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琉球大学医学部附属病院長
須加原 一博 先生

須加原一博先生
P R O F I L E
1975 年3 月
熊本大学医学部卒業、麻酔科入局(研修医)
1977 年4 月  熊本大学大学院医学研究科入学
1981 年3 月  熊本大学大学院医学研究科修了(医学博士取得)
1981 年9 月〜 1984 年7 月


米国コロラド大学National Jewish
Hospital and Research Center 呼吸器
内科部門客員研究員(Dr. RJ Mason)
1984 年11月  熊本大学医学部講師(麻酔学講座)
1991 年8 月〜 1992 年7 月



米国コロラド大学National Jewish
Center for Immunology and Respiratory
Medicine 呼吸器内科部門に文部省在
外研究員として派遣
1995 年6 月  熊本大学医学部助教授(麻酔学講座)
2000 年4 月


琉球大学医学部教授(麻酔科学講座)
琉球大学医学部附属病院集中治療部
部長併任
2003 年4 月



琉球大学医学部教授(生体制御医科学
講座麻酔科学分野に改組)
琉球大学医学部附属病院集中治療部
部長併任
2004 年4 月  琉球大学医学部附属病院副病院長
2008 年4 月

琉球大学医学部附属病院長
現在に至る。
【免許・認定ほか】
・麻酔科標榜医 ・麻酔指導医認定 ・臨床修練指導医 ・日本呼吸器学会専門医、
指導医・ 日本ペインクリニック学会認定医 ・日本蘇生学会蘇生法指導医認定 ・日本集中治療学会専門医

専門研修は、全国28 大学と 連携する琉大病院で幅広く、 高度な、かつ臨床研究を含め て研修してもらいたい。



Q1.この度は、琉球大学医学部附属病院長就 任おめでとうございます。現在の率直なご 感想をお聞かせください。

丁度、国立大学法人化および新臨床研修制度 が導入された平成16 年4 月から、瀧下前病院 長のもとで、4 年間副院長をさせて頂き、大学 病院経営の厳しさを身に沁みて感じておりまし たので、率直に言って、たいへん難しい時期に 重責を負うことになったと思いました。慌てて も仕方ないので、少し開き直ったような心境で 覚悟を決めました。県医師会の先生方には、こ れまで以上にご協力、ご支援を得て、大学病院 としての役割を果たせるように努力したいと考 えておりますので、よろしくお願いします。

Q2.今年度から沖縄県医師会の理事にも就任 され、公務も大変だろうと存じますが、今 後の抱負をお聞かせください。

沖縄県医師会の仕事は、これまで広報委員な どを経験させて頂きましたが、その時から会員 の皆さんがたいへん熱心かつ真剣にいろいろ議 論されるのを目にし、感心させられると同時 に、勉強にもなりました。理事会は、毎週開か れ2 時間以上議論されます。会長はじめ理事、 役員、事務方のactivity の高さに驚いておりま す。私は、大学病院以外の経験は全くないた め、参加していろいろ勉強させて頂いておりま す。忙しくてもできるだけ参加し、県医師会に何らかの積極的な貢献ができればと思っており ます。

Q3.琉球大学附属病院は開院から20 年を越え ました。大学附属病院としてさらなる飛躍 が期待されていますが、貴院の将来像につ いてご意見をお聞かせ下さい。

昭和47 年に保健学部附属病院、昭和56 年に 医学部附属病院に改組され、昭和59 年に現在 の上原へ移転しております。私が熊本大学から 赴任してきたのは、2000 年4 月の沖縄サミット の時です。当初、教授会等で熊本と違い大学病 院と関連病院との関係の薄さに少し驚きを感じ ました。現在、沖縄県内には県立南部医療セン ターなどすばらしい病院がたくさんあります。 しかし、大学病院との連携はまだ良いとは言え ません。これまで大学病院としても役割・使命 を充分果たしていないためだろうと認識してお ります。これからは、県内唯一の特定機能病院 として、県民の信頼を得られるように努力して いきたいと考えております。幸い7 月末に文部 科学省の「大学病院連携型高度医療人養成推進 事業」のプロジェクトも採択されました。この プロジェクトは、琉大病院が初期臨床研修、専 門研修、大学院教育の行える県内唯一の医療人 総合育成機関として、全国の大学および医療機 関と多極的に連携するとともに、琉球大学の医 療人GP と連携して臨床研究を行える、幅広い 質の高い専門医師の育成を目指したものです。 5 年のプロジェクトで基盤ができれば、将来的 には、南に開かれた東アジアの医療拠点病院と しても活躍できると確信しております。大学病 院の再開発の時期も近づいています。このプロ ジェクトを契機にして、再開発とともに大きく 飛躍することを期待しております。

