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平成19 年度都道府県医師会情報
システム担当理事連絡協議会

理事 今山 裕康

来る3 月6 日(木)、日本医師会館に於いて 開催された標記協議会について、以下のとおり 報告する。

会長挨拶

昨今の医療界の状況は大変厳しく、政府また は行政が打ち出す医療政策は、社会保障全体の 財政的な要素が非常に強くなっている。そうし た中で、レセプトオンライン化、社会保障カー ドの導入、ナショナルデータベースやEHR 構 想等、医療分野に置けるIT 化が、管理医療、 医療費抑制の手段として半ば強引に押し進めら れようとしている。IT 化の中身や周辺整備が なおざりにされた各施策が本格稼働すれば、医 療現場は混乱に陥り、医療の安全確保や良質な 医療の提供に支障を来す結果となる。

本会では、医療分野におけるIT 化は、安全 で効率的な医療提供体制を実現するための手段 であり、医療と患者に貢献するIT 化であって こそ、推進する価値があると位置づけている。 その中で、医師会総合情報ネットワークの構築 を推進し、特に平成19 年度は、理論構築から 実践へと具体的な施策を講じてきた。詳細につ いては、本日の協議会においてご説明申し上げ る。よろしくお願いしたい。

趣旨説明

中川日本医師会常任理事より、去る2 月16 日(土)17 日(日)に開催した平成19 年度日 本医師会医療情報システム協議会においては、 各都道府県医師会の担当理事のご協力により、 約450 名のご参加をいただき成功裏に終えるこ とができた旨挨拶があり、議事が進められた。

議事内容

(1)IT 化推進検討委員会答申について

IT 化推進検討委員会の大橋克洋委員長より、 IT 化推進検討委員会における検討結果の概要 について、概ね以下のとおり報告があった。

TV 会議システムについては、継続して検討並 びに実証実験を行い、以前と比べ大幅に改良を 加え実用に耐えられるものになってきた。会議 費の節約や能率アップにつながるので、是非全 国の医師会でも使用いただきたい。またTV 会議 を機能させるためには、事前にメーリングリスト 等で問題点の把握やディスカッションを行い、 TV 会議で協議内容を審議し、最終的には顔を会 わせた会議で最終決済等をすることが良い形と 考える。テレビ会議に慣れるとテレビ会議だけ で済ますことも可能になると考える。強いて問 題点を挙げると、我々もまだまだテレビ会議に 慣れていないため会議途中に割り込んで発言す ることが難しいという点や、技術的なスタッフ が常に必要になるという点が挙げられる。

日医標準レセプトソフトについては、ORCA の普及は上向きになってきているが、今後、サ ポートに関する地域差、サポート業者の技術レ ベルの平準化を進める必要があると考える。サ ポート業者の技術の差によって、同じ日レセで もユーザーの満足度が変わってくる。また、電 子カルテが普及しつつあり、電子カルテのメー カーとして日レセと連携したいという要望が大 きい。今後は電子カルテとの接続をさらに改善 していきたい。

診療データの交換については、これからは医 療分野においてもIT の活用は避けては通れず、 現時点で非常に問題になっている特定健診やレ セプトのオンライン化だけでなく、今後はむし ろ、社会からの要望によってIT を活用せざる を得ない状況が起きてくると考えられる。IT の活用については静観する時期ではなく積極的 に利用する方向で考えなければならない。この ような状況を鑑み、診療データの交換として、 医療機関同士のやり取りや受診者とのやりと り、データの共有等について検討を行った。ま たその際のデータの内容について、交換のため の標準的な規約等についてかなり熱心に検討を 行った。

個人が管理する健康医療情報については、現 在世界的にみると、医療情報、健康情報の取り 扱いは3 つある。一つ目は電子カルテ。二つ目 はEHR(統合された電子医療健康情報)。三つ 目は健康手帳のようなもの。これはPHR(個 人の統合された健康医療情報)と呼ばれてお り、現在、世界的にもEHR からPHR の方向に 向かっている。当委員会においても、医療情報 の管理やセキュリティについて検証を行った結 果、個人の健康情報は個人が管理する方が一番 便利ではないかという結論となった。その方 が、自分の健康維持や増進にも関心を持つとい うメリットがあるのではないかと思う。

