琉球大学医学部附属病院 第二内科
増田 昌人
数十年前は白血病や再生不良性貧血は不治の病でした。しかし、約40年前に不治の病だったこれらの病気の治療に、骨髄移植という画期的な治療法が出現しました。1977年にはわが国でも骨髄移植が始まりました。以後の進歩は、沖縄県医師会の会員の皆様もご存知のことと思います。
骨髄移植の問題点の一つは、患者と骨髄提供者(ドナー)のHLAが一致していなければ移植ができないことです。ご存知のようにHLAが一致する確率は同胞間では1/4の確率ですが、それ以外ですと数百分の1から数百万分の1の確率となり、数十万人のドナープールがないと一致者(ドナー)を探すことは困難です。
そのため、各地の患者を支援する会等が母体となって大変な努力の結果、1989年に東海骨髄バンクが、1991年には九州骨髄バンクが発足しました。その後も各地に、地域の民間骨髄バンクが自主的に発足し、非血縁者間骨髄移植を開始しました。このときの経緯は、NHKの人気番組だったプロジェクトX(題名:決断 命の一滴〜白血病・日本初の骨髄バンク〜)にも取り上げられ、大変な反響でアンコール放送もされました(http://www.nhk-ep.com/view/10388.html)。
その後、当時の厚生省が組織した財団法人骨髄移植推進財団(以下骨髄バンク)が1991年12月に発足し、各地の骨髄バンクを統合して現在に至っています。
今年7月末現在のドナー登録者数は284,775人(沖縄県8,740人)で、実際の骨髄提供者数は8,544人(沖縄県107人、うち琉大病院12人)です。沖縄県のドナー登録者数は、人口比で全国一です。
現在の患者登録者数は2,326人(沖縄県11人)、これまでの骨髄移植例数8,541人(沖縄県64人、うち琉大病院6人)です。最近は年900例以上の骨髄バンクを介した移植が行われています。
これまでの累計患者登録数は23,203人(沖縄県157人)です。実際に移植した患者数と現在の患者登録数を引いた12,336人の多くは、残念ながらドナーが見つからないまま原疾患で死亡した患者です。
現在でも、約2割の登録患者にドナーが見つかりません。また、毎年更に約2,000名の患者がドナーを求めて新規に財団に登録します。このため、今まで以上にドナー登録が求められているのです。
国と厚生労働省が主体となり毎年10月を骨髄バンク推進月間と定めています。これを受けて沖縄県は、「広く県民に対して骨髄移植に関する正しい知識を普及啓発するとともに、一人でも多くの人が骨髄提供者として登録されるよう呼びかけるために」、主催者として以下の行事を実施する予定です。
もちろんこの行事は全て沖縄県医師会の共催(他に日本赤十字社沖縄県支部、沖縄県骨髄バンクを支援する会が共催)を頂いています。沖縄県医師会会員の皆様、お一人お一人のご協力をよろしくお願いします。
1 骨髄バンク推進月間の周知
2 骨髄バンク推進街頭キャンペーン
日時:平成19年10月10日(水) 午後2時から3時
場所:パレットくもじ前イベント広場
3 沖縄県における骨髄バンク移植再開1周年記念血液疾患医療講演会・相談会
日時:平成19年10月27日(土) 正午から午後5時
場所:沖縄県総合福祉センター (那覇市首里石嶺町4-373-1)
4 ドナー登録会
通常の献血と並行して行う。詳細は10月1日(月)の新聞朝刊に掲載。
登録に際しては、以下の3点のみです。
実際にHLAの合った患者がいた段階で、詳しい説明や健康診断を行ないます。
骨髄移植推進財団 電話:0120-445-445
http://www.jmdp.or.jp/reg/index.html
沖縄県赤十字血液センター 電話:098-861-6598
http://www.bc9.org/center/oki/oki_top.html
久茂地献血ルーム 電話:098-864-0368
中部福祉保健所 電話:098-938-9886
http://www3.pref.okinawa.jp/site/view/contview.jsp?cateid=76&id=10533&page=1
北部福祉保健所 電話:0980-52-2714
http://www3.pref.okinawa.jp/site/view/contview.jsp?cateid=75&id=4731&page=1