沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 10月号

第51回九州ブロック学校保健・学校医大会並びに
平成19年度九州学校検診協議会

日 時:平成19年8月5日(日)9:00〜

場 所:宮崎観光ホテル

去る8月4日(土)、5日(日)の両日、宮崎観光ホテルにおいて開催された『第51回九州ブロック学校保健・学校医大会並びに平成19年度九州学校検診協議会』について以下のとおり報告する。

8月4日(土)は、大会の前日諸会議として、17時より「平成19年度九州学校検診協議会幹事会」が開催され、18時より「九州各県医師会学校保健担当理事者会」が開催された。各会議の詳細については別紙を参照されたい。

8月5日(日)は、午前9時より「第51回九州ブロック学校保健・学校医大会並びに平成19年度九州学校検診協議会」が開催された。

平成19年度九州学校検診協議会では、心臓部門、腎臓部門、小児生活習慣病部門の3部門による教育講演が行われた。

心臓部門では、県立宮崎病院小児科の西口俊裕先生より、『川崎病の現状と問題点』と題して講演が行われ、川崎病の動向、病因等についての最新の知見が報告された。

腎臓部門では、熊本大学医学部保健学科の服部新三郎先生より、『学校検尿と慢性腎臓病』と題して講演が行われ、学校検尿の有効性、九州学校腎臓病健診マニュアルの有用性等について報告された。

小児生活習慣病部門では、日向市東臼杵郡医師会理事・日向市小児生活習慣病健診委員長の中村恒雄先生より、『学校健診としての小児生活習慣病健診の実施とその結果についての報告』と題して講演が行われ、小児生活習慣病における事後指導の重要性、事後指導と食育事業と連携等について報告された。

教育講演と並行して「学校医大会分科会」が開催された。

眼科部門では九州保健福祉大学大学院教授・九州保健福祉大学学長補佐の内田冴子先生より『こどものめがね〜視覚の質と心の質〜』と題して講演と、九州保健福祉大学保健科学部視機能療法学科教授の高木満里子先生より『こどもの視能を育てる3歳児健診』と題して講演が行われた。

耳鼻咽喉科部門では、宮崎大学医学部感覚運動医学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野助教授の牛迫泰明先生より『普通小学校における難聴児の在籍状況について』と題して講演と、宮崎大学医学部感覚運動医学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野教授の東野哲也先生より『学校検診でみつかった伝音難聴例の中耳病態とその外科治療』と題して講演が行われた。

午前11時30分より「九州医師会連合会学校医会評議員会」が開催され、平成18年度の事業並びに決算の報告が行われるとともに、平成19年度の事業計画並びに予算について説明があった。また、次回、次々回における担当県についても協議が行われ、次回に熊本県医師会が決定し、次々会に佐賀県医師会が内定した。

午後12時30分より「九州医師会連合会学校医会総会」が開催され、秦宮崎県医師会長、唐澤日本医師会長(代読)他、来賓祝辞が述べられ、北野熊本県医師会長より次回担当県としての挨拶が述べられた。次回は平成20年8月10日(日)熊本市にて開催される。

午後1時10分より『食育を考える−こどもたちの食事は大丈夫?−』をメインテーマにシンポジウムが開催された。

基調講演Tでは、フーズ&ヘルス研究所所長の幕内秀夫先生より、『じょうぶな子どもを育てる食事』と題して講演が行われ、大人が食事を見た目や体に悪いと思っていても食べていることに対し、子供は自分の食事量を無意識に理解していることや、子供は偏食が多いのではなく優先順位をもって食事を摂っている等の説明があり、子供と大人の食の教育を全く別に考える必要があることが報告された。また、脂や砂糖をタバコやお酒と同様のリスクがあるものとして捉える必要があると提議され、このことを念頭に置いた食育の重要性が示された。

基調講演Uでは、NHK解説委員の合瀬広毅先生より、『食の安全をどう確保するのか?』と題して講演が行われ、現在、テレビ番組では「食」と「健康」を取り上げれば視聴率が取れることから、あらゆる情報が氾濫している現代社会の危うさや、加速する食の大量生産大量流通の課題等について説明された。

印象記

野原薫

理事 野原 薫

第51回九州ブロック学校保健・学校医大会が8月5日(日)に宮崎県の宮崎観光ホテルで開催されましたので、宮城信雄会長、心臓専門委員の我那覇仁先生、腎臓専門委員の粟田久多佳先生、小児生活習慣病専門委員の太田孝男先生、耳鼻科の新濱明彦先生、それに私と事務局の2人で参加しました。

その前日の8月4日(土)午後5時から平成19年度九州学校検診協議会幹事会が開催され、平成18年度事業報告並びに決算、平成19年度事業計画並びに予算が承認されました。次に九州各県における学校管理下の心臓性突然死についての報告がありましたが、18年度は小学生1人、中学生2人、高校生2人で、全て男の子で、沖縄県の高校生1人が含まれています。昭和49年からこれまでの合計は254人となっています。学校検尿三次検診における保護者の意識調査では、専門医による集団検診で行う東京は、適切な指導ができる反面、プライバシーの配慮が望まれ、学校医主体の個別検診で行う九州は、標準マニュアルの一層の普及が必要だと報告されました。学校検尿に対する養護教諭の認識では採尿方法では適切であったが、精密検査の受診先が決まっていない学校が10%以上あり、また統一マニュアルを知らない養護教諭が多かったと報告されました。

引き続き、午後6時から九州各県医師会学校保健担当理事者会及び日本医師会学校保健担当理事者会との懇談会がありました。協議は小児生活習慣病健診の学校保健法に基づく健診項目への追加と就学時健診における予防接種の調査・勧奨の強化についての2題で、2題とも日本医師会への要望事項でした。日本医師会からの回答では小児生活習慣病の健診については学童生徒の10%が肥満の現状では、全例について行うことは困難であるとされ、また、予防接種の勧奨では強化しますということで、あまり意欲が感じられませんでした。この後、日本医師会副会長の岩砂和雄先生の中央情勢の報告がありました。

夜は懇親会が行われ、皆で宮崎県の地鶏など名物料理と焼酎を堪能しました。

5日(日)は午前9時から九州学校検診協議会が開催され、心臓部門、腎臓部門、小児生活習慣病部門で教育講演が行われました。この中で特に印象に残っているのは、熊本大学の服部新三郎先生が1974年から学校検尿が始まってから慢性腎不全患者が減少したことが報告されたことで、改めて学校検尿の意義を確認できました。

午後には九州医師会連合会学校医会総会が開催され、マスコミで話題の東国原宮崎県知事の出席を皆で期待しましたが、代読となり期待はずれでした。

その後、「食育を考える」をメインテーマにシンポジウムが行われましたが、帰りの飛行機の都合上、途中で帰途につきました。