(2)レセプト情報等の活用に関する検討会 報告について

日医総研の上野主任研究員より、厚労省に設 置されている「医療サービスの質の向上等のた めのレセプト情報等の活用に関する検討会」に ついて、概ね以下のとおり報告があった。

当検討会を一言でいうと、ナショナルデータ ベースをどのように活用していくかを検討する 会となっている。高齢者の医療の確保に関する 法律の中で、厚労省にデータを集めるという動 きがあり、患者の情報を集めるにあたり、どの ような注意が必要か、またどのようにデータを 集めるのか、このようなことが検討されている 会となっている。

当委員会には、日本医師会の中川常任理事、 日医総研の尾崎弁護士が参加しており、これま でに5 回開催された。

当検討会において、患者のデータを集めるに 当たっては「患者等の個人情報は削除するものの、医療費適正化計画の作成等のために分析上 必要な情報として病名等慎重に取り扱うべき情 報が含まれているデータを国が収集するに当た っては、収集・分析によるメリットと収集され ることによるデメリットを比較した場合に、メ リットが上回っている必要がある」としてお り、「特定の患者の識別は不要であるが、生活 習慣病対策による生活習慣病の発症・重症化の 防止効果の評価等を行うためには、同一人物の 時系列分析が必要である。なお、その際には、 ハッシュ関数の活用等技術的な対応について十 分に検討し、特定個人が識別される形でデータ が収集されることのないよう十分留意すべきこ とは言うまでもない」と方針付けているが、技 術的に具体的な手法についてはこれからの検討 としている。

集まったデータは、我が国の疾病や医療費、 医療提供に関する状況を正確に把握・分析する ことになっているが、ここで問題となるのがレ セプト病名に関する問題である。現実に、レセ プト電算でレセプトを出していたとしても、そ の内3 割は和風病名となっている。それを無理 矢理コード化した病名で整理する等のことにつ いては、この委員会でこのようなことを検討す ることは逸脱であるとか喧々諤々されている。 病名で分析することによって、いろいろな間違 いが起きる可能性がある。このようなことか ら、当検討会においても「レセプトは診療報酬 明細書であり、診療報酬の請求のために作成さ れているものであることから、分析等、新たな 視点から見た場合には、現行のレセプトデータ においては、分析できる内容が限定される場合 もあることに留意する必要があり、分析内容が 限定される場合について一定の整理をしておく ことも必要である」としている。

一番重要な点が、第三者への提供という部分 である。検討会においては「利用目的として公 益性の確保が必要」としている。これは言い換 えると、民間での営利目的の利用は厳に禁ずる ということであり、日医(中川常任理事)が強 く主張した結果である。

(3)レセプトオンライン請求について

日医総研の上野主任研究員より、レセプトオ ンライン請求について、概ね以下のとおり報告 があった。

厚生労働省保険局より、2 月20 日に「レセプ トのオンライン請求に係るセキュリティに関す るガイドライン」等の改定について通知が出さ れている。これは、オンライン請求の際の大き な問題となっていた、請求専用のパソコンを用 意しなければならないという点と、請求に使え るネットワーク回線を提供できる企業が1 社だ けであったという点等が改正されたものとなっ ている。日本医師会の立場としては、オンライ ン請求の義務化に関しては明確に反対しつつ、 手上げされる医療機関が、一部の独占企業の通 信回線を利用せざるを得ない状況を打開するた めに今回のガイドラインの改定に至っている。

請求専用のPC が必要だという物理的な問題 としては、医療機関及び薬局の責任において 「医療情報システムの安全管理に関するガイドラ イン第2 版第6.4 章」に準じて送信機器を設置 し運用することと記されている。この“ガイドラ インに準じて”という言葉が今回のガイドライ ンの改定でしきりに多用されている。この中で は、鍵のかかる部屋にコンピュータを置きなさい というようなことが記載されている。そのような ことを参考にしてやるということである。

伝送経路の気密性の確保については、NTT の回線を使用することになっていたが、これも “ガイドラインに準じて”ということになって いる。ガイドラインには、インターネットを使 って請求をしても良いが、IP-sec とIKE とい う規格を使用するよう明記されている。

