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平成18年度永年勤続医療従事者表彰式98名が表彰される

常任理事 嶺井 進

会場風景

会場風景

去る11月24日(金)午後7時30分からパシ フィックホテル沖縄に於いて、永年勤続医療従 事者表彰式が行われた。

同表彰式は会員が開設する医療機関に20年 勤務する医療従事者に対して行うもので、当日 は新垣善一代議員会議長、来賓に喜友名朝春沖 縄県福祉保健部長ご臨席の下、今回は41施設 から98名が表彰された。

開会にあたり、宮城信雄会長から受賞者へお 祝いの言葉があり、「今回表彰を受けられる皆様 は、非常に経験豊かな方ばかりであり、永年培 った経験や知識、技術を活かし、それぞれの立 場で良質な医療の提供に努め、後輩の指導にも ご尽力を賜りたい。」と挨拶があった。

続いて、来賓の喜友名朝春部長から「20年の 長きにわたり、県民の保健・医療・福祉の向上 に貢献され、そのご功績に深く敬意を表する」と激励の言葉が述べられた。

引き続き、受賞者を代表し上村病院准看護師 の金城初子さんから、「本日は私達のために、 このような盛大な表彰式を催して頂き、心より 感謝申し上げます。私達がこの様に表彰を頂け るのも、院長先生をはじめ、諸先生方、並びに 同僚の皆様方のご指導、ご支援の賜物と深く感 謝申し上げます。今日のこの受賞を肝に銘じ、 謙虚な気持ちでこれからも日々研鑽し、精進し たいと思います。そして、常に安全、思いや り、やさしさ、笑顔を忘れずに、先生方と共 に、より良い地域医療の提供に努めていきたい と思います。」と謝辞が述べられた。

表彰式終了後に行われた懇親会は、新垣善一 議長の乾杯の音頭で祝宴に入り、被表彰者の所 属する施設長や同僚が多数参加し、受賞者の永 年の労をねぎらい盛会のうちに終了した。

なお、同表彰式は毎年11月に開催している ので、被表彰候補者の推薦については、各医療 機関並びに各地区医師会において、申請漏れの ないようお願いしたい。

当日、懇親会の中で行った受賞者へのインタ ビューを下記に掲載する。

喜友名朝春福祉保健部長

喜友名朝春福祉保健部長

金城初子氏

受賞者を代表して謝辞を述べる金城初子氏

受賞者の皆さん

受賞者の皆さん

受賞者の皆さん

受賞者の皆さん

大浜第一病院
准看護師 新地辰江氏へのインタビュー
嶺井常任理事(左)、新地辰江氏(右)

嶺井常任理事(左)、新地辰江氏(右)

○嶺井常任理事 これまでの勤続20年間で のさまざまなご苦労の中で、特に心に残る思い 出などがあればお聞かせいただけますか?

○新地氏 20年の間には、仕事のこととか、 私生活のこととか、いろいろと悩んだことはあ ったのですが、そういうときに上司の方々とか 先輩の方々に支えていただいて頑張ろうという 気になりました。2、3年前ですかね・・・こど もが病気をしてしまい、パートの方に替わろう かなと考えて上司に相談しましたところ、「も う少し頑張ってみて、どうしても駄目なときに は考えましょう」というお返事をいただき、そ のときにはすごく悩んでいたんですが、厳しい ことばと優しいことばで支えられて今日を迎え ることができました。

○嶺井常任理事 長い年月には、ドクターと の連携で難しい面もいろいろとあったかと思い ますが、ドクターとの協力関係で何か印象に残 っていることとか、改善してほしいことなどはありますか?

○新地氏 私が質問するとその場ですぐに解 決していただいておりますので、先生方を尊敬 しておりますし、そのお陰で楽しく勤務させて いただいております。

○嶺井常任理事 それでは、患者さんの気質 の違いといいますか、20年前とでは何か違いが ありますか?

