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沖縄県内科医会 会長
伊集 守政 先生

伊集守政先生
P R O F I L E
昭和45 年3 月
       4 月
北海道大学医学部卒業
北海道大学医学部第二内科勤務
昭和46 年4 月 旭川市立病院内科勤務
昭和48 年4 月 北海道大学医学部第二内科勤務
昭和50 年1 月 江別市立総合病院内科勤務
昭和53 年4 月 県立那覇病院内科勤務
昭和57 年4 月 西武門病院内科勤務
昭和61 年2 月 伊集内科医院 開設
平成5 年4 月 沖縄県内科医会理事就任
平成8 年4 月 那覇市医師会理事就任
平成11 年4 月 沖縄県内科医会副会長就任
平成14 年4 月 那覇市医師会副会長就任
平成17 年4 月 日本臨床内科医会理事就任
平成19 年4 月 沖縄県内科医会会長就任

会員相互の交流を深めな がら、生涯学習の充実を目 指して努力して参りたいと 思います。

Q1.内科医会会長になって一年を経過致しま したが、振り返ってみて、この一年はいかが でしたか。

8 年間会長をお務めになった中村義清先生の 後任として、昨年、私が選任されました。長い 間、会の運営に関わってきたということでお鉢 が回ってきたようです。伝統ある内科医会の会 長を私で務まるかとの不安もありましたが、幸 い、中村会長時代の理事が全員留任し、新たに 30 代の新進気鋭の先生も加わり、全面的にバ ックアップをして頂き、なんとか、一年が経過 致しました。

振り返ってみて、内科医会には、専従の事務 局員がいないので、理事会のセッティングや県 医師会との連絡事項など結構細かい仕事がある ものだという印象です。

1 年間はあっという間に過ぎましたが、今後 は、組織としての内科医会をどうするかという 事も含めて、理事会で議論しながら、会の目的 である『会員の生涯教育、地域医療、医療経 営、医政についての研究及び会員相互の親睦を 図る』の実現を目指して、努力して参りたいと 思っております。

Q2.内科医会の活動内容をご紹介していただ けませんでしょうか。

内科医会の活動としては、まず、第一に会員 のために、臨床に直結した講演会や実技指導講 習会等を実施する事です。数多くある他の講演 会と一味違ったテーマの選定に学術担当理事を 中心に知恵を絞り、年に数回程度実施しており ます。

毎月、定例理事会を開き、次のような県医師 会関連事項等の協議をしております。

県医師会医学会総会の特別講演、シンポジウ ム、ミニレクチャーの演題の提案及び座長の推 薦、県医師会報学術原稿執筆者の推薦、社保・ 国保の診療者代表保険審査員の推薦、沖縄県関連の各種委員の推薦等があります。さらに、沖 縄県内科医会は日本臨床内科医会の県支部とし ての活動もあり、九州各県持ち回りで毎年開催 される日本臨床内科医会九州ブロック会議、九 州各県内科医会連絡協議会、九州各県内科審 査委員懇談会は重要な活動で、協議題を提出し 殆どの理事が参加しております。その他、日臨 内の「インフルエンザの予防・診断・治療に関 する全国調査研究」等への参画や日臨内の専門 医・認定医の第一次審査も行っております。

Q3.内科医会は県医師会の分科会でも一番の 大所帯と伺っておりますが、現在の会員数 は?また、会の運営にあたってご苦労があれ ばお聞かせ下さい。

現在の会員数は150 名前後です。そのうち1 割が勤務医です。九州各県の内科医会と比べる と、当県の組織率はまだ低い方で、もっと多く の内科系の先生方に入会してほしいと思ってお ります。

会の運営で気を配っていることは、他にいく つもの学会に所属している会員の先生方に対し て、内科医会として如何に独自性を発揮し、新 鮮味のある講演会や講習会を企画するかという 事です。理事会でも常に議論しておりますがな かなか難問です。今年は、新しい取り組みとし て、開業医にとって身近な問題である保険診療 に関する勉強会の企画も考えております。ま た、当会の大きな目的である「会員相互の親 睦」をどのように図っていくかも、今後の会の 運営上の課題です。

Q4.内科医会会長としては、多くの会員の意 見を集約し、県医師会にも様々なご提言を頂 いておりますが、今後県医師会との連携をど のようにお考えでしょうか。

私は、各分科会は地区医師会と異なり、県医 師会の学術団体としての機能を分担していると 捉えております。県医師会と緊密な連携を保 ち、その機能を十分発揮するためには、組織率 の更なるアップが望まれます。現在、分科会そ のものが県医師会員に十分に認知されてないよ うで、各分科会への入会の方法も定まっており ません。執行部には、県医師会入会時に分科会 の存在を紹介し、是非、同時入会を勧めるよう 要望致したい。分科会の組織率が向上し活性化 すれば、県医師会の学術団体としての存在が更 に明確になることでしょう。