(4)日医標準レセプトソフトについて

日医総研の上野主任研究員より、日医標準レ セプトソフト並びにORCA プロジェクトの現 状について、概ね以下のとおり報告があった。

日医標準レセプトソフト(以下「日レセ」)の稼働状況については、2 月時点で導入医療機 関数が5,453 施設となっており、全国のレセコ ンを使っている医療機関に占めるシェアが 5.4 %になった。これは、日本のレセコン業界 の中で第4 位グループとなる。2011 年までに1 万ユーザーを目標としており、今年度の目標は 4,464 件であったが、2 ヶ月以上前倒しで目標 を達成している。また、昨年1 年間に買い替え られたレセコンに占める日レセの導入割合が、 約11 %で9 件に1 件という状況になっている。 導入施設の状況については、有床診療所が477 施設、100 床未満が123 施設、200 床未満が56 施設、200 床以上が16 施設、最大で400 床の 急性期病院で導入されている。

普及の活動については、地域医師会の主催で 全国約100 カ所においてIT フェアを開催した。 来年度も継続して進めたいと考えている。

認定事業所の数は163 となっているが、課題 として、地域によるサポートの体制の格差や、 事業所の質の平準化が挙げられている。

開発の近況としては、2008 年4 月の改正に 対応した4 月1 日からの窓口会計の開発を進め ている。次いで3 月下旬には記載要領が出され るので、レセプトを印刷するためのプログラム を4 月中に提供したいと考えている。

レセコンとしてかなり良い評価をいただいて きているが、今後も電子カルテ等との接続強化 や、年間1,000 件近い要望をいただいているの で、人員の許す限りそれらの要望に対応してい きたいと考えている。

2 月より、日医独自のデータベースを作ると いうことで、日レセを活用した“定点調査研究 事業”に参加していただく医療機関の募集を開 始している。当事業は、完全な手あげによる参 加という形式をとっており、患者個人が特定で きる情報をレセコンの中で削除した後、データ を送信していただくという仕組みとなってい る。これまで5 つの診療所と1 つの病院におい てパイロットスタディを行い検討、改善を行っ てきた。今年度中には参加された医療機関に対 して経営等に役立つフィードバックのレポート を個別にお返ししたいと考えている。

当事業において、どのようなアウトカムを出 すかということについては、慣例的尺度として 厚労省が提供してきた様々な情報と対比するた めのデータ、独自尺度として医師の業務量等を 表現するデータ、特殊尺度として診療科ごとに よく使われる診療のパターンや病名のパターン 等をカテゴリ化して分析するということを考え ている。このような結果を、参加された医療機 関毎に、ご自身の医療機関の位置づけというも のが分かるような資料が出せたらと考えている。

オンライン請求への日レセの対応については、 日レセはレセコンの中の情報をフロッピーに書 き出せばそのままレセプト電算となり、また、 そのデータを転送すればオンライン請求が可能 となる仕組みを持っている。日医はオンライン 請求の義務化には反対しているが、作っている レセコンは時代に適合したものを作っている。

再来年から、レセコンを使っている先生はオ ンライン請求をするという省令が出されている が、レセプト電算に対応したフロッピーが出せ るレセコンで様子をみていただければと思う。 レセプト電算のフロッピーが出せるという仕組 みを持っていれば、オンライン請求するか、郵 送で請求するかの違いになるので、買い替えの 際にはレセプト電算対応という形を選んでいた だければと思う。

オンライン請求の回線については、支払基金 のホームページ上で、対応可能なメーカーが掲 載されているので、各医療機関の状況に応じて ご判断いただきたい。

その他として、データを送付する際の責任の 分岐点はどこにあるのかということであるが、 紙のレセプトと同様に、データが支払基金のサ ーバに届くまでは医療機関の責任ということに なっている。ただ、支払基金のサーバに届くま での間に関しては、回線を提供する業者と医療 機関の契約に基づき、提供する業者が責任を負 うという整理がされているところである。

