理事 平安 明
去る7 月2 日(水)、日本医師会3 階小講堂 において標記連絡協議会議が行われたので以下 のとおり報告する。
挨 拶
本日はお忙しいなかご出席いただき感謝申し 上げる。御存知のように年金問題から端を発し た社会保険庁の解体に伴い、地方医療協議会の 取扱いについては従来、各都道府県の社会保険 事務局が管轄であったが、平成20 年10 月より 全国を8 箇所のブロックに分けた地方厚生局が 管轄することになっている。これに伴って地方 社会保険医療協議会の総会も地方厚労省政局に 設置されることになる。地医協は中医協と相対 するもので20 名の委員からなり、支払側7 名、 診療側7 名、公益6 名の構成となっており、更 に診療側7 名のうち、5 名が医師会代表となっ ている。今回、地医協が地方厚生局のブロック 単位となることで、厚労省より新たに医科代表 委員となる先生方のご選出依頼があったところ である。本件の概要については1 月22 日(火) に開催された都道府県医師会長会議にて御報告 申し上げているが、今般都道府県医師会の社会 保険担当理事の先生方に対しても、その内容に ついて厚労省より説明いただく機会を設けさせ ていただいた。忌憚のない活発なご協議をお願 いしたい。
本日は急遽お集まりいただき大変恐縮であ る。本日は地方社会保険医療協議会委員の選出 についてご説明申し上げる。
この度、社会保険庁の解体に伴い、地方の社 会保険事務局が無くなることから、これまでの 指導監査業務を地方厚生局で行うことになった。ご存知のとおり、社会保険庁が取り扱って いるのものは年金の問題と医療保険の問題であ るが、医療保険のなかでも保険者として政管健 保の運営する部分と、保険医療機関の指定や指 導監査等を行う行政指導の部分があり、全体と しては3 つに分かれている。そのうちの行政指 導に係る部分について、この10 月から地方厚 生局に移管するものである。地方厚生局そのも のは全国に8 箇所しかなく、そのなかに設置さ れる地方社会医療協議会も8 つで構成すること が決められている。今回より医科代表である5 名の委員については、各ブロックに属する都道 府県の中から、それぞれ1 名の委員をご選出い ただく形となるが、できるだけ不公平感のない ようにご選出いただくようお願いしたい。もち ろんブロックに所属する県の数は、北海道のよ うに1 つしかないところから、関東のように非 常にたくさんの県が所属しているブロックと 様々であるが、その中でできるだけ満遍なくで きる形で選んでいただきたい。また総会という 本体部分とは別に、都道府県毎に部会を設置 し、従来の保険医療機関の指定等については部 会で審議を行うことを考えている。スムーズに 業務を行うためにも10 月から協議会を発足さ せなければいけないので、各ブロックのなかで 協議会の5 名の医科代表委員の先生方について ご検討いただき、出来るだけ早くお知らせいた だけるよう御協力をお願いしたい。
資料説明
厚労省医療指導監査室の田中課長補佐より資 料に基づき説明が行われた。
※詳細については資料1 〜 4 を参照。
・総会について
現行と平成20 年10 月以降の異なる部分は、 全国47 箇所に設置されていたものが厚生(支) 局8 箇所に設置となることだけである。その他 委員数、委員構成、審議事項については従来ど おりである。
・部会について
現行と平成20 年10 月以降の異なる部分は、 委員数にバラつきがあったものを8 名に統一し た。また委員構成が「本委員」だけで構成され ていたが、今回より「本委員及び臨時委員」の 構成となった。
部会の委員は総会の委員となるが、総会は各 ブロックから5 名の委員の選出となるため、ブ ロックに属している県が6 県ある場合には、1 県の部会委員は臨時委員となる。
・臨時委員について
総会で自身の都道府県の案件審議がある場合 には臨時委員が出席し、審議に参加することに なるが、審議の公平性を保つため、診療側だけ でなく支払側、公益の委員についても併せて出 席する。
・診療側(医師)委員構成について
診療側(医師)委員構成につい ては「案」ではなく、あくまでも 「例」であることにご留意いただ きたい。ちなみに保険医療機関の 数が多いところから本委員として 当てはめている。
・委員候補者を回答する都道府県 の選出について
今回、地方厚生(支)局のブロ ック単位に、候補者の御回答を頂 く都道府県医師会を決めていただ くが、必ずしも地方厚生(支)局 のある都道府県に限定してはいな い。例えば各ブロックで年度ごと に当番県をきめて活動していると 聞いているので、その幹事県が担 当するのも勿論よいと思うが、厚 生(支)局との調整を行う際の利 便性を考えた上で、その所在地と している。
・総会の本委員の選出について
総会の本委員5 名を選出すると きに、北海道は1 県であるため、 例外的に1 県から5 名の選出とな る。同じく四国についても4 県のうち、1 県か ら2 名の委員が選出されることになる。
但し、部会委員1 名であるため、北海道では 本委員ではあるが部会委員ではない先生方が4 名、四国では本委員ではあるが部会委員ではな い先生方が1 名出てくることになる。