Q5.伊集先生は、沖縄県医師会館建設に関して、 会館建設検討委員としても多くの助言を頂い ております。新会館建設に関して、分科会活 動や会員活動の拠点としてどのような期待を 寄せられているかご意見をお聞かせ下さい。

内科医会に関して言えば、現在、県医師会館 の中にスペースが無いため、事務局を那覇市医 師会の中に間借りし、事務的な仕事の一部を那 覇市医師会職員にお願いしております。新医師 会館が完成したら、当然、これらの機能は県医 師会に集約されるべきだと思っております。九 州各県の状況を見ても分科会の事務局は県医師 会館の中にあり、県医師会職員が庶務関係をサ ポートしております。また、新医師会館が完成 したら、現在、ホテルなどで行われている各分 科会主催の講演会は県医師会館で行う機会が多 くなることが予想され、しかも、殆どが平日の 時間外や土日の開催になると思われます。県医 師会執行部には、これらの分科会活動がスムー ズに行われるよう事務局の支援体制の整備をお 願い致したい。分科会活動のサポート体制が充 実すれば、医師会館建設費を負担している会員 への目に見える形での還元となり、沖縄県医師 会への求心力は更に高まると思われます。

Q6.今年度から、特定健診が始まり、メタボ リック症候群対策をはじめ、内科医会の活躍 が大いに期待されておりますが、今後の活動 に関してなにか期するものがありますか?

特定健診、特定保健指導に関しては、全国的 には、国の低医療費政策の現れだとして必ずし も評価しない向きもありますが、沖縄県は、ご 承知の通り、肥満が多く、同時にメタボリック症候群の頻度も全国一であります、その結果、 県民の健康が青壮年を中心に急速に蝕まれてき ております。私共はこの現状に鑑み、特定健診 には積極的に関わるべきと考えております。

那覇市の資料によれば、那覇市民の早世(65 歳未満の死亡)は、男女とも全国平均を上回っ ており、原因として虚血性心脳血管疾患の多発 があげられ、背景には、未治療の高血圧症、糖 尿病等の存在があります。今回の県、市町村、 企業など保険者が取り組む特定健診は、メタボ リック症候群の抽出のみに留まらず、未治療の まま放置されている高血圧症、糖尿病などの疾 病の発見、治療にも繋がり、この点でも意義は 深い。特に、これまで疾病が潜在している可能 性が高いが、殆ど健診を受けてない40 〜 50 代 の男性が健診を受け、自身の健康管理を自覚す る機会になればさらにその意義は大きい。

昨今、「長寿県の復活」の議論が盛んですが、 私は沖縄県にとって「健康長寿の復活」は「早 世への対策」が最優先課題だと捉えておりま す。その具体的な一歩となりうる今度の特定健 診は内科関連施設に限らず、多くの医療機関で 実施すべきで、更に、受診者の利便性のため、 地区医師会においては、休日の集団健診の実施 も考慮してよいのではと考えます。内科医会と しても協力は惜しまないつもりです。

Q7.一昨年大きなご病気をされたとお聞きし ましたが、ご自身が病気を患ったことで感じ たことがありましたらお聞かせ下さい。

開業して21 年間、「全くの病気知らず」でし たが、この度は、ひと月の病気療養を余儀なく され、日常診療の継続に大変な不安を覚えまし た。幸いに、私の場合は、那覇市医師会と病診 連携ネットワークを組む2 ヶ所の地域支援病院 が全面的にバックアップしてくれたおかげで、 患者さんに不便をかけることなく診療体制を維 持することができました。双方の病院の先生方 や連携室のスタッフの皆様方には心から感謝致 しております。私自身、普段から、連携医療の 重要性を考え、那覇市医師会の病診連携事業に は積極的に取り組んできましたが、この度は、 改めてその大切さを痛感致しました。

開業医の平均年齢は60 歳前後で、会員の多 くが健康に不安を覚える年齢になっておりま す。日常の健康管理に気を配ると同時に不測の 事態への備えも必要です。「開業医は病気をし たらおしまいだ」ではあまりにも策がなさ過ぎ ます。病診連携を核にして、地区医師会の関与 したセフテイーネットの構築は重要な課題と考 えます。

インタビューアー:広報委員 池村剛