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九州医師会連合会第92回臨時委員総会に参加して

安里哲好

常任理事 安里 哲好

去る11月17日(金)、大分県において標記臨 時委員総会が開催され、九州医師会連合会の事 業現況並びに歳入歳出現計等が審議され承認さ れたので、会議の概要を報告する。

はじめに、司会より開会が宣された後、嶋津 九州医師会連合会長(大分県医師会長)より、 来賓としてご出席いただいた日本医師会の唐澤 会長、竹嶋副会長、今村常任理事、武見厚生労 働副大臣、西島自民党国会対策副委員長並びに 九州各県より参加された委員へお礼が申し述べ られると共に、一段と厳しさを増す医療環境の 中、学術専門団体として国民、医療関係者から 期待が寄せられる日本医師会の唐澤会長より合 同協議会において「今後の医療状況の展望と課 題―日本医師会の取り組む方向―」と題してご 講演いただくのでご期待いただきたいとの説明 があった。

続いて唐澤日本医師会長、武見・西島両参議 院議員より次のとおり来賓祝辞が述べられた。

来賓祝辞

【唐澤人日本医師会長】

現執行部となって半年が過ぎた現在、地域医 療における課題が明確になってきた。日本医師 会としてこれらの課題を早急に解決すべく努力 しているところである。医療関連改革法案にお ける21項目の付帯決議についても行政官庁へ の対応策の方向性を打ち出しているところであ る。武見・西島両参議院議員の努力により付帯 決議がついたことは大変大きな意義がある。そ の流れに乗って日本医師会も十分に力を発揮で きれば、実現の方向に繋がっていくと思ってい る。今後の医療については、国民がどのような 医療に対する評価をもってくれるのかというこ とを第一の念頭に置きながら行動していきた い。医療、医療制度、国民皆保険制度はすべて 国民のものであり、保険証1枚でどこでも適切 な医療が受けられるという制度を守っていかな くてはならない。世界的にみても非常に低い医 療費で良い医療が提供されている現状と日本の 医療を更に良くするために活動を続けていくこ とを国民に伝えていきたい。

各郡市区医師会から日本医師会に対し、広報 活動の強化、医療制度改革への早急の対応、組 織の強化を求められている。会員の半数近くを 占める勤務医の先生方に対してはしっかりと日 医としての政策を示すと共に、更なる組織強化 と実力保持を図り、目的実現のために実行力を 発揮していきたい。

明後日に控えている沖縄県知事選挙をはじめ 来年の国政選挙で我々の力を示すことも重要で あり、政治をしっかりと見極め、本気になって 正しい方向に進める時期にきている。私自らの 務めが果たせるよう今後とも、ご指導、ご支 援、ご鞭撻、ご叱咤を賜りたい。

【武見敬三参議院議員】

この度、安倍内閣発足と共に、厚生労働副大 臣を拝命した。ここまで至るには九州医師会の 先生方のご支援があったからこそであり、改め て御礼申し上げたい。現在、労働担当という立 場にあり、産科、少子化対策を担当している。 また、保健医療福祉全般にわたって省内におい て意見を述べることができると共に、各関係局 より意見を聴取することが出来、筆頭副大臣と して大臣を補佐する立場にある。極めて重大な 時期だけに、責任の重さを感じており、省内に おいて出来る限りの努力をさせていただく覚悟 である。

【西島英利参議院議員】

この度、安倍新総裁の下で参議院自民党国会 対策委員会副委員長を拝命した。厚生労働と内 閣委員会、災害対策特別委員会等を担当してい る。規制改革、経済財政諮問会議等の問題につ いては、内閣委員会の主唱である。厚生労働と 内閣の中で国民医療が崩壊するような方向に行 かないようにするため、しっかりと意見を述べ させていただく。国会対策委員会では法案をい つ議論し始めていつ採決するのかを調整する。 そういう意味では厚生労働省、内閣には非常に 強い力をもっている。更に厚生労働省の中に武 見副大臣がおられるので、先生方が安心して医 療が提供でき、国民が安心して医療を受けられ るよう全力を尽くしてまいりたい。今後ともご 指導をよろしくお願いしたい。

その後、座長に嶋津九州医師会連合会会長が 選出され、報告、議事がすすめられた。

1)第284回常任委員会については嶋津会長 より、2)九州医師会連合会事業現況について は大分県の近藤委員より、3)九州医師会連合 会歳入歳出現計については大分県の阿南委員よ り、4)第106回九州医師会医学会および関連 行事については大分県の近藤委員よりそれぞれ 報告があった。