・候補者の選出について
候補者の選出については7 月20 日頃を目処 に御報告いただきたい。
・御留意をお願いしたい事項について
本委員の選任状況等によっては、ご報告いた だいた候補者の任命について調整する場合があ る。審議上で公平性を保つために、同一の県か ら診療側、支払側の委員がセットで選出される ことが理想と考えているためである。
なお、診療側、支払側の委員が同一の県から 選出できない場合は、部会委員では無い本委員 を選出し、バランスを取ることを考えている。
質疑応答
Q1.委員の任期は何年か。また現在の地医協委員については70 歳以上は就任できない が、今回も年齢制限があるのか。
Q2.本委員と臨時委員の役割分担はどのよう になっているのか。
Q3.診療側と支払側、それぞれ同一の県から 本委員になることが望ましいとのことで あるが、同一でない場合は、選出につい て再調整となるのか。
(厚生労働省)
A1.任期について2 年となる。但し10 月の任 命については一斉改選をさける為、半数 の委員については任期が1 年となる。よっ て今回のみ任期1 年と2 年の委員となる。
A2.役割分担については資料1 の総会・部会 の【審議事項】をご確認いただきたい。
A3.診療側、支払側ともに同一の県から就任い ただくことが理想であるので、調整を行う ことになる。但し同一の県より選出が難しい場合には、部会委員ではない本委員の 選出等により調整を行う予定である。
Q4.本委員を選出するときには支払側を意識 せず選出してよいか。
Q5.任期が1 年の委員、2 年の委員が出てくる が、その選別はどのように行うのか。
(厚生労働省)
A4.委員の選出については診療側選出の後に 支払側の選出となるので、委員の選出に ついては特に意識しなくても良いと思う。
A5.現在の地方医療協議会委員に就任されて いる先生が9 月に辞任されて、10 月に再 度委員として就任される場合もあると考 える。その場合にはこれまでの委員就任 年数、残任期間等を考慮して、新しい委 員になられた際の任期(1 年・2 年)につ いて考慮して決めたい。
Q6.医師会の役員が委員として選出されるこ とになると思うが、役員改選等により委 員を途中交代となった場合は、同一の県 より代わりの委員を選出するのか。別の 県からの選出でもよいのか。
(厚生労働省)
A6.委員の途中交代については特に問題はな い。後任委員の任期は、前任委員の残任 期間となる。また委員の途中交代により 別の県より委員を選出した場合、本委員 は部会委員を兼任することになっている 為、その県には医科代表の部会委員がい ないことになり、バランスが崩れ不都合 が生じる。役員改選等により委員が途中 交代になった場合は後任の役員の方が就 任する方が良いと考える。
Q7.今回、厚生(支)局の所在地である県が 担当窓口となる案が提案されているが、 このまま窓口担当県となるのか。
Q8.委員就任後に70 歳になる場合において、委員の委嘱は可能か。
(厚生労働省)
A7.担当県については今回の「委員選出報告」 についてのみと考えている。
A8.委員就任時に69 歳以下であれば、特に問 題は無い。
Q9.本委員、臨時委員を各県によって決める のではなく、各県より本委員を1 名ずつ 選出してはどうか。日医は厚労省からの 提案をそのまま受け入れたのか。このま ま決めるのではなく、持ち帰って再検討 してみてはいかがか。
(厚生労働省)
A9.法律により地方社会保険医療協議会を厚 生局単位で置くことや支払側7 名、診療 側7 名、公益6 名とする委員定数につい ては既に決められている。ただ、それぞ れの県の意見を吸い上げるために臨時委 員となっている県からの案件がある場合 には、臨時委員が総会へ出席いただき、 意見を述べることや議決権を行使できる ようになっているので、御理解いただき たい。
(日本医師会)
A9.委員の定数問題については日医でも問題に している。北海道、四国ブロックからの 委員選出と、その他のブロックからの委 員選出については差があると感じ、何と か調整を試みたが、中医協の問題と同様、 我々の手の届かないところで決められ国 から強制的に持ってこられたものである。 社会保険庁が解体し変わっていく中で、 業務運営が円滑にいくよう我々もやむな く了承したところであるので、その辺のと ころをどうか御理解いただきたい。
Q10.臨時委員は年に2 回開催される協議会総 会に参加できるわけだが、例えば「病院 の株式問題」等、重要な案件が発生した場合に、これまでは各県の医療協議会で すぐに協議されたものがすぐに出来ない となると大きな問題だと思われる。この 制度についてもう一度検討していただけ ないか。
(厚生労働省)
A10.確かに総会は6 ヶ月に1 度開催しなけれ ばならないと決められており、最低でも 年間2 回は開催されるわけだが、重要な 案件が発生し総会で協議する必要がある 場合には、その都度総会を開催すること ができる。また当該県の臨時委員はもち ろん出席し発言することができる。