(5)社会保障カード(仮称)に関する見解 について

日医総研の矢野主任研究員より、厚労省より 出された「社会保障カード(仮称)の基本的な 構想に関する報告書のポイント」について、概 ね以下のとおり報告があった。

2008 年1 月25 日に、厚労省において「社会 保障カードのあり方に関する検討会」が開催さ れ、当報告書が出された。

報告書のポイントが3 点ある。1 点目として、 利用者の利便性向上と保険者・サービス提供者 等の事務効率化を実現するということで、年金 手帳、健康保険証、介護保険証が1 枚のカード になり、自分の年金記録等を自宅のパソコン等 から、いつでも安全かつ迅速に確認可能になる ということが記載されている。2 点目として、 プライバシー侵害、情報の一元的管理に対する 不安が極力解消される仕組みとするということ で、カードに収録する情報を本人確認のために 必要最小限のものに限定するとともに、安全性 に優れたIC カードを導入し、不正な情報の読 み出し等による被害を防止し、その持ち方につ いては、従来通り各制度の保険者が管理し、カ ード自体には加入者を特定するための鍵となる 情報を収録するとしている。3 点目として、コ ストを抑えつつ、より多くの効果を実現する、 費用対効果に優れた仕組みとするということ で、関連する仕組み(レセプトオンライン請 求、住基カード発行、公的個人認証サービス 等)を最大限に活用し、必要となるコストを抑 制するとされている。

しかし、曖昧な点が多々あり、当検討会は各 団体との意見交換会を実施している。日医とし ての見解は以下のとおりである。

社会保障カードの前に、社会保障番号及び社 会保障個人会計への見解として、経済財政諮問 会議が打ち出す「骨太の方針2006」において、 社会保障番号及び社会保障個人会計を導入して いくべきだと記載されている。これについて は、2006 年6 月14 日に記者会見を行い明確に 反対の方針を出している。社会保障番号を導入 することで管理医療が導入しやすくなり、その ような中で社会保障個人会計を導入すると、公 的保険給付範囲の縮小と縮小部分の民間保険へ の移行にあるのは明白であり、これを容認すれ ば国民皆保険制度が崩壊する恐れがある。ま た、IT 化に伴うセキュリティ等の環境整備が されないままに、拙速に社会保障番号制度の議 論を進めるべきでないと考える。

以上を前提として、社会保障カードに対する 見解については、社会保障カードの発端は年金 記録問題であり、当問題は国民全体の共助の精 神で成り立つ年金制度の根幹を揺るがし、国民 の老後の生活に対して不安を与えた由々しき問 題である。そのため、国民の不安に真摯に応え、 その解決策の一環として年金記録管理のための 社会保障カードの導入が検討されることは、政 府として当然の責務であるとの見解である。

このような年金記録問題に端を発した社会保 障カードの検討に、医療、介護の被保険者証の 機能を付与し、年金、医療、介護の三者を一体 的に取り扱うとした検討が当検討会で行われ、 当初は2007 年内を目処にとりまとめを実施する としていた。これは、拙速に過ぎる対応である。

また、本会の要望は、オンラインを全ての医 療機関に必須とするような仕組みを求めている のもではなく、希望する医療機関がオンライン を通じて即時被保険者資格確認ができる環境を 整備することを求めているものである。従っ て、必須であったり、オンラインレセプト請求 の義務化を前提としているというようなことが あれば、断じて受け入れがたい。

年金記録問題の解消や、医療機関にとって、 即時被保険者資格確認が実現すること自体は、 意義のあるものであるが、一方で、社会保障カ ードの検討に医療実務者が加わっていないこと に強い疑問を禁じえない。また、社会保障カー ドの導入によって「名寄せ」の可能性はある が、どのような「仕組み」及び「制度」が成り 立つのか不明な限り、日本医師会としてそもそも議論の土台に乗ることはできない。従って、 我々は厚生労働省に対し、検討の場ですみやか に医療実務者を加え、どのような「仕組み」及 び「制度」を構築しようとしているのかを明確 に示すことを要求する。

社会保障カードの導入にあたっては、将来的 に社会保障番号も検討されることを見据え、本 会の見解としては、国民・患者視点から目的外 利用の禁止、管理医療の可能性排除を明確にし た法律等を含めた制度面の整備が前提であり、 それができない限りは社会保障カードの導入は 時期尚早と考える。いかに社会保障カード導入 の環境が整ったとしても、社会保障カードを用 いた管理医療施策への誘導については、国民医 療を守る立場から受け入れられず、断固として 反対である。

(6)日医認証局について

日医総研の矢野主任研究員より、日医認証局 について、概ね以下のとおり報告があった。

日医認証局は、発行する電子証明書の中に 「保健医療福祉分野の国家資格」と「医療機関 等の管理者の資格」の情報を格納する。これ は、電子証明書の中で、本人の確認に併せて医 師等の資格確認ができるようになるものであ り、HPKI と呼ばれている。

