沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 7月号

琉球大学医学部長 佐藤 良也 先生

佐藤良也先生
P R O F I L E
1975年

新潟大学大学院医学研究科博士課程修了。
医学博士
1981年 琉球大学医学部助教授
1987年 琉球大学医学部教授
1993年 琉球大学医学部附属地域医療センター主事併任
1997年 琉球大学医学部附属ラジオアイソトープ実験施設長併任
2001年 琉球大学遺伝子実験センター長併任
2002年 学長特別補佐就任
2003年 琉球大学研究推進戦略室長併任
2005年 琉球大学「亜熱帯島嶼科学」超域研究推進機構長併任
2008年 琉球大学医学部長就任
○専門分野は寄生虫学、免疫学。
○国の学術審議会専門委員、日本学術会議研究連絡委員、日本学術振興会科学研究費審査委員、沖縄県の科学技術会議委員などを歴任。

医育機関として社会 のニーズに柔軟に対応 した医学教育の実施、 使命感の強い医師を育 てる教育を行いたい。



Q1. 医学部長となられて、今の率直な感想を お聞かせ下さい。

率直にいって、大変な責任を担うことになっ てしまったと自覚しています。国立大学の法人 化後、大学を取り巻く環境は一段と厳しさを増 しておりますうえに、医学・医療も社会的に多 くの課題を抱えていると思います。自分ひとり で何かができると思わず、ひたすら様々な意見 を集約して課題解決に向かっていきたいと考え ています。第一線の医療を支える医師会会員の 皆様にも、ご意見、ご指導、ご協力をお願いす る次第です。

Q2. 医学部は定員の増加など、医師不足に対 応する人材育成の期待を背負っていると思 われますが、その事に関してどう思われま すか?

沖縄県と調整のうえ、2 名の地域枠の学生定 員増を決定し、6 月には文部科学省に申請の予 定です。ただ離島県沖縄という地域環境をふま えると、2 名増が妥当かどうかは議論のあると ころです。医学部としての独自の方策を考える 必要もあると感じています。現在、3 年次への 学士特別編入学生5 名を受け入れております が、この5 名の学生を地域枠に特化することな どを考えているところです。また、離島地域へ の医師の定着をどのように図っていくかという 課題もあります。医育機関としての大学、医師 会、行政が一体となった検討が必要と思います。

医師不足には、特定の専門分野への医師の偏 りという問題もあるかと思います。制度的な問 題、過重な医療環境など、困難な課題が多くあ りますが、医育機関として社会のニーズに柔軟に対応した医学教育の実施、使命感の強い医師 を育てる教育などができたら良いと考えている ところです。

Q3. 新臨床研修医制度により、大学における 人材の確保が非常に難しくなっていると聞 いていますが、実際に如何でしょうか?

新しい臨床研究制度が始まって以来、本学で 研修をうける卒業生が激減していることは事実 です。先日の九州地区の医学部長・附属病院長 会議でもこのことが話題になっておりました が、他大学もほぼ同じような状況です。ただ、 最近、卒業生が母校に戻りつつある傾向である という意見を多く聞きましたので、今後に期待 しています。本学医学部も設置から30 年近く たち、同窓会組織も充実してきましたので、同 窓会とも連携しつつ基本的には学生が母校に対 して愛着心が持てるよう学生との交流に気を配 っていきたいと考えています。

Q4. 臨床、研究、人材育成の課題の中、今後 琉球大学医学部の展望や抱負などをお聞か せ下さい。

予算や定員の削減、過重な評価主義の導入な ど、法人化の様々な課題が解決されないままに かなり蓄積されてしまっていると感じています。 自助努力だけでは解決できない問題も多いので すが、閉塞感にばかり捉われている訳にいきま せん。就任にあたって、カラ元気でもいいから、 とにかく元気を出そうと呼びかけました。

臨床面では地域住民の不利益にならないよ う、臨床機能の維持、向上に努めることが重要 です。研究面では高水準の特色のある研究課題 を発展させ、そこに外部資金を呼び込むことを 心がけたいと思います。教育・人材育成の面で は、卒業生の国家試験合格率をもっと上げるこ と、また希望をもって医学部の将来を託すにふ さわしい生え抜きの人材を育てることを意識し たいと考えます。

Q5. 県医師会に対するご要望がございました らお聞かせ下さい。

私が赴任した当時(医学部創設期)には、県 医師会との表立った交流はまだなかったように 記憶しております。その後、卒業生の臨床研修 などで活発な協力関係が築かれており、また先 日、宮城信雄会長をお訪ねさせていただいた際 にも積極的な協力関係について頼もしいご意見 を頂くことができました。聞くところによると、 県医師会会員の4 割近くを本学医学部出身者が 占めるようになっているとのことであります。 双方にとってプラスとなるような実効性のある 協力関係を築いていくことができればと思いま す。MD でない私には、この点での直接的なお 役には立ちませんが、附属病院長の須加原教授 を介して積極的に係っていきたいと思います。

Q6. 日頃の健康法、ご趣味等をお聞かせ下さい。

以前は海釣りなどをやっていましたが、今は そんな時間がありません。郷里が北海道なの で、年に2、3 回帰郷して、熊よけの鈴をぶら 下げて渓流釣りを楽しむ程度です。家庭菜園を 始めましたが、これも忙しくなると手が届か ず、気がつくと植えたハンダマが黄色い花をた くさん咲かせていて、腹に収まるよりも花瓶に 収まるようなことがしばしばです。人間ドック で高脂血症を指摘されたのを機会に、ウォーキ ングをしていましたが、やはり今は時間がない のでやっていません。メタボリンピック代表選 手のような体型になってきたことを気にしてい るところです。

インタビューアー:広報委員 玉井修