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旅行嫌いから旅行好きへ

久手堅憲史

沖縄セントラル病院 久手堅 憲史

私は、いつの頃からか旅行好きになりまし た。以前は出不精で休日はどこにも出かけず、 家で寝ている方が好きというタイプでした。大 学病院にいるころは、旅行イコール学会出張で あり、発表を抱えての出張で全く楽しめる雰囲 気はなく、直前ぎりぎりまで発表の準備をし て、重い気分で出発し、厳しい質問に怯えなが ら発表し、そそくさと帰ってくるという嫌な思 い出しかありませんでした。転機が訪れたのは、 大学での勤務を離れ一般病院で働くようになっ てからです。一般病院で働くようになると、製 薬会社主催の県外への講演会へのお誘いという 機会がでてきました。これも、最初はお断りし ていたのですが、あるときたまたま出かけてみ ると、とても素晴らしいものであることに気付 いたのでした。まず講演を聞くだけであるので 準備が一切必要ない、講演会で勉強になる、一 流ホテルに宿泊できる、講演後の懇親会で沖縄 では出会うことのない美味しい料理を味わうこ とができる、講演会は土曜日の夕方であるの で、翌日日曜日の午前中は一流ホテルの部屋で のんびりとくつろぐことができる、などの理由 です。そしてそのうち、講演会が終わった後の 日程はフリーなので、小旅行を計画することが できることにも気がつきました。それからは、 講演会のお誘いがある度に小旅行に出かけるよ うになりました。主に福岡へ行く機会が多かっ たので、いろいろな日程を組んでみました。土 曜日の午後に沖縄を出発して、夕方の講演会に 出席して、福岡に宿泊したあと、日曜日は一日 フリーなことになります。日曜日の夜までに沖 縄に帰ることができれば、月曜日の診療に差し 支えません。まず、新幹線で下関に行ってみま した。巌流島や火の山展望台、新鮮で安いふぐ 料理での昼食など、下関はお気に入りで5、6 回は行きました。それから、湯布院・大宰府・ 二日市温泉・柳川・北九州など福岡近郊を次々 と回ってみました。次はどこにいこうか?計画 を立てるのがとても楽しく趣味になりました。 時刻表や地図を眺めていると新たな計画が次々 と浮かんできました。極めつけは、金沢日帰り 旅行です。福岡を日曜日の7 時半の便で小松空 港に出発します。小松空港からバスに乗り継ぎ お昼頃に金沢に着きます。そこは楽しい雰囲気 の場所で、金沢駅の中でも十分楽しめました。 彩り鮮やかな和菓子、金箔、焼き物、などお土 産にことかかない場所でした。さらに、小高い 山にバスで登り、金沢市内を見下ろし、解禁直 後のかに市場でのにぎやかさ、回転すしでの安 くて美味しいタラバがに、さらに兼六園の一部 を見学するなど楽しい事に事欠かない場所でし た。それから、16 時半の小松−沖縄便に間に合 わせるためにそそくさと空港に向かいます(残 念ながらこの路線は数年前に廃止されてしまい ました)。また、宮崎日帰り旅行も計画しまし た。こちらも、日曜日の早朝の便で福岡から宮 崎に飛びます。10 時ころには宮崎に到着しま す。それから、サンマリンスタジアムに向かい ます。2 時半ころまで、お弁当を食べながら、 巨人軍キャンプを見学します。それからバスで 鹿児島空港に向かいます(宮崎−沖縄には直行 便がありませんので鹿児島経由で帰沖します)。 宮崎と鹿児島の間の高速バスが停車するサービ スエリアでは焼き立ての“地鶏”を売っていま す。これが、とてもジューシーで歯ごたえがあ りたまらなく美味しい!のです。

旅行好きはだんだんエスカレートし、国内の 日帰り旅行ではもの足りなくなってきました。 また製薬会社主催の県外への講演会へのお誘い という機会も、昨今の諸事情から著しく減って しまいました。そこで、仕事が休める範囲で海 外へ小旅行をしてみることにしました。2 泊3 日もしくは3 泊4 日です。行ける範囲はアジア に限られてきます。ソウル、釜山、北京、香港 (マカオ、シンセン)などを次々訪れてみました。どこもよい印象で治安もよく、特に中国は 物価が安く買い物の割安感があって満足しまし た。行ったことのない場所にどんどん行ってみ たいと思うようになりました。行った土地でそ れぞれ学ぶことが多いからです。その国の歴 史、文化や伝統、風土、人々の暮らしなど、ま さに見ると聞くとは大違いです。ガイドブック を熟読していても、実際その地を踏んでみると 印象が違うように思いした。

現在、最も行きたい場所が上海です。経済発 展が著しく、世界で最も活気があるという上海 を訪れたいと以前から計画しているのですが、 なかなか縁がなく、2 年間前には家族総勢13 人 の旅行を計画し、見積もりまでさせていたの が、流れてしまい、昨年12 月にも休みをとっ て申し込んでいたのですが、参加人数が集まら なくてキャンセルになってしまいました。その おかげで、代わりにタイのバンコクに行き、バ ンコクの素晴らしさを知ることができたのです が。今の目標としては、なんとしても年内にも 上海旅行を実現させたいと考えています。

香港島ビクトリアピークの山頂から高層ビル街とビクトリ ア・ハーバーを見下ろしている写真です。香港島は平地は 少ないが人口は多いため市街区の人口密度は極めて高く、 数十階を有する高層ビルが多数あるのだそうです。