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魅力あるリーダーの条件

旭朝弘

那覇市立病院 旭 朝弘

ある研修会の会場で上記のタイトルの本を見 つけた(近藤新生著、福音社)。面白そうなの で買ってみた。「リーダーとは、政治家、経営 者、管理職・・・といった人たちだけを指すの ではなく、親は家庭のリーダーで、大人はみな 社会のリーダーです。」といった言葉がその本 の裏に書いてあった。医者は、医療チームのリ ーダーであるし、患者さんからみてもリーダー である。本を開いてみた。人に好かれるための 10原則というのが書いてある。その中に、「人 の名前を覚えることに熟達しなさい。これがへ ただということは、その人にあなたが関心がな いということになる。」自分も何年も同じ病院 にいて、名前が分からない看護師さんが大勢い た。名前と顔が一致するように努力した。出来 るだけ名前を呼ぶように気をつけた。「人につ とめて声をかけなさい。はずむような挨拶ほ ど、こころをはずませるものはありません。」 「笑顔を持ちなさい」病院の中でも、家庭でも いつも楽しいことばかりではなく、いらいらす ることや、落ち込むことだってある。そういう 時でも、笑顔でいることが大事である。「奉仕 するチャンスを逃がさない様にしなさい。」リ ーダーだからといって人を使うだけではだめ で、むしろ相手のために何か出来ることはない かと考えることが必要である。「人にしてほし いとあなたがたの望むことを、人々にもそのと おりにせよ」と聖書にも書かれている。自分も それを心がけているがなかなか出来ないでい る。

社会生活を送っていると、いろいろな苦情を いわれることがある。中には、根も葉もないこ とを言われたりするが、大抵は、心当たりがあ り苦情を聞くのも心苦しいものである。しか し、「正しい批判を聞くことの出来ない人には、 向上の可能性はありません。」「あなたをあえて 批判してくれる人が、ほんの数人に限られてい るなら、その数少ない人を大切にしましょう。 正直な批判をしてくれる人には、だれでも感謝 の気持ちを忘れてはなりません。」自分にいつ も小言をいってくれる家内は大切な人である。 苦情をいわれることもあれば、いうこともある 訳でその時に大事なことがある。「相手を一度 もほめたことがないなら、あなたの批判が受け 入れられる可能性はきわめて低い。」ある夜、 病棟の看護師さんから電話がかかってきた。最 初から声のトーンが高く、どうして何々しない んですか?とやや怒っているような声であっ た。電話対応だけで事は済んだが不愉快さだけ が残った。怒りには、怒りで対応するしかなく なるわけで、相手の何かを変えさせたいなら冷 静にいうべきである。

どんな人にも少なからず困難がやってくる。 その時真のリーダーは、とても出来ないとは考 えない。やってみようと考える。「問題は、消 極的に考える人を押しとどめますが、積極的に 考える人には、スタートをかけます。問題はで きないと考える人を麻痺させますが、できると 考える人を活気づけます。」「私たちは、積極的 で明るいリーダーにひかれるものです。」魅力 的なリーダーに限らず、成功の秘訣もすべてこ のポジティブな発想である。

研修会の講演である演者が人を動かす3つの ものについて話をしていた。一つは、恐怖。二 つ目は、損得。三つ目は、愛であった。一つ 目、二つ目は容易に理解できるが、愛とは抽象 的すぎて理解が難しい。言い換えると魅力だと 思う。「それが順境であろうと逆境であろうと、 たとえ死を意味しようとも、一緒にいることに 満足と喜びを感じさせる人格である。」魅力的 な人の回りには、多くの人々が集まってくる。 有名な政治家や芸能人もそうだし、身近にもそ ういう人はいる。「魅力的な人は、必ず自分に 対して厳しい人である。」「真の人望のある人と は、温かく人を包む雰囲気を持ちながら、厳し い一面があり、圧倒するような威厳がありなが ら、温和で優しさを秘めている人である。」こ こまでくるとそうどこにでもいる人ではない。 まさしく理想の人であろう。

自分がいつも鞄に持ち歩いているエレン・ホ ワイトの本の中の言葉。「疑いや失望の言葉は、 一言も言わないようにしましょう。希望と喜び にみちた言葉を語ることによって、他の人をさ らに明るく強く生きるように導くことができま す」。病院では、毎日多くの人と接するわけで、 自分も魅力あるリーダーに少しでも近づけるよ うになりたいと思った。