○新地氏 何年か前、私が病棟の方に勤務し ていた頃の話になりますが、整形病棟で長年入 院していらっしゃる患者さんがいらしたんです ね。患者さんの生活や悩み等の面で、家庭的な お付き合いもあったし、患者さんと深い関わり があって、思い出深かったということもありま す。

現在は外来なんですが、外来は外来でまた違 う意味で頑張っています。

○嶺井常任理事 この頃は、病院の対応につ いて、患者さんからの苦情等も多くなってきて いるという話もよく耳にしますが、そのあたり のことはどうですか?

○新地氏 それは、病院が発展する意味で、 とてもありがたいことばだと思って受け止めて おります。

○嶺井常任理事 看護師が不足してきている という現状ですが、大浜第一病院ではどうでし ょうか?

○新地氏 スタッフは、極端に不足している という感はないですね。

○嶺井常任理事 最後に、沖縄県医師会への 要望などがあればお聞かせ下さい。

なんでもいいですよ。ドクターの態度が横柄 だとかでもいいです。(笑) 何かないです か?

○新地氏 医師会への要望ですか・・・スタ ッフがそれぞれ性格が異なるように、先生方の 態度もそれぞれの先生方の個性でもありますの で、お互いにうまく仕事をしていければと思っ ております。

産婦人科小児科 上村病院
総婦長・助産師 桑江喜代子氏へのインタビュー
准看護師 金城初子氏へのインタビュー
桑江喜代子氏(左)、金城初子氏(右)

桑江喜代子氏(左)、金城初子氏(右)

○嶺井常任理事 これまでの20年間という のは決して短いことはなかったと思います。そ の中で、いろいろなご苦労があったかと思いま すが、特に印象に残ることがありましたか?

○桑江氏 15年間は公務員でしたので、公立 病院と那覇、浦添、コザの看護学校で看護教諭 をしておりました。その後、一旦、家庭に入っ て、それから上村病院で産婦人科助産師として 頑張っております。

民間病院では、頑張れば頑張るほど結果が得 られるということ、毎月100例を越すほどの県内 一の分娩件数であることなど、そういう病院で働 けることをとても誇りに思っております。

○嶺井常任理事 上村病院は、産婦人科医が 不足している中でも、8名のドクターがいらっ しゃるとうかがっておりますから、そのような 分娩件数をこなすことができるんでしょうね。

○桑江氏 そうですね。7名の産婦人科医と 1名の小児科医がいます。とても働きやすい環 境です。

○嶺井常任理事 産婦人科で、最後に生き残 るのは、上村病院ではないかと思っています よ。(笑)

○桑江氏 はい。(笑) 生き残れるように 努力しています。(笑)

○嶺井常任理事 金城さんはいかがですか?

○金城氏 先生方、助産師さんと一緒に大勢 のベビーちゃんを取り上げている毎日ですの で、日々、感動です。妊婦さんから、“ありが とう!!”と言われるのが一番うれしいですね。

○嶺井常任理事 産婦人科は毎日が出産祝い ですからね。非常にやりがいがある仕事ですよね。

そんな中、ドクターとの連携などで、困った ことや苦労されていることなどはありません か?

○金城氏 そういうことはございません。ツ ー・カーの仲になれるぐらいにドクターとも非 常に連携がとれております。

○桑江氏 チーム医療といいますか、産婦人 科は母子保健なので、地域に開かれた病院とし てやっていかないといけません。そういった意 味から、地域のお母さんたちのニーズに応えら れるようにやっていくことを心がけています。

上村病院では、お産だけではなく、産んだ後 の子育て支援ということにも非常に力を入れて おります。お母さんたちに病院の一部屋を開放 しまして、毎週、育児サークルとしての“桃太 郎サークル”というものを行っております。そ れが今年、10周年を迎えて、先週、イベントを 終えたところです。

○嶺井常任理事 上村病院では、そこで産ま れた方が、またそこでお産するということがあ りますよね。

○桑江氏 そうですね。三世代がお産をした りします。

去年は40周年で、“上村っ子大集合”という ことで、5万人を達成しました。

○嶺井常任理事 すごいね。ということは、 沖縄県の人口を5万人も増やしたんですね。産 婦人科は、夜勤が多いかと思いますが、その辺 はいかがですか?

