沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 4月号

琉球大学医学部附属病院
がんセンターの紹介

増田昌人

琉球大学医学部附属病院がんセンター
増田 昌人

平成19 年4 月1 日にがん対策基本法が施行 されました。当院では、その理念・施策を達成 するために、同年9 月18 日にがんセンターを 開設致しました。(http://www.ryukyucc.jp)

さらに、本年2 月8 日付で、当院は都道府県 がん連携拠点病院の承認を受けました。

今回は、当院がんセンターの現在の業務内容 の紹介をいたします。

1 外来部門の運営

(1) 緩和ケア/がん性疼痛外来(火・木)

(2) 緩和ケア/心理ケア外来(火・木)を開設しました。

2 外来化学療法室の運営

現在は8 床で、100 〜 120 名/月の化学療法 を行っています。

毎週金曜日朝の外来化学療法室カンファラン スにより、利用している全科医師と薬剤師、看 護師が、患者全員に関わっています。

3 緩和ケア室の運営

従来からの緩和ケアチームをがんセンター所 属とし、今まで以上に多くの患者に緩和ケアを 提供していく予定です。

さらに、外来部門と連携して、(1) 初期段 階からの提供、(2) 外来での継続提供、(3) かかりつけ医との共同診療を開始し、充実させ ていく予定です。

4 院内がん登録兼拠点病院データ解析室の運営

診療情報管理士と事務職員により、より精度 の高い院内がん登録を行っています。さらに、 今後は沖縄県内の院内がん登録データの分析、 評価等も行う予定です。

5 化学療法レジメン登録・審査・管理室の運営

原則的には、当院はレジメン登録後に化学療 法を行うシステムとなっています。3 月からは、 登録済みレジメンを診療科・臓器横断的に、か つEBM 重視(NCI PDQ、ASCO、NCCN、 国内学会ガイドライン等を参考)の審査を行 い、EBM に基づくがん医療を側面から助けて いく予定です。

6 がん相談支援室の運営

がん対策基本法に基づき、

(1)各がんの病態、標準的治療法等がん診療に 係る一般的な医療情報の提供

(2)地域の医療機関や医療従事者に関する情報 の収集、紹介

(i)医療機関の診療機能、入院・外来の待 ち時間、訪問看護を提供した患者数等

(ii)医療従事者の専門とする分野、経歴、 発表論文、医師あたり紹介患者数等

(3)セカンドオピニオンの提示が可能な医師の 紹介

(4)患者の療養上の相談

(5)患者、地域の医療機関、かかりつけ医(特 に紹介元・紹介先の医師)等を対象とした意 識調査

(6)各地域におけるかかりつけ医等各医療機関 との連携事例に関する情報の収集紹介

(7)アスベストによる肺がん及び中皮腫に関す る医療相談

(8)その他、相談支援に関すること を行う予定です。

7 沖縄県がん診療連携協議会(本年4 月に設 置予定)

がん対策基本法に基づき、

(1)主に地域がん診療連携拠点病院で専門的な がん医療を行う医師・薬剤師・看護師等を対象とした研修を実施する

(2)地域がん診療連携拠点病院等に対し、情報 提供、症例相談や診療支援を行う

(3)地域におけるがん診療連携体制等がん医療 に関する情報交換を行う

(4)都道府県内の院内がん登録データの分析、 評価等を行う

(5)都道府県レベルの研修計画、診療支援医師 の派遣調整を行う

(6)地域連携クリティカルパスの整備を行う 予定です。

8 九州がんプロフェッショナル養成プランへ の対応

がん対策基本法に則り、がん医療に関する専 門的な知識及び技能を有する医師及びその他の 医療従事者を養成し、九州地区における質の高 いがん医療の均てん化を図るプランです (http://www.ganpro.med.kyushu-u.ac.jp/)。

(1)インテンシブコースへの対応

(i)臨床腫瘍医養成インテンシブコース

(ii)がん治療医養成インテンシブコース

基本学会の認定医または専門医を持つ医師 を、1 年のコースでがん薬物療法専門医試験等 が受験できる実力をつけるプランです。外来化 学療法室を3 か月、第二内科血液・腫瘍グルー プを3 か月、残り2 診療科を3 か月ずつローテ ートする予定です。その間に、講義、臨床指 導、レポート(+症例報告)作成、試験、E- ラーニングによる教育を行います。

(2)E-ラーニングへの対応

コンテンツ作成(講義のビデオ撮影・編集 等)を行っていく予定です。

以上が、現在行っている業務内容です。

また、将来的には、

A 無菌室及び緩和ケア病室を含むがんセンタ ー病棟部門の新設を検討していく

B がんセンター臨床研究部門の新設を検討し ていく

予定です。

紙面の都合上詳細は書きませんでしたが、上 述の業務に関しては、各診療科をはじめとする 既存の各部署との連携を今まで以上に行ってい くことになります。今後はこのがんセンターは 連携体制の中核として、琉球大学医学部附属病 院のがん対策の中心を担っていきます。

今後の沖縄県医師会会員の諸先生のご理解と ご指導をよろしくお願いいたします。

図 がんセンター組織図