厚生労働省に、保健医療福祉分野のPKI 認 証局として認めていただくためのポリシや運用 に関する規定を出していただき、また、そのポ リシ等に準拠しているかどうかを監査する仕組 みも併せて作っていただいている。日医認証局 は当然これに準拠している。

日医として、医療分野における認証局は、公 益性が求められるべきものであり、医師の団体 である日本医師会が主導で推進していくべきで あるという位置づけのもの、認証局の稼働に向 け作業を進めている。

日医認証局の活用事例としては、認証局を利 用することで、電子ネットワーク上での身分証 明、安全な医療情報の交換、診療録、紹介状、 診断書等の電子医療情報の真正性が確保され る。これら真正性が確保された情報を利用する ことで、将来的には、日本医師会主導によるオ ンラインによる各種申請サービスの活用、患者 との情報共有、医師の証明が必要な機関(社会 保険庁等)との接続等を可能にすることができ るようになると考える。

なお、平成20 年度には本稼働することを目 指している。

(7)質疑応答

各都道府県医師会より、主にオンライン請求 に関する日医の見解について質疑があり、中川 常任理事より、日医はオンライン請求の義務化 には反対しているが、オンラインの対応が可能 な施設に関しては対応していただきたいと考え ていると回答され、現在、紙レセプトにて請求 を行っている施設に対しては、医師会等による 請求代行の仕組みを検討する必要もあると考え ているが、その際の事務手数料等の課題がある ため慎重な検討が必要と考える旨説明があった。

その他、TV 会議システムを使用した際の日 医生涯教育講座の認定は受けれるか等の質問が あり、日医情報企画課より、制度としてこれを 認めるかどうかを検討した上で、ツールとして のTV 会議を認めるような方向で検討したいと 回答された。

印象記

今山裕康

理事 今山 裕康

「平成19 年度日本医師会医療情報システム協議会」、「平成19 年度都道府県医師会情報システ ム担当理事連絡協議会」に参加しての印象記をまとめて書かせていただきたいと思う。

医療情報システム協議会に参加して印象深かったのは3 点あり、ひとつは中部地区医師会の向 井氏が発表したこと、もう一つは特別講演(秋山氏)が非常によかったこと、最後に日本医師会 のIT に対する態度が変わったなあということである。

まず、中部地区医師会の特徴はORCA 認定業者としてORCA の普及活動をしていることであ り、中部地区医師会の先生は非常に安価できめの細かいサービスを受けることができるようにな っている。また、ソフトウエアの開発も自前でできる体制をとっており他の地区医師会にとって 非常に参考となる発表であった。

秋山氏の特別講演は非常に斬新なもので「目から鱗が落ちる」ような講演であった。是非会員 の先生方も聞いていただきたいと存じます。日本医師会ホームページよりダウンロードできます。

最後に日本医師会のIT に対する姿勢がずいぶん変わったなあと感じました。特にレセプトオン ライン化に対する姿勢は前執行部の時から激変しているのではないかと感じた。当初、オンライ ン化そのものに反対していたと記憶しているが、今回の協議会ではオンライン化に反対はしてい ない、オンラインの義務化に反対しているのであると舵が随分反対方向に切られている。さらに、 IT 化推進の一環として、オンライン化できるところは積極的に進めていくとのことであった。社 会保障カードに関してもしかりである。いつの間にか変わっているのである。私があまり注意し ていなかったのが悪かったのかもしれないが、その間の議論はよく解らないままである。このま までは政府の目指している国民の健康情報、医療情報を始めとするあらゆる情報の一元管理に加 担しているように感じるのは私だけなのかなと思いながら帰ってきた次第である。

医療情報システム担当理事連絡協議会に参加して印象深かったのはその内容よりも日医のテレ ビ会議システムである。5 県の医師会がテレビ会議システムを利用して参加していた。このシス テムはインターネット回線を利用するために画像、音声は回線速度に依存し、たびたび音声、画 像が中断したり、音声が急に悪くなったりするためにたびたび発言を繰り返さなければならなか った。テレビ会議だけで協議をすることは現実的でなく、技術の進歩を待つほかないと考える。