常任理事 真栄田 篤彦
日頃から医師会活動にご理解とご協力いただ いている先生方に感謝申し上げます。今回、宮 城信雄会長の2 期目執行部の理事として再任頂 きました。2 年間会員の先生方からのご指導・ ご協力を得ながら会務に尽くしたいと決意して おります。
さて、ご承知のとおり、今日の医療行政はめ まぐるしく変貌し、いまや国民のための医療が 十分機能しない状況に陥っています。
全国的に救急医療が破綻している一因として 産科医師不足・小児救急医師不足等が挙げられ ていますが、根本には経済至上主義で医療費抑 制政策を続けてきた影響や、医療訴訟の増加の 中での萎縮医療が挙げられます。奈良県で起き た妊婦死亡は救急たらいまわしのために死亡し たと報道しています。経過の不詳な飛び込みの 重症患者を受け入れた後に患者が死亡した場 合、医師法21 条に基づいて24 時間以内(診療 関連死は異常死に含まれる)に警察に届け出さ なければならない今日の不安な医療事情が根底 にあることを国民はよく理解していないと思い ます。医療機関を受診すれば何でも治癒して当 たりまえ、治らなければ医師を訴えるという安 直なラインが醸成される国民感情があるのでは ないかと思います。医療はサービス業だとし て、金さえ払えばなんでも治るのだとか、イン フォームドコンセントのあり方等でも誤解を招 いているのではないでしょうか。福島県大野病 院の前置胎盤分娩に伴う死亡事故に関しての逮 捕拘留事件もご存知の通りです。その他、個人 情報保護条例等でも患者の権利は強くなってい ます。日常の診療行為に起因する死亡事例でも 業務上過失致死傷罪容疑で逮捕・拘留・起訴 が起こり始めています。日医では、医師が刑事 訴追からの不安を取り除くための取り組みを行 っています。医師法21 条を撤廃することは出 来ない訳ですが、「診療行為に係る死因究明制 度」の導入で、刑事訴追を避けるべく「医療事 故責任問題検討委員会」の設立を目指してお り、今後の国会での議論が注目されます。県医 師会での取り組みにもご理解・ご協力いただき たいと願っています。
ところで、長年の懸案でありました県医師会 の会館建設も今のところ順調に進行していま す。今年11 月の竣工を目指しております。今 後も鋭意、建築関係業者と緊密に協議しながら 工事を進めてまいります。新年度に当たり、私 は会館建設の担当を継続する予定であります。 今後も会員の先生方の多くのご意見を取り入れ ながら、更には地区医師会の理事会とも同時に 協議していただきながら進めていきますので、 ご理解、ご協力をお願いします。
これまで私は県医師会理事を10 年務めてま いりましたが、心機一転、常に新たな気持で邁 進したいと考えています。