Q11.これまでは部会と総会が一県で行われる ので分かり易かった。今回各県から集ま って審議を行うわけだが、実質的な審議 ができるのか。形式的、形骸的なものに ならないか心配なところである。
Q12.臨時委員を選出した県については、自分 の県の案件が無い場合には総会に出席し ないわけだが、総会で協議された内容に ついては情報提供がされるのか。できれ ば事例等を紹介して会員へ注意喚起を行 うことを考えているが。
(厚生労働省)
A12.各都道府県には各地方厚生局事務所(支 所)が設置され、総会で協議された内容 については情報提供がされることになる が、総会で協議される事項については医 療機関の処分案件等が含まれるため、全 てがオープンに提供できるとは考えてい ない。
Q13.集団的個別指導の要件はレセプト1 件当 たりの点数が高額である医療機関上位 8 %、一般個別指導は集団的個別指導終 了2 ヵ年後において高点数が見受けられ る医療機関上位4 %となっており、本県 では300 件程度が対象となっている。大 阪府や社会保険事務局との間では、高点 数が必ずしも悪ではないと話し合ってい るが、10 月からの組織変更により、近畿 厚生局より全国的な基準で審査を行って もらいたいとの強い要望がある。現在、 本県では保険指導講習会を実施し、医療 機関を集め社保事務局と同等のレベルで 指導を行い、会員へ対し注意喚起を行っ ているが、指導大綱のなかに集団指導を 医師会が行えるよう盛り込むことができ ないか、もしくは各県とも様々な事情が あると思うので、従前どおりの個別指導 を盛り込むことができないか。
(日本医師会)
A13.厚労省は指導大綱に沿って指導を行うと いっているが、これまでも各県によって 多少なりにバラつきがあったと思う。10 月以降の組織再編後の指導については各 ブロック毎に厚生局との交渉を行ってい ただきたい。先生方の情熱にかかってい ると思う。これを文面に明記しようとす ると支払側、公益のそれぞれの立場があ るので難しくなるのではないか。また指 導大綱の見直しを求めることについては、 実際に検討された場合、更に厳しい内容 となることが目に見えているので、しば らくの間様子をみたいと思う。
Q14.各ブロック毎に協議するようにといわれ ても、非常に困る。 日医のスタンスをはっきり示していた だきたい。そうすれば我々もそれに従っ て取り組むことができるが、今回のよう に日医の考え方・態度が分からないと、 我々としても動くことができない。
(日本医師会)
A14.日医の考え、スタンスについてはこれか らもしっかり述べていきたいと考えてい る。しかしながら、常にそれが可能であ るとは限らない。その場その場の状況、 立場というものがあることを御理解いた だきたい。
印象記
理事 平安 明
平成20 年7 月2 日上記連絡協議会が日本医師会館で開催された。
社会保険庁が年金問題に端を発する不祥事等で今年9 月をもって解体することとなり、10 月以降は保険医療機関の指導監督等は地方厚生局が担うこととなる。現在、地方社会保険事 務局の下にある地方社会保険医療協議会(地医協)が、新たに地方厚生局の下に置かれるこ とになるため、その説明と協議会委員の選出のお願いを主な目的とした会議であった。
地医協には総会と部会があり、総会の審議事項は、保険医療機関等の指定や指定の取り消 し、保険医等の登録の取消の審議、そして部会は保険医療機関等の指定の審議を行っており、 どちらも重要な案件が審議されている。現行は地方社会保険事務局に設置されているので、 各都道府県に総会と部会が設けられている。今年10 月からは、部会は地方厚生局都道府県事 務所(仮称)に設置されるので47 か所で変わらないが、総会は全国に8 か所の地方厚生局に 設置され、47 か所が8 か所に減ってしまうことになる。
社保庁の解体に伴ってのことで、減ることはやむを得ないのかもしれないが、全国8 ブロ ックの厚生局はそれぞれ所管する都府県の数にばらつきがあり、含まれる医療機関の数も 様々である。しかし、全てのブロックで総会の構成委員の数は統一されている(支払い側7 名、診療側7 名、公益6 名の計20 名)。診療側委員の構成は全7 名中、医科5 名、歯科1 名、 薬科1 名となっており、医師会からは診療側の委員5 名を選出するわけだが、北海道厚生局 と四国厚生支局以外のブロックでは、全ての都府県からは委員を出せないことになる。当県 が属する九州厚生局には8 県が含まれ、5 県から医師代表委員を選出し、3 県からは臨時委員 として選出され、総会には審議事項(保険医療機関の取消し事案等)の当該県として係わる 以外は参加できないことになる。
このような大事なことが、簡単な連絡事項のように淡々と厚労省から説明されたため、質 疑応答では複数県の理事から不満の声があがった。保険医療機関の指定取り消し等審議され る事項の重要さを考えれば当然であろう。日医の宝住副会長は「法律で決まってしまった。 反対できなかった。」と述べ、理解を求めたが、国に問題があってシステムが変わるにもかか わらず、地方にとって不安を残すような改変はあまり気持ちのいいものではない。今後の医 療行政において、医療機関が不利益を被らないように、慎重に成り行きを見ていく必要があ ると感じた。