○桑江氏 ええ。夜勤は多いですが、それは ローテーションでうまくやっています。定員は そろっていますので、労働基準はうまく満たさ れております。

○嶺井常任理事 そうですか。ドクターもそ うありたいものです。

それでは、医師会に対する要望などはいかがですか?

○嶺井常任理事 看護師が不足しているとい う問題があるのですが、そのあたりについて は、上村病院ではいかがですか?

○桑江氏 なんとか看護師は人数が足りてい るんですが、助産師が不足しておりますので、 看護師だけでなく、助産師の養成について、医 師会の先生方にも一緒に頑張っていただきたい と思います。コラボレーションということが必 要になってきていると思います。訓練も必要だ と思いますが、正常分娩は助産師に任せるとい うことになれば、先生方も少しは楽になってく ると思うんです。

○嶺井常任理事 僕も担当理事なので、助産 師を増やすように働きかけているのですが…。 今度、中部地区医師会立の看護学校が出来る と、また、そこで養成できると考えています。 今後も頑張っていただきたいと思います。本日 はありがとうございました。おめでとうござい ます。

○桑江氏 ありがとうございました。

○金城氏 ありがとうございました。

医療法人八重瀬会同仁病院 診療放射線技師長
山川岩美氏へのインタビュー
山川岩美氏

山川岩美氏

○嶺井常任理事 勤続20年というだいぶ長 い期間となりますが、その間、印象に残ったこ となどはありますか?

○山川氏 先生もご存知だと思うんですが、 病院の開設当時は、放射線技師が沖縄県では非 常に不足しておりました。4、5年ぐらいは、私 一人でしたので、業務量が多くて大変苦労しま した。嶺井先生の病院にお勤めの我喜屋先輩に もだいぶお世話になりました。現在でもゴルフ でもお付き合いさせていただいております。

○嶺井常任理事 20年前と現在の患者さん の気質の違いというのは感じますか?

○山川氏 20年前というと昭和59年頃です かね。その頃の患者さんは、絶対的に病院を信 頼して任せてくれていたのですが、現在は、患 者さんが医者を選ぶ時代で、苦情も主張も多い ですね。患者の主義・主張が大変強くなってき ておりますので、昔とは違ってプレッシャーが 非常に強く、医療現場の先生方はとても大変だ ろうと思っております。

○嶺井常任理事 最後に、医師会に対する要 望などがありましたらお聞かせ下さい。

○山川氏 保険点数が病院の収入源ですので、沖縄県医師会としても、是非、保険点数に ついて厚労省に申し立てをしていただければと 考えております。介護保険にしても、おいしい エサを与えておいて、1、2年目で予算を削り、 苦しい状況に追いやっているというような感が します。

武見太郎先生がいらっしゃった頃のようなパ ワーをつけていただいて、陳情していただき、 今の官僚主導型のシステムを阻止していただき たいと思います。

やはり、医療というのはサービスですので、 医療機関が赤字では成り立ちません。ある程度 の収益がないと患者さまに対して良いサービス も出来ませんので、そのあたりのことを国とし ても汲み取っていただきたいなあと常々思って おります。

○嶺井常任理事 本日はありがとうございま した。おめでとうございました。

○山川氏 ありがとうございました。

印象記

嶺井進

常任理事 嶺井 進

勤続20年といえば、ほぼ半生を同じ施設で働いたことになる。

その間、色々とご苦労されたことと思うが、出席された方々は一様に活き活きとして晴れやか な表情であった。

これから医療従事者の役割は益々重要になってくる。

少子高齢社会の中で、人材不足でゆとりある生活は保障できないが、せめて働き易い、働きが いのある職場作りを目指して行きたいと思う。