Q4.琉球大学附属病院は県内唯一の大学附属 病院として県民から寄せられる期待が大き いと思います。県立病院を含めた他病院、 診療所との連携、離島医療に関してご意見 をお聞かせ下さい。

先ほどから大学としての使命・役割と言って おりますが、要するに、「県民から信頼される、県民のための大学病院」が、病院長としてのモ ットーです。2000 年に沖縄に赴任し、麻酔科 学教室の基本方針として、「離島医療支援」を 第一に掲げ、宮古島、八重山はもちろん、県内 殆どの病院支援を行ってきました。沖縄県に は、大学病院を中心としたRyuMIC グループ、 県立病院グループや群星グループのすばらしい 初期臨床研修プログラムの御陰で、初期臨床研 修医の数は全国1 位で、毎年150 名近く集まっ ております。しかし、専門研修になると、沖縄 に長く留まる医師が少なく、離島・僻地医療な どの問題が解決できておりません。先ほど述べ た「大学病院連携型高度医療人養成推進事業」 のプロジェクトにより、初期臨床研修は、地域 の医療機関でプライマリケアを中心に研修し、 専門研修は、全国28 大学と連携する琉大病院 で幅広く高度な、かつ臨床研究を含めて研修し てもらい、質の高い医療人として、離島を含め た地域医療機関へ循環するシステムを確立する ことが重要と考えております。それにより、琉 大病院で専門研修を受けてくれる医師が増える ことを期待しております。このプログラムは、 ハワイ大学をはじめとする海外の大学との連携 も視野に入れております。離島・僻地医療に従 事した医師には、海外研修の機会を与えるよう なインセンティブも考えられると思います。

Q5.新臨床研修制度が発足して以来、全国の 地方大学で医師不足が深刻化しています。 医師不足対策として厚労省は、医師養成数 増員の方針を示していますが、琉球大学と して医師養成並びに医師確保について、ど のようにお考えでしょうか。

医師確保については、先ほどの質問に対する 答えと重複しますが、医師養成数増員は、女性 医師の増加も視野に入れて考えれば、当然と思 います。しかし、現在の医師不足問題は、医師 数だけで解決出来る問題ではないと考えており ます。勤務医に対する手当が、いろいろな職種 の数を含め充分行われていないところに問題が あって、国が、これまで最も重要な「教育と医 療」に充分力を入れてこなかったためと考えて おります。医師数だけではなく、充分な勤務医支援体制を確立しない限り解決できないと考え ます。

Q6.最後に日頃の健康法やご趣味等について お聞かせください。

熊本の学生時代は、ラグビー(バックスのセ ンター)で、卒業後は医局対抗の野球(不動の 4 番バッター)でハッスルしておりましたが、 沖縄に来て、あまりスポーツをする機会があり ません。できるだけ週に1 回は、土曜あるいは 日曜に、近くでジョギングをするようにしてお りますが、出張などでなかなかできません。教 室は6 階にあり大学ではできるだけ階段を使う ように心がけております。学生にもエレベータ ー禁止と言っております。沖縄の青々とした空 と海を見ながら、ドライブしたり、食事したり してリフレッシュしております。

インタビューアー:広報委員 鈴木幹男

お知らせ

「骨と関節の日」

テーマ:骨粗鬆症と運動器不安定症

日本整形外科学会では、運動器に関する理解を深めてもらうために平成6 年2 月に10 月8 日を「骨と関節の日」と定めました。さらにWHO が「運動 器の10 年」世界運動を平成12 年(2000 年)から提唱したことを受け、「運 動器の10 年・骨と関節の日」として、運動器を健康に保つことの重要性を啓 蒙しています。

さて、今年のテーマは日本整形外科学会により「骨粗鬆症と運動器不安定 症」と決定されました。沖縄県整形外科医会では、「骨粗鬆症と運動器不安定 症」について諸先生に専門的な立場から10 月8 日にあわせて新聞紙上の座談 会で討論していただき、10 月5 日(日)には市民公開講座を下記の日程で予 定しております。また、講演後、医療相談や骨密度測定など無料で行うこと も企画しております。医療関係者各位の皆様には、「運動器の10 年・骨と関 節の日」の啓蒙活動に対してご協力をお願い申し上げます。

  • 市民公開講座
  • テーマ:骨粗鬆症と運動器不安定症
  • 日 時:平成20 年10 月5 日(日)14 : 00 〜 16 : 00
  • 場 所:沖縄県男女共同参画センター「てぃるる」