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沖縄県糖尿病週間(10/25)に寄せて

石川和夫

浦添総合病院糖尿病センター
石川 和夫

はじめに

食生活の欧米化により脂質摂取の増加および 自動車利用による運動不足が加わり、世界的に 糖尿病患者が増加しており、特に新興国で著し い増加を示しております。

従来は細小血管障害である神経障害、網膜 症、腎症を標的とした血糖管理が重要視されて きました。一方、糖尿病患者では心筋梗塞発症 リスクが約3 倍高いことが知れれており、糖尿 病の治療目標には「動脈硬化性疾患(虚血性心 疾患、脳血管障害、閉塞性動脈硬化症)」の発 症、進展の阻止に重点が置かれるようになって きております。

糖尿病の予防・治療には啓発活動が需要であ り、沖縄県糖尿病協会は毎年10 月末に糖尿病 週間を開催してまいりました。本年度は10 月 25 日にテーマ:「広げよう! ブルーサーク ル」、標語:「糖尿病、広げるサークル 高め る意識」で開催されます。(図1、図2)

糖尿病週間に因んで、糖尿病週間のイベン ト、糖尿病協会の活動について紹介します。

図1

図1 平成19 年糖尿病週間:栄養指導

図2

図2 平成19 年糖尿病週間:パネル展示

2.糖尿病週間

糖尿病週間は、糖尿病の予防、正しい知識の 普及などを推進するために、日本糖尿病協会が 1965 年に毎年11 月第2 週を糖尿病週間と定め ました。その期間は全国各地でさまざまな糖尿 病に関するセミナーやシンポジウムが開催され ます。全国糖尿病週間は、毎年11 月第2 週に 開催されていましたが、国連での「糖尿病の全 世界的脅威を認知する決議」可決後は、世界糖 尿病デーにあたる11 月14 日を含む週に変更さ れました。

3.ブルーサークル

国際糖尿病連合(IDF)は世界的な糖尿病キ ャンペーンを行なう際に必要なロゴを検討し、 ○(青い輪)が選ばれました。サークルは人類 が古くから使用してきた図案であり、生命、地 球、健康を表しています。さらに、閉じたサー クルは世界各地で活躍する糖尿病対策活動への 強い団結を示しています。また、国際連合の旗 は淡い青の地に世界地図とオリーブが描かれて おり、糖尿病対策に対する国際連合の支援を表 すブルーがロゴの色として選ばれました。乳癌 のピンクリボンはよく知られており、乳癌撲滅・早期検診の啓 蒙・推進のための世 界規模のキャンペー ンに使われておりま す。ブルーサークル が、ピンクリボンと 同様に糖尿病の予防、 治療、療養を喚起す る啓発運動の推進に 役立つことが期待さ れております。(図3)

図3

図3 世界糖尿病デー 日本公式ポスター

4.世界糖尿病デー

国連は、IDF が国連に要請してきた「糖尿病 の全世界的脅威を認知する決議」を2006 年12 月20 日に採択し、11 月14 日を「世界糖尿病 デー」に指定しました。なお、11 月14 日はイ ンスリンを発見したフレデリック・バンティン グの誕生日です。この決議をうけてIDF は国 連および世界各国でイベントを開催し、糖尿病 の啓発に積極的に取り組むこととなりました。 日本では日本糖尿病学会、日本糖尿病協会が世 界糖尿病デー実行委員会を組織し、糖尿病に対 する啓発活動としてブルーライトアップ、街頭 イベント、シンポジウム、血糖測定イベント、 ポスターコンクールなどが行なわれておりま す。昨年度は東京タワーがシンボルカラーのブ ルーにライトアップされ、印象的な光景を醸し 出し、多くの人々へ糖尿病デーをアピールしま した。世界各地ではエンパイア・ステート・ビ ル、シカゴシアーズタワー、ナイアガラの滝、 シドニー・オペラハウス、万里の長城、エッフ ェル塔、アテネアクロポリスの丘、ピサの斜 塔、アレキサンドリア図書館でブルーのライト アップが行われました。

沖縄県糖尿病協会でも世界糖尿病デーに因ん でブルーライトアップに協力できる施設を探し ております。

5.糖尿病協会の活動

糖尿病協会では各種講演会、シンポジウム等 の開催、ウォークラリーなど健康増進行事の開 催、小児糖尿サマーキャンプの開催などの活動 を行い、下記に記載したさまざまな糖尿病グッ ズを配布しております。

1.糖尿病健康手帳・・検査の結果、治療の経 過、合併症の状態などが記録できる手帳(ポ ケットサイズ、ハガキサイズ)

2.自己管理ノート・・血糖値自己測定 (SMBG)の結果を記録する複写式ノート (自己管理ノート:ポケットサイズ、自己管 理記録表: B5 サイズ)

3.ID カード(緊急連絡用カード)・・低血糖 昏睡や交通事故などの緊急時に、本人が糖尿 病であることや連絡先がわかるカード

4.英文カード(Diabetic Data Book)・・海 外での事故、病気の際に現地で適切な治療を 受けるため、海外渡航時に携帯するカード また、日本糖尿病協会では各施設の糖尿病

「友の会」への支援活動を展開しています。糖 尿病「友の会」は、糖尿病患者とその家族、医 師、看護師、栄養士などの医療スタッフで作ら れている会で、全国で約1,500 の病院や診療所 で活動を行っております。糖尿病患者および家 族の方・指導医・医療スタッフを含めて10 人 以上の会員により、「友の会」を立ち上げるこ とが可能です。日本糖尿病協会では、入会して いただいた医療従事者を「日糖協医療スタッ フ」として名簿登録しております。「友の会」 会員は、日本糖尿病協会およびその都道府県支 部が行う行事に参加できますし、月刊「糖尿病 ライフさかえ」の購読に際して割引制度があり ます。「さかえ」は糖尿病患者および糖尿病療 養に携わる医療従事者にもお勧めしたい糖尿病 専門雑誌です。「さかえ」2008 年度上半期の特 集記事を掲載します。

(1 月号)立ちくらみが多くなったら、ご用心!
(2月号)思った以上にあなどれない内臓脂肪のすべて
(3月号)糖尿病と骨─あなたの骨は大丈夫?
(4月号)妊娠と糖尿病―かわいい赤ちゃんを産もう!
(5月号)食後高血糖を克服しよう
(6月号)糖尿病と足病変
(7月号)糖尿病と認知症

6.おわりに

糖尿病を放置させず、治療を継続させるには 患者に動機づけを行う医療者の手腕も問われま す。医療者にとっては、クリニックでの指導・ 治療のみではなく、県民と接し、県民の求めて いる知識、情報はどのようなものであるか確認 する最もよい機会が糖尿病週間イベントではな いでしょうか。県民にとっては糖尿病週間イベ ントが、糖尿病発症前に生活習慣を見直す、糖 尿病に罹患した患者では糖尿病に対する知識に 誤りはないか再確認する良い機会になると思わ れます。また、医療者と患者とのコミュニケー ションが容易に行え、気軽に質問できる機会に なると思われます。

糖尿病週間講演会

  • 月日: 10 月25 日(土) 10 時〜 12 時
  • 場所:ホテルロイヤルオリオン2 階旭の間
  • 講師:鳥取県立中央病院 院長 武田 倬先生

糖尿病週間健康相談

  • 月日: 10 月25 日(土) 9 時〜 20 時
  • 場所:サンエー那覇メインプレス1 階 中央コート

健康相談・療養指導、食事相談・栄養 指導、健康測定(血圧、血糖、体脂肪) パネル展示、ビデオ放映および講演会な どを開催