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この頃思うこと

島袋全哲

中央保健所 島袋 全哲

新春干支随筆の寄稿依頼を受け、前回の干支 を迎えた時に記したことが思い出された。その ころは臨床から保健所に移ったころで、時間的 にゆとりが出たのか、はたまた必要に迫られて か運転免許を取得した。これからは食わず嫌い ではなく、便利と思われることはやってみよう と結んでいた。

そこで、還暦を迎えるのを機にこの12年に何 をしてきたか思い返すと寂しい限りではある が、少なくとも新しく始めたこととしてパソコ ンがある。機械オンチの自分ではあるが、イン ターネットやメールは普通にやるようになって いる。もっとも自宅では家内のほうが何かにつ けていじくり廻しているようである。

同じ頃、豊見城で高台の一軒家に引っ越し た。風よけにと、ふくぎを数本植えたが毎年台 風のたびに倒れかけた。そのつど植え直したの だが何年目かにとうとうあきらめて引き抜いて しまった。雑草が生えるだけの敷地内をどうし ようかと考えていたところ、隣のお婆さんが花 だけより実のなるほうが楽しみがあっていいよ とのことで、レイシ、アセロラ、パパイヤ、マ ンゴーなどを植えた。

レイシは粘土質の土に合わなかったのか根付 かなかった。アセロラは毎年の台風で倒れか け、これまで一度も実を付けなかった。ところ が、どうしたことか昨年夏は何個か実をつけた。娘が幼少の頃は木の実が好きで、散歩中に 庭先の実を見つけては、こっそりと食べたもの だったが今は見向きもしない。パパイヤは多く の実をつけ娘は食べ過ぎたのか下痢をしたあと はあまり食べなくなった。その後、庭に小さな ハブが出たこともあり切り倒してしまった。マ ンゴーの木は現在5本ほど植えてあるが、毎年、 どちらか1本の木に5〜10個の実をつけるだけ で、家族は物足りない思いをしている。

菜園の植え付けは主に家内に任せている。こ れまで、へちま、ゴーヤー、なす、とまと、ピ ーマン、おくらなどを植えてきたが満足にでき たのは数えるぐらいしかない。それでも雑草を 刈っているよりはましだろうと懲りずに続けて いる。この秋はじゃがいも、ほうれん草を植え たので芽が出るのを楽しみにしている。

この春からいよいよ団塊の世代の定年が始ま る。医師の定年は65歳であるが、元気で好きな ことができるのも、せいぜいもうひとまわりか と思う。仕事、子育てとこれまで過ごしてきた ことを考えると、よほど注意をしないと好きな ことをしたいときは体が言うことを聞かないと いうことになりかねない。定年後に何かをしよ うではなく、今できることをしようとの姿勢が 大切といまさらながら実感するこの頃である。

では、自分はこれから何をしたいのかと自問 してみる。思いつくままにあげてみると、のん びりと田舎を旅したい。できれば海外旅行もし たい。再び四季の感じられる場所での生活もし たい。絵画、書、陶器などを創り出すことがで きたらなおすばらしいと思う。

何年か前から「人生の楽園」という番組(自 分探しの番組とでもいうか)を見ている。その 主人公のように現在の仕事を辞め、新しいこと を始める勇気もなければその才もない。せいぜ い趣味程度にでも打ち込める何かが見つかれば と思うこの頃である。