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国療公務員医師会だより
−沖縄病院の一般市民向け公開講座のお知らせと琉球病院の現況報告−

石川清司

国療公務員医師会会長 石川 清司

国療公務員医師会は、宮古南静園、沖縄愛楽 園、国立病院機構琉球病院、国立病院機構沖縄 病院の四施設から構成されています。地域医療 の枠組みの中で、医療の分野では日常、陽の当 たらない分野を地道に支えております。県医師 会会員の皆様方のご理解とご支援をよろしくお 願いいたします。

ハンセン療養所は、患者様の高齢化に伴い、 生活習慣病対策が課題となります。琉球病院は アルコール依存症への対応を含めて新たな挑戦 を試みます。医師の確保が大きな課題です。障 害者自立支援法、結核予防法廃止等により障害 者医療、結核対策も苦戦を強いられておりま す。しかし、県民の健康を護るためには重要な 医療の分野だと認識しております。

今回は、沖縄病院の一般市民向け公開講座の お知らせと琉球病院の現況報告です。

沖縄病院の一般向け公開講座のお知らせ

【一般市民向け無料公開講座】

日時:金曜日 午後4時〜5時

場所:沖縄病院2階会議室

問い合わせ先TEL 098-898-2121(内線235)

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第5回:11月2日(金)

「頭痛、めまい、しびれ、物忘れ、窓口は神経内科です」  担当:神経内科専門医  末原雅人

第6回:11月9日(金)

「インフルエンザについて」  担当:呼吸器内科専門医 仲本 敦

第7回:11月16日(金)

「関節炎のお話し」  担当:整形外科専門医  豊原一作

第8回:11月30日(金)

「ヘリコバクターピロリ菌て何?」  担当:消化器内科専門医 樋口大介

第9回:12月2日(金)

「お腹の痛みについて」  担当:消化器外科専門医 照屋 淳

第10回:12月14日(金)

「息切れでお悩みの方へ・呼吸リハビリへのお誘い」  担当:呼吸器内科専門医 宮城 茂

琉球病院の現況  琉球病院院長村上優

1.現況報告

琉球病院の設立は昭和24年ですから59年の 歴史となります。沖縄の近代の精神科医療の歴 史と重なって今日まで精神科医療を担ってきま したが、県内では精神科救急や老人医療、総合 リハビリテーションなどを展開する民間の精神 科医療施設が増えて琉球病院の役割も変遷して います。

現在、最も整備を行っているのはアルコール 依存への医療です。早期介入に関するプログラ ム(HAPPYプログラム)、認知行動療法を含め た総合的なアルコール治療プログラム(ARP) などの臨床面だけでなく、治療技法やプログラ ムの開発、飲酒問題に関する臨床研究、普及啓 発、自助グループとの連携など、沖縄県内での 総合的なアルコール症センターの役割を目指し ています。

平成17年に施行された医療観察法は対象を「心神喪失等の状態で重大な他害行為をおかし たもの」と限定していますが、わが国の精神科 医療制度の大きな転換となりました。本格的な 臨床司法精神医学として高度な精神医療を目指 しています。平成19年2月から琉球病院に指定 入院医療施設が完成し、通院医療や精神鑑定な どを含め沖縄県で司法精神医学を推進する役割 を期待されています。

自殺予防が国家の焦眉の問題として取り上げ られていますが、重症うつ病や遷延や治療抵抗 性うつ病への効果が期待される修正型電気けい れん療法mECT(麻酔下で無けいれんで実施) を平成19年6月より開始しています。現在は院 内症例で手技や効果を評価していますが、安定 した効果が得られるようになり、この治療が必 要な症例の紹介を受け入れるようにしています。 mECTの臨床適応に応じ、対象者や家族にイン フォームド・コンセントを得て進めています。

2.県医師会への要望

琉球病院がある沖縄県中北部の地域精神科医 療に貢献をするためにも、これまであげた外に 認知症治療病棟(老人病棟)や重度心身障害者 病棟(動く重心)、精神科デイケアや訪問看護、 積極的で統合された地域精神医療をすすめるチ ーム(ACTチーム)を準備しています。地域貢 献を果すために、県医師会の協力を得て琉球病 院の医療サービス内容を理解いただき、必要な 診療連携が活性化することを願います。

3.医師募集

琉球大学や九州大学、国立病院機構系では肥 前精神医療センターと後期精神科研修(専修 医)に協力して研修病院としての役割を果たし ています。専修医にとどまらず中堅医師も期待 し常に医師募集をしている状況ですので、病院 の特徴を知って応募いただくことを願います。