望まれた。

その中で、印象に残ったのは「脳卒中の医療連携体制について」であった。福岡県医師会が福 岡市医師会に依頼し、福岡市医師会方式の脳血管障害連携パスを構築、今後その他のブロックま たは医療圏に拡大する予定とのこと。2007 年6 月からスタートした脳卒中ワーキンググループで、 福岡市医師会独自の「脳梗塞地域連携パス」と関連の素晴らしい小冊子(タイトル:脳血管障害 の医療連携)が作成され(2008 年4 月)、当日配布された。10 月30 日に行う地域医療委員会にお いて、その小冊子を配布する予定である。一方、佐賀県医師会は全県下共通の脳卒中・地域連携 パスを作成し、本年度4 月1 日より開始しているとのこと。しかしながら、地域連携パスの活用 推進にあたっては、意見交換会(症例検討会)の開催、地域連携パスの様式、運用の管理・見直 し、地域連携パスの情報管理・分析等、整理すべき課題があり、特に、今後の継続的な地域連携 パスの運用には、行政において地域連携パスセンター等の組織を設置する必要があると述べてい た。全県下共通の脳卒中・地域連携パスの実践は素晴らしいことだが、継続にはコントロールタ ワーの設置が必要とされることを認識した。沖縄県で実施するに際し、個人的には、南部保健医 療圏を中心とした、共通の脳卒中・地域連携パスが作成され、それが全県下に拡大していけばと 切望している。

熊本市への訪問は今年2 回目となり、今回は協議会の前日に鹿児島空港から高速バスで熊本県 人吉市に行き下車した。そこから、くまがわ鉄道を利用して、九州中央山脈の麓にある終着駅の 湯前に行く予定であったが、午前中は雨だったので断念し、30 分後に高速バスを乗り換えて、八 代経由で熊本交通センターに着いた。その時はすでに雨も上がっていたので、熊本日航ホテルの 近くの熊本城を見学した。熊本城の天守閣や本丸御殿も素晴らしかったが、築城の造形の素晴らしさと堀等も含めた全体の広大さに圧倒された。熊本市は今、政令指定都市を目指しているとの こと。築城400 年以上の歴史の中で、熊本城をも凌駕するであろう九州の州都になれるか、千年 に一度のチャンス到来と、市民は胸を時めかしているようだ。

印象記

玉井修

理事 玉井 修

台風13 号が去った後のムッとする暑さの中、福岡経由で特急に乗り熊本にやっと着いたの は協議会開催10 分前であった。飛行機の中でずっと勉強していた特定健診の問題点につい て、限られた時間のなかで各県の意見を聞きつつ、本音の部分を探り、更に来年の特定健診 を円滑に進めるための手がかりを探る会議でもある。特定健診に関しては各県ともその複雑 な事務処理と朝令暮改のシステム変更に振り回され続けているという実態が判ってきた。や はりこの事態はどこの県でも同じであったのだ。ただし、陸続きの九州各県ではやや問題の 趣が違う部分があり、健診受託において2 重契約のような形で遂行されている事が現場に大 きな混乱を招いていいる県が多かった印象である。沖縄県では幸い沖縄県医師会が主体とな り集合契約を締結しているために大きな混乱には至っていない。しかし今後このような2 重 契約が沖縄県でも広がるような事態になれば、九州各県の様な混乱が生じる可能性はあり、 沖縄県でもごく一部の団体において沖縄県医師会以外の健診システムとの2 重契約が存在し ている事実は当会も掴んでおり、今後の動きには注意を要する。

特定健診の推進に関して何よりもネックとなっているのはXML ファイルへのデータ化と 暗号化の問題である事は各県とも意見が一致していた。各県とも独自の解決法でクリアして いたが、県医師会のレベルでこの様な作業を行っているところは毎日深夜までこのデータ処 理作業を職員に強いる形となり、コンピューター等ハード機器の設備投資も既に数千万レベ ルに達している医師会の報告もあった。より簡便で、扱いやすいデータ処理技術の開発に期 待したいところであるが、日医からの回答では様々な特定健診の問題点に関する検討は現在 政局の混乱により協議がストップしているとの事であり、新しいデータ処理システムの開発 は来年の4 月を目処に行われているとの事であった。とすると来年の4 月には、また新しい データ処理ソフトが配布されると言うことだろうか?今年のデータはそのままコンバートで きるのだろうか?新しいソフトも今回の様に様々なトラブルを連発するのだろうか?何より も本当に開発は4 月に間に合うのだろうか?特定健診に関わる混乱は来年も続きそうな暗澹 たる思いを持ちつつ、気を引き締めて取りかかる必要性を感じた会議ではあった。翌朝は朝 早起きして秋の熊本城を散策してきた。既に落ち葉が散り始めた散策路は人影もまばらであ った。荘厳な天守閣を見上げる事もほとんど無く、落ち葉積もる散策路をゆっくりと時間を かけて歩いてきた。