沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 1月号

ねずみ、子、鼠

外間力人

豊見城中央病院整形外科
外間 力人

新年明けましておめでとうございます。

今年の年男ということで、私が新春干支随筆 を書かせて頂くことになりました。どうぞよろ しくお願い致します。

さて皆様は、ねずみというと、どういうこと をイメージしますか?ミッキーマウス等の良い イメージで、かわいい、頭が良い、すばしっこ い、その一方で、ずる賢い、恐い、不潔等の悪 いイメージまで色々あると思います。そこでま ずねずみとは何か、どんな風に見られているの かを色々な角度より調べてみました。

ネズミ(鼠)とは、ネズミ目(齧歯目)ネズ ミ上科に属する哺乳動物の総称で、ハツカネズ ミ、クマネズミなど1,000種以上も生息してい るそうです。そのほとんどが夜行性で、人間が 寝ている間に食料などを食べるので、寝盗み (寝ている間にこっそりと人間の食料を盗む) が転じて、ねずみという名がついたといわれて いるようです。生物学的にはかなり高等で適応 能力、学習能力に優れているとあります。ま た、ネズミは齧歯類に特徴的な、一生延び続け る門歯をもつため、常に何か硬いものをかじっ て前歯をすり減らす習性がありますが、もし放 置しておくと、前歯が口をふさいで食べ物が口 に入らなくなってしまい、文字通り開いた口が ふさがらなくなってしまうようです。

干支の子については、十二支の初めの干支が ねずみ「子」であることから干支がしらという そうで、干支がしらのねずみには、子孫繁栄の 意があり、食物・財福を司る神、大黒天の使い であるとされています。商売繁盛・家内安全・ 五穀豊穣を祈り、台所の神様ともされていま す。月は12〜1月頃、方位は北、時刻は0時頃 で、ロシア、ベラルーシにも干支があるそうですが、やはり子が最初のようです。

興に乗り、一世を風靡した動物占いで特徴的 な性格も調べてみました。それによると、子年 生まれの人は、情が細やかで、繊細な神経をも ち、人には親切で、無駄使いに厳しいので、少 しずつ物や金が貯蓄できるそうです。小さな事 を積み重ねて晩年には倉が立つ運勢ですが、少 し貯まるとそれを元手にもっと増やそうという 欲が湧き、元来物に対する執着心が強い方なの で、収集し過ぎると身重になって落とし穴には まってしまうので、注意しなくてはならないそ うです。また世間話が大好きで情報力にも長け ている反面、口が軽くてうわさ話を広める傾向 があるので、トラブルに巻き込まれない配慮が 必要なのだそうです。鼠小僧(天下の大泥棒) やネズミ男(ゲゲゲの鬼太郎)を思い出してし まいました。改めて、昔話やアニメのキャラク ターは、綿密に調べられ、動物の特徴を捉えて いたことに、驚きました。

架空の生き物といえば、最近ではねずみがデ ィズニーのアニメの主人公にもなり、その映画 のヒットの影響で、イギリスではペット用のね ずみの売り上げが映画の公開以来50%も増加 したそうです。以下にロイターの記事の抜粋 を。イギリスのペット会社によると、映画がネ ズミのイメージに影響を与えたようだと分析。 「一般的な意見とは逆に、ネズミは最も清潔か つ最も臭わないペットの一つ」と指摘し、猫や 犬のように芸を仕込むことも出来ると加えた。 同映画が公開された米国でも今夏(昨年夏)の ペット用ネズミの需要が増加。ドイツとスウェ ーデンのペット団体も、映画の公開によりネズ ミの売り上げが伸びていると明かした。今年干 支で、日本でも同じことが起こるのでしょう か?それにしてもねずみに芸が出来るとは初耳 でした。

こうして今回、ねずみの生態や扱われ方、印 象を調べる機会を得て、統計学や先人の残した 言葉から、私なりに人生のアドバイスが見えて きた様な気がします。次の子年に私は還暦を迎 えます。これからの12年が、人生の方向を決める上で私にとって非常に重要で大切な時期だと 考えています。これを機に、日常では冷静に、 大山鳴動して鼠一匹(大騒ぎをしたにも関わ らず、大した収穫が得られないこと)のような ことにならないように注意し、仕事では患者さ んの話をよく聞き、注意深く診察し、決して鼠 が塩をひく(取るに足らない些細なことであっ ても、放っておくといずれ重大な事態を招くと いうこと)様なことを起こさないように気を付 けて、日々勉強を重ねていきたいと思います。 そして良いことはネズミ算式に増やしていけた らと願っております。

今年も皆様にとりまして、素晴らしい一年に なりますよう心よりお祈り申し上げます。