北部地区医師会病院 仲西 貴也
初めまして。私は平成19年の3月に琉球大学 を卒業し、4月から名護市にある北部地区医師 会病院にて初期臨床研修を始めさせていただい ている仲西貴也と申します。この文章を書いて いる時点で、研修が始まってから、早いもので 既に3ヵ月半がたち、まだまだではありますが、 なんとか医師としての仕事の全体像が掴めてき たかなという状況です。このような若輩者であ る自分がこのような公の場で意見を述べさせて いただくなど、本来は恐れ多いことです。先輩 の先生方を満足させるような文章など到底無理 なことではありますが、この機会を与えていた だいたことに感謝しながら、今回は私が現在の 病院を選んだ理由や4月に研修を始めてからど のように過ごしてきたのか、また、それに対し て感じたことなどを書かせていただきたいと思 います。
先輩の先生方はすでにご存知のことと思いま すが、4年前より始まった初期臨床研修制度はマ ッチングによって研修医の希望する病院が選べ ます。研修医側が研修したい病院と病院側が採 用したい研修医が一致した際に研修先が決定と なるシステムです。私は学生のときに北部地区 医師会病院に見学に来て、ぜひこの病院で研修 をしたいと思いました。他の研修病院を選んだ 研修医の方々もそれぞれ現在の研修病院を選ん だポイントがあったと思いますが、私が現在の 病院を選んだ大きな理由の一つは上の先生方と の距離が近く、何でも相談できる雰囲気の病院 であったことです。やはり研修医にとって研修 中は悩みの連続です。悩みが尽きることがあり ません。そのような時、診療科の隔たりなく先 輩の先生方に相談でき、学んでいける環境はとても魅力的でした。また看護師などパラメディ カルの職員から事務の職員の方々までとても気 さくで病院全体がアットホームな感じでした。 言ってみれば、病院全体で研修医を受け入れ、 一緒に頑張りましょうという雰囲気が感じられ たのです。
私は非常に幸運なことに、希望する病院にマ ッチングすることができました。いよいよそこ から研修が始まるのですが、そうは言っても、 3月に医師国家試験に合格したばかりの研修医 に何かできるはずもありません。診察、診断、 治療何一つ満足に行えず、病棟の仕組みすら理 解していません。そのため、北部地区医師会病 院ではまずオリエンテーションとして、研修の 始まった最初の2週間は病院内の各部署、例え ば薬局や放射線室、リハビリ室や栄養室などパ ラメディカルの部署を各1〜2日ずつ回って実習 させていただくカリキュラムとなっています。 病院内の各部署は、医師として普通に勤務して いると、何をしているのか意外によく分かりま せん。ですがこのように研修の始まりで実習さ せていただくことで、それぞれの部署が病院内 でどのような役割を担っているのかなどを自分 の肌で実感させていただくことができました。
このオリエンテーションが終わった後に医 師、研修医としての勉強が始まることになった のですが、先ほども述べたように、この段階で は研修医は何も分かりません。検査や処方のオ ーダー一つできませんでした。そこで2年間の 研修を通して、医師としての相談、またプライ ベートなことに関しても相談に乗って下さる指 導医の先生についてまわり、点滴の選択や採血 手技などを始めとして、医師の先輩方からすると当たり前のことを一から勉強させてもらいま した。
それから約3ヶ月半たちました。研修を始め た頃と比較してだいぶ慣れてきたとはいえ、当 然のことながら、まだまだ勉強不足な自分を 日々感じます。指導医の先生が当たり前のよう に内服薬の処方をしている傍らで、初めて聞く 薬の名前に対しあわてて医薬品集を引きながら 調べている自分がいます。指導医の先生が手際 よく身体診察をこなしていく傍らで、先生の指 摘した所見をとれておらず、あせっている自分 がいます。回診で上の先生方がポイントを押さ えたプレゼンテーションをしている傍らで、要 領を得ずしどろもどろになりながらプレゼンテ ーションをしている自分がいます。
言うまでもないことですが、まだまだ先生方 のレベルには到底追いついておらず、一人では 何もできない状況に変わりはありません。これ からも指導医の先生を始め、多くの先生方にご 迷惑をおかけしながら研修を続けていくことは 容易に想像ができます。ですが少しずつでも医 師として学ぶべきことをできるだけ早く、また できるだけ多く習得していきたいと思っていま す。そして少しでも先生方に近づけるように精 進していきたいと考えていますので、今後とも よろしくお願いいたします。
左より、指導医の與那嶺幸司先生、著者、同じく研修1年目の大城信行先生