沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 8月号

健康のありがたさ

大浜篤

名嘉村クリニック 大浜 篤

私は、昨年50歳になった。医師とはいえ数々 の怪我や病気を経験したが、何とか乗り越えて きた。既往歴を紹介しよう!#1右大腿骨骨折 (ギプス固定)、#2頭部(枇糠疹)脂漏性皮膚炎 (?)、#3臍ヘルニア術後、#4包茎手術後、# 5外痔核(硬化療法)、#6腰椎分離症(腰部硬 膜外持続ブロック)、#7膝内障(右前十字靭帯 断裂)関節鏡下断裂切除術後、#8右中心性漿 液性網膜脈絡膜症(レーザー治療(光凝固)後、 #9右副鼻腔炎、鼻茸切除術後。現病歴;#10 睡眠時無呼吸症候群(SAS)、#11肥満、#12高 脂血症。何と疾病のオンパレード!#5以降は医 師となってから起こったことである。中心性漿 液性網膜脈絡膜症に罹患した時のことだが、暗 い場所になると右眼の中心部が暗く見えなくな った。ある当直の夜、急変があり気管内挿管が 必要になった時のこと、喉頭鏡の電池が切れて いると一瞬思ったが、そうではなかった。なんと 見えないのである!ちょうど研修医を指導中で 教えながら対応していたにもかかわらず、見えな い状況で気管チューブを挿入する訳にはいかな い。指導中の研修医に代わりに挿管してもら う?それを決断するのに自分のプライドが邪魔 をしたが、考えている時間はなかった。運よく挿 管はスムーズにできた。よくやった。安堵した。 しかし私は眼がよくなるのだろうか?多くの場 合、中年男性の片方の目に起こり、原因不明で ストレスや過労が関係しているらしい。幸いに も眼科医の的確な判断と治療で回復した。本当 に感謝している。医者の無用心とよく言われる が正にそうだろうと思う。救急患者を扱う一般 病院から移って本部町の精神科病院併設の老健 で約6年間お世話になった。週休二日ではあるが 那覇から毎日通う。往復で約200kmの道程、一 週間で1,000kmを自動車通勤することは容易で はなかった。責任者という大役を頂戴していた からこそ、できたのかもしれない。昨年夏、母が 病気で倒れ仕事が終わってから母の入院する病 院へ向かう日々が続いた。様々なストレスが私 に覆いかぶさってきた。仕事がうまく裁けない。 ふと気がつくと言い訳ばかりしている自分がい た。できない自分が見えてきた。自分が精神的 にうつ状態に陥っていく様な気がしてならなか った。これではお世話になっている職場、職員 に申し訳ない。ちょうどその時、これは偶然で はなく必然なのかもしれないが、今年の4月から お世話になっている院長に言われた言葉が私の 心に響いた。「自分のからだが資本だよ。いい仕 事をしていくにも、そして家族と楽しく生活し ていくためにも、もうそろそろ家から近い所で仕 事をしてはどうか」ということだった。勿論院長 と一緒に仕事をさせていただきたいことが最大 の理由であり、念願叶って、この4月から浦添市 に通勤している。「名嘉村クリニック」である。 片道10kmである。遅くまで仕事をしても帰途時 間はほんのわずかである。私は在宅医療の仕事 を中心に、外来ではSAS患者を中心に診ている。 また浦添総合病院検診センターで検診業務を授 かっている。かなりハードである。しかしそれを 乗り越える力を院長とセンター長から頂いてい る。お二人とも超プラス指向!!ピンチはチャンス だと!以前からどんなに遅く帰っても晩酌でビ ールや泡盛をのみ、とうとう体重は最近90kgを 越えてしまった。これまでに2回、短期間で食事 療法、運動療法を行い、88kg→75kg、88kg→ 80kgと減量してきたが、すぐリバウンドしてし まう。いくら家から近い所に勤務が変わったと しても、資本であるからだが問題である。先日 形成外科のある先生と久しぶりにお会いした時、 テレビでよくコマーシャルをしているBilly's Boot Campという運動プログラムを1週間行い、 体重が数kg減量できたという話を聞いた。早速 注文した。今回は食事療法は行わず行った。激 しいトレーニングと聞いていたが、何回もDVD を止めながら、水分補給し呼吸を整えてチャレンジした。何と一週間で、体重は90.8→87.6kg (3.2kgの減)、ウエストは102.5→96.8cm(5.7cm の減)となった。その後の三日間で更に体重は 86.7kg、ウエストは96.0cmと減ってきている。 内容は有酸素運動と無酸素運動を組み合わせた 集中トレーニングである。とてもきついけれど、 ほとんど毎日仕事から帰ってきて空腹の状態で 運動することにからだが慣れてきた。運動後夕 食を摂るが腹八分で満足できる様になった。ま た晩酌時間は2〜3時間は当たり前の様に費やし ていたのが半分以下に減り、あるいは飲まない 日もでき、何か今までには全くなかった時間、 余暇の時間を楽しむことができる様になったの である。更に寝る時間が今までよりも1〜2時間 は早くなったのである。睡眠時間もその分長く なり、CPAP効果として起床時の爽快感がみら れ、そして日中の傾眠傾向がなくなってきたの である。朝、出勤する時から軽快に歩き、冴え た頭で仕事ができ意欲、集中力、判断力が維持 できる様になってきた。そしていつのまにか自己 評価も上がっていくのがわかるのである。健康 って本当にありがたい。精神的にも肉体的にも 健康であり続けることで私は、生き生きとした 仕事、生活ができると確信した。全て自分が源 (みなもと)である。そして今、関わって頂いて いる全ての皆様に心から言いたい。−ありがと うございます−