なお、歳入・歳出合計並びに差引残高につい ては下記のとおり。

歳入合計 59,539,416円
歳出合計 11,951,105円
─────────────
差引残高 47,588,311円

引き続き行われた議事については、第106回 九州医師会連合会総会における宣言・決議 (案)が朗読され、審議の結果、原案どおり承 認され、翌18日(土)の総会に上程することが決定された。

以上の議事を終了後、米盛鹿児島県医師会長 より概ね下記のとおり、情報提供があった。

7対1看護に関する現場の混乱について

鹿児島大学病院が8月から末に掛けて既免許 取得者並びに来春卒業予定者を対象に150名の 看護師募集の広告を新聞に掲載しすでに試験も 終了し、内定を通知している状況にある。その 内の約50名が現在も民間病院に勤める看護師 である。これまで手塩にかけた看護師を大学病 院の7対1看護を充たすがためにさらっていか れたようなものであり、救急医療を一生懸命や っている民間病院に対しこのような仕打ちをし て滅亡を強いることが日本の医療なのかと嘆い ている会員がいる。新聞に募集広告が出た際に 鹿児島県医師会としては医療機関に勤めている 看護師については、その医療機関と十分協議し ているかを採用予定者に確認し経営に支障が出 ないようにすること、また、新卒者については 著しい地域偏在が生じないよう配慮するよう大 学側に確約したところであるが、実際には受験 者のほとんどが合格となって既に通知も出され ている状況である。そのような実態に則し、今 後も各地域で同様の問題が起こりうることが予 想されることから、この問題の根幹である法律 面について日医、国政を預かる先生方にご意見 を伺いたい。

【唐澤日医会長】

過日、西島参議院議員が本件について、委員 会の代表質問で質問を行っているが、担当者は 全国でそのようなことが起こっていることを把 握していないとの回答をしている。

7対1看護も問題でもあるが、大学病院がどの ような理念をもって特定機能病院としての役割 をはたしているかという点が問題である。実際 に大学病院に行くと外来は民間医療機関で十分 対応可能な患者さんで満ちている状況である。

そのような状況もあって多くの医師、看護師を受け入れようとしているのかもしれない。7 対1になれば何十億円という濡れ手に粟とも言 えるような状況になるかもしれないが、日本の 医療の根幹を支える大学病院が本来果たすべき 医療機能は何かということを我々はしっかりと 把握しておかなくてはならない。

看護協会は7対1看護は我々にとって看護事 業における突破口であるとの発言をしている。 また、厚生労働省は7対1で、病床削減、医療 費適正化を図ると共に、地域医療における特定 部分への圧力をかけていると思われる。

大学が明確な理念を示さない中、派遣医師の 引き上げ、看護師の増員という整合性の無い状 態で物事が進められている状況である。

地域医療体制の混乱がこれらの根底にあり、 特定機能病院が提供すべき医療、民間、あるい は国公立病院が提供すべき医療、有床診療所が 提供すべき医療、小規模の医療機関が提供すべ き医療が地域の中でしっかりと確立していく方 向にないのが現状である。そのような方向にも っていこうとする国の政策が間違っているので あり、このような暴挙に対しては、武見、西島 両議員としっかりと調整したうえで政策戦略を 打ち出していきたい。

【竹嶋日医副会長】

この問題に関してはすでに西島議員が長時間 に亘って質問をし、問題提起をしているところ であり、それについての反応が少しずつ文部省 より出されている。過日皆さんから頂いた診療 報酬改定に関するアンケートについては、10月 の中医協に上げると共に11月29日の中医協に おいても諮る予定である。

すでに公の場に出された状態であるので、 我々はその後の状況を地域医療第1課と日医総 研で検討しているところである。米盛鹿児島県 医師会長のお話があったように、各県において も特にボーナスの時期を過ぎて大きな動きが出 てくることが予想されるため、その後の状況を 調査すべく準備をしているところである。その 際には各県に調査が行くかと思うので、できる限り詳細な情報を出していただきたい。

【武見議員】

先週の日曜日に北海道で同様の問題提起を受 けたところである。既に保険局に対しては、こ のような混乱が生じている現状について早急に 対処する必要があるのではないかということを 申し述べている。北海道では、61の市町立病院 の中で同様の問題を抱えている病院が沢山ある ことがわかっている。やはり札幌の大病院に吸 収されることへの懸念、これに対する看護師不 足の懸念が問題提起された。そのような中で病 院を閉じるということは、行政の責任上出来な いため、それを補填するため更なる一般会計か らの財源補填が結果として必要になる。その結 果、病院は閉じることなくその状況下で運営が 続けられる。本省からすると病院の運営は継続 されているから問題はないとの解釈をしてい る。こうした問題は改めて取り組みなおす必要 があると考えている。

