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第104回沖縄県医師会医学会総会

印象記

玉井修

理事 玉井 修

毎回多くのプレゼンテーションと、活発な意 見交換がなされる医学会総会ですが、今回も 140題と多くの興味深い演題が発表されました。 日常診療の合間、日々の臨床現場における様々 な出来事に問題意識を持って研究された演題が 多く、熱のこもった発表と活発な質疑応答が行 われました。

朝の8時30分からは一般講演が行われ、私は 第一会場の一般・プライマリの座長を担当しま した。一般・プライマリのセッションは主にプ ライマリケアを日常診療として行っている第一 線の臨床医を対象に、興味ある報告が行われま した。麻疹の流行や、夏期のインフルエンザ流 行、医療安全の問題など明日からの臨床に直結 する発表に先生方は食い入るように聞き入って いました。お昼前に開催されるミニレクチャー では、自分の専門領域以外の疾患でありなが ら、日常遭遇しがちな疾患に関して専門の先生 からわかりやすい講義を受けることができま す。今回は琉球大学医学部附属病院精神科神経 科の外間宏人先生より『不眠症について』とし て講演を頂きました。患者さんの眠られないと 言う訴えに対して我々は直ぐに睡眠薬を処方し がちですが、日常生活の中で睡眠障害を緩和さ せる様々な工夫を実践させてみる事も大切だと 思いました。また県立中部病院内科消化器グル ープの篠浦丞先生より『胃食道逆流症(GERD について)』と題して最近増加しているGERD の様々な症状について詳しくお話頂きました。 咳や耳が痛い等の症状もGERDによって発生す るのですね、驚きです。

12時からは分科会長会議が開催され、次回の 沖縄県医師会医学会総会について話し合われま した。次回は12 月8 ・9日に開催が決定され、 特別講演は泌尿器科医会と内科医会からのご提 案で『医療崩壊と医師の果たす役割』と題し て、昨今の医療を取り巻く厳しい現状が医師の 現場離れを促進し医療崩壊へ繋がる危険性を増 大させている現状を虎ノ門病院泌尿器科部長小 松秀樹先生、または済生会栗橋病院副院長本田 宏先生に御講演頂く方向で調整する事になりま した。またシンポジウムでは療養病床23万床削 減によって生じる介護難民を含めた様々な問題 を討論する事になりました。シンポジストとし ては宮城信雄会長、行政担当者、ケースワーカ ーなどを予定し調整に入ることになりました。 次回のミニレクチャーは小児科医会より最近 MRワクチン等の登場により、やや混乱が生じ ている予防接種に関して整理してお話して頂け る事になりました。また内科医会からのご要望 により、妊婦における薬物療法に関して産婦人 科医会よりレクチャーをしていただける事にな りました。次回のミニレクチャーの座長は小児 科医会の具志一男先生にお願いする事になりま した。よろしくお願い致します。また、今回の 第104回沖縄県医師会医学会総会の反省点とし て、ミニレクチャーの時間が短くて充分な討議 ができなかった点が上がっております。また今 後の会頭の選出に関しては各分科会で持ち帰っ て検討する事になりました。

昼の1 時からは千葉大学大学院・医学研究 院・和漢診療学の寺澤捷年教授より「各科診療 における漢方薬の活用と意義」と題して御講演 を頂きました。なかなか理解しにくい漢方処方 に関して、非常にわかりやすく解説して頂きま した。同じ病名でも漢方処方はその人の状態に よって使い分けが必要であり、場合によっては 臨床経過を追いながら処方を変更していくことも必要です。フロアからは漢方処方はどのくら い飲ませれば良いのか、常用している漢方処方 がある場合に風邪などの急性疾患を合併した場 合の対応、漢方薬の併用療法に関してなど非常 に臨床的な質問が多く、漢方処方を日頃から行 っている臨床医の先生方にとっては大変勉強に なったのではないでしょうか。

午後2 時30 分からは午後の一般講演が行わ れ、疲れを知らないドクターのバイタリティー にはただ驚くばかり、会場は生涯学習にかける 情熱で熱気ムンムンでありました。

ミニレクチャー会場風景

ミニレクチャー会場風景

外間宏人先生

ミニレクチャー講師 外間宏人 先生

篠浦丞先生

ミニレクチャー講師 篠浦丞 先生

ポスターセッション会場風景

ポスターセッション会場風景