愛聖クリニック 中田 安彦
今回、子年生まれの随筆を投稿して下さいと いう依頼がありました。日々の生活に追われて 干支等は気にしたことがないので早速、書店で 『平成二十年神宮宝暦』なる占いの本を購入し て読んでみました。
まずは、十二支一代の運気「子年生まれの人
は、性格が正直で奢侈の念なく、常に倹約して
貯蓄心に富み・・・・晩年は子孫のために安楽
な生活を送ることが出来ます。」
(一応いい人生を送れそう)
皇帝四季の占い「夏生まれの子年の人は運気 盛んな素質・・・不足なく暮らせて長寿を保ち ます。」(最高な人生。本当にそうならいいな)
六十干支の人の性質は「庚子の人は、利己主 義的な人が多く・・・勤勉の性質・・・手段を 選ばず、・・・自滅しがちです。欠点を克服し て大成・・・」(あまりいいことは書いてないな〜)
以上の子年に関する3つの占いを自分につい てまとめると「倹約家、正直、無邪気な性格、 利己主義的な勤勉家で目的のためには手段を選 ばず、自滅しやすい。元来は運気盛んな素質だ から、先輩の引き立てによって出世するのも早 く、不足なく暮らせて長寿を保つはずだから利 己的にならずに正道を行けば、幸せになるでし ょう。」とのことであった。
占いを読んでいて、ふと思いました。子年で 統計処理することも必要とは思いますが、人の 人生は十人十色とも言います。子年に因んで私 がこれまでに生きて来た中で、この年まで歳を 重ねないと実感できなかったことを述べてみた いと思います。
生まれてから小学校までは毎日毎日ヒマでヒ マでどうやったら一日を過ごせるかと想う日々 でした。もしかしたら自分は一生子どものまま で大人になれないのではないか?一日のなんて 長いことと考えながら過ごしていました。そのよ うな子どもの頃に習った論語の一節に「少年老 い易く学成り難し」という文章がありました。
当時は単に知識として習い、実感の伴わない 言葉でした。気が付けば大人になり一日が24時 間では足りない程忙しくなり、生きるのも精一 杯の中で毎日、医師として一所懸命勉強し努力 してきたある日突然、その言葉を実感しまし た。その日が来るまでは人生無限の如しでし た。西暦2000年7月2日の朝を迎えるまでは。
7年前の7月2日の朝、40歳最初の朝を迎えま した。迎えた瞬間、「自分の人生ももう半分終 わってしまった。」という実感が脳を直撃しまし た。がむしゃらに生きる自分だけの人生は終わ った。これからは人生の後半戦だ。次世代の人 達に何を残すことができるか行動してみよう。
21世紀は少子高齢化の時代です。高齢者を 養う若者の生産性を上げないとなりません。高 齢者にあって若者にない生産性に関する有利な ところは何か、一番の有利な点は経験、実体験 の量です。
若者の少ない日本が21世紀に生き残るためには、高齢者の経験を若者に伝授することによ って高齢者の実体験を知恵として使える若者を 増やすことです。40歳以上の皆さん、この年に なって初めて解ったことがあれば未来を担う若 者に教えてあげて下さい。