鹿児島の経緯は初めて伺ったが本省に戻り、 改めてこの問題について確認を求め、積極的に 取り組みたい。

【西島議員】

この問題については先日の厚生労働委員会に おいて質問をしたところであるが、与党の議員 と野党の議員が質問するのとでは大きな違いが ある。そのときの答弁は冷たく聞こえるような 答弁であったが、しかしながら、その答弁で非 を認めるような発言をすれば大きな問題となる ことから敢えてそのような答えが返されてい た。しかし、委員会後には前向きに検討する旨 を述べてきている。

そこが与党、野党の違いであり、野党の場合 はその場で徹底的に責めてはいくが、結果的に 何も得られないまま質問が終わる。そういう意 味では、今回、大臣がおられる前でこのような 質問をして、問題を認識していただいている。 武見議員も副大臣であるため、出来れば来年4 月までには何らかの修正をしたいと考えている。7対1看護については、中医協の議事録を 全て取り寄せて見たが殆ど議論がなされていな い。ただ、過去に出来れば病棟単位でしてほし いとの要望が出されてはいる。もし、病棟単位 でやっていればこのような大きな混乱は起きて いなかったはずである。私が中医協の委員であ ったときには、このような問題は全て水面下で話し合われていたが、過去2年間はそのような 調整がないまま直接国会に出される等、結果的 に改悪につながっていってしまった。今後は竹 嶋先生を中心にして、しっかりしたデータを基 に厚生労働省と調整できるので4月には何らか の修正が出されるのではないかと思っている。

国会報告

【武見敬三議員(厚生労働副大臣)】

医療制度改革に関わる法案の採決の際の付帯 決議が重要な拠り所となって改めて政省令の策 定を通じて新たな見直しの議論が始まってい る。更にこの議論とは別に産科の問題が顕在化 してきている。医事紛争の問題、あるいは保助 看法の問題等の観点からである。そこで実際に このような問題を解決するひとつの手立てとし て、脳性麻痺に限ってはいるが無過失保障制度 の創設が日本医師会から提示され、現在具体的 な作業が詰められている状況である。もうすで に具体的な詰めの段階にはいっており、12月予 算の時期までにはその内容を明らかにすること が可能という状態である。その他、産科の内診 問題について、

保助看法の問題については、14年、16年と2 回通達が出されているが、これらに基づいて、 実際に問題が発覚したときに警察の捜査につな がるという状況が現実に出てきている。産科医 療の現状を考えたときに萎縮医療にもつながる 重要な案件である。したがってこのような問題 を早急に解決するための手立てを、厚生労働省 医政局、産科医会、日本医師会との間で協議が 進行中である。

医事紛争については、自民党の中にプロジェ クトチームを発足し、西島議員が副座長として その中身を来年の夏までに取りまとめる経緯に なっている。

高齢者医療については、現在、3つの局において同時に並行的に審議が始まっている。医政 局は高齢者医療のガイドラインの審議、保険局 においては高齢者医療の診療報酬のあり方につ いての審議、老健局では介護施設における高齢 者医療のあり方についての議論を行っている。 療養病床については、6年後に15万床に縮小す ることになっているが、激増する高齢者医療の 供給体制の将来予測を考えたとき、果たしてこ のような状況が適切であるのかという議論が出 てきている。現在1年間で約108万人が亡くな られているが、ピーク時の2038年には170万人 を超えると言われている。従ってそのような 方々の高齢者医療や終末期医療のニーズは今後 急激に増加する。療養病床は終末期を含む高齢 者医療を提供する重要な一角を担ってきてお り、これを15万床に縮小するとなった場合、改 めてその転換先となる介護施設においても終末 期医療を含めた適切なる高齢者医療が行えるよ うな状況を作り出さなければ、激増するニーズ に対応できないことから、これに対する議論が 省内で始まっている。

