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機器を介した感染から患者と私達を守るために

久田友治

琉球大学医学部附属病院 手術部
久田 友治

第3回の機器と感染カンファレンスが3月10 日、琉球新報ホールで開かれた。これは日本医 科器械学会が主催したもので、今回は「機器を 介した感染から患者と私達を守るために」をテ ーマとして、県内外から看護師、医師など約 250名の参加があった。

先ず、“針刺し界の若手ホープ”とされる吉 川先生が、職業感染対策に関した安全器材の特 徴と取扱いを中心に話をされた。次に、洗浄/ 消毒/滅菌について如何なる質問にも答えるこ とができると紹介された島崎先生の講演があ り、このカンファレンスが、滅菌技師・士の単 位付与になることもあり、洗浄/消毒/滅菌に 関わる方々にとって有用なものとなった。講演 VとWでは県内の感染管理認定看護師である、 お二人がそれぞれ現場でおこなっている一次洗 浄消毒廃止への取り組みを報告した。最後の藤 田先生の講演は病棟・外来における機器と感 染−過去の事例に学ぶことと題し、多くの聴衆の眼と耳を片時も離さない内容であった。講演 後の総合ディスカッションにより、今回のカン ファレンスが更に意義のある集まりになった。

紙面の都合で、講演Tの要旨だけを下に記 す。従来の“事故”の認識は“予測が難しく避 けられない”であったが、最近の認識は“予測 が可能で予防可能”へと変化している。針刺し 切創対策として、鋭利器材を1)使わない、2) 鋭利部を隔離する、3)使用後に隔離又は遮蔽 するがあるが、安全機能つき=「針刺しゼロ」 は間違いである。すなわち、鋭利器材を使って いる以上、あくまでも“傷害リスクを減ずるも のである”との認識が必要であり、計画的なト レーニングと教育が重要である。

機器を介した感染から患者と私達を守るた めには、現場で働く看護師、医師、滅菌技 師・士だけでは不充分であり、病院管理者の 理解も必要であると思われた。


講演T「安全対策機器、器材の正しい使用法」:吉川 徹(労働科学研究所)

講演U「手術部・材料部における機器と感染」:島崎 豊(海南病院)

講演V「中央化への取組み〜現場での一次消毒廃止〜」:石川美根子(豊見城中央病院)

講演W「病棟における一次洗浄廃止に向けて」:真栄城咲子(浦添総合病院)

講演X「病棟・外来における機器と感染−過去の事例に学ぶこと」:藤田 次郎(琉球大学)