それを老健局がやっているところであり、来 年の3月を目途に取りまとめをすることになっ ている。そうなると例えば介護施設における医 療を考えたとき、従来、老人保健施設であれば 介護保険の中で包括化されていたわけである が、これらについて、改めて介護保険から切り 離して介護施設における医療については医療保 険の対象に切り分ける考えが議論に上がってい る。こういった多くの基本的な制度の運用に関 わる議論がこれから来年の3月まで行われるこ とになっている。この問題は将来の医療財源の 確保の問題とも密接に結びついてくると考えて いる。次回の参議院議員選挙が終わると、消費 税引き上げの議論が本格化される。基礎年金の 2分の1を国の負担とすることが法律で決めら れているためである。しかしながら医療に関し ては消費税を引き上げても医療の財源にすると いう理屈は明確に形成されてはいない。従って 改めて消費税の引き上げをした場合、財源を医 療財源とする政策論を今の段階から構築して、 国民の合意を得ておくことで、実際に消費税を 引き上げた場合に確実に医療財源とするシナリ オを書いておかなくてはならない。その最大の 焦点が高齢者医療であり、これに関わる議論が 将来の医療財源確保のための一つの足がかりに なるとの位置づけで議論が進められることが必 要であると考える。

私は改めて医療提供者側の立場に立ち、医師 会でこうした高齢者医療のあり方、終末期医療 のあり方、さらには介護施設における高齢者医 療のあり方等について現場の立場に立って真に 国民医療を守る立場の中から具体的な提言をい ただけることを切に期待している。

また、参議院議員選挙後の状況としては、改 めて地方分権化の具体化の作業の流れに入って いく。療養病床についても同じであるが、地域 医療計画や、それに関連する医療適正化5ヵ年 計画など、国としてのおおよその方針の取りま とめは来年の3月前後を目途としている。これ が取りまとめられると、各都道府県がこうした 医療の適正化5ヵ年計画を策定する作業に入る ことになる。この他、健康づくり事業の観点か ら特定検診、特定保険指導についての国の基本 方針が取りまとめられる。

そうなると、地域、職域連携推進協議会等の 健康づくり事業に関わる政策、立案、機能が本 格的に稼動してくることになる。従って、来年 は医療制度改革の法律が策定されたことを受け て、440にも上る政省令の策定がこのような形 で具体的に執り行われて、医療の現場を大きく 左右する年になる。その最大のヤマ場が3月で ある。それまでにしっかりと準備をする必要が ある。

消費税の引き上げを含めて医療財源を確保す るための政策論が必要になってくるが、そのた めにも私事で恐縮だが政治力と説得力をしっか りと確立しておくことが大切である。秋の消費 税の引き上げを受けた形で、来年の12月にいよ いよ診療報酬改定の策定に入る。そういった大 きなシナリオが予見できるため、これからの1 年間はできる限り前倒しで用意周到に常に先ん じて対応していくことが必要とされると考えて いる。

【西島英利議員(参議院国会対策副委員長)】

ご存知のように昨日衆議院において、教育基 本法が成立した。本日は参議院において主旨説 明が行われ、これから議論が始まることにな る。さらには参議院において特別委員会を設置 し、今国会で何とか成立させる準備を鋭意進め ているところである。私にも60分質問しろの指 示があり、医師として学校保健を中心とした関 連質問を行う予定である。なぜかというと、こ の教育基本法が改正されるとそれに関連する法 案が変わってくる。来年の通常国会でこの改正 案が出てくるため、その時の準備のために今回 質問を行うことは非常に重要なことである。今 後の臨時国会での内容は感染症の改正案が衆議 院を通過し、現在参議院に挙げられている。今 回の教育基本法のドタバタの中で、厚生労働委 員会がストップしているが、いずれにしてもし っかりと改正されることになる。その中で大事 なことは、結核予防法が廃止になるということ である。しかしながら結核が無くなったわけで はないので、各都道府県においては行政側と調 整のうえ専門担当者を置くよう努めていただき たい。また、今回、年金庁の話も出たがこれは 殆ど議論のないまま廃案となる。そして1月ご ろから、社会保険庁の全面的な解体を含めた議 論が通常国会において行われることになる。

先生方にはできる限り迷惑がかからないよう な法案にもっていきたいと考えている。

また、先日の厚生労働委員会においていくつ かの質問をさせていただいた。

○保険免責制について

骨太の方針2005、骨太の方針2006において 保険免責制については2代に亘る厚生労働大臣 が問題であるという答弁をしているにも関わら ず、財政制度等審議会で再び提案されているこ とについて大臣に質問を行い、改めて柳澤大臣 は否定的な発言をされた。しかし、これは財務 省との戦いであるため、年末から来年にかけて 再び出される可能性も大きいので是非地元の国 会議員にレクチャーをお願いしたい。

○医師法21条について

様々な問題点がはっきりとしてきた。自民党 では、医療紛争処理のあり方検討会において議 論をしているところであり、世界的に警察に届 出が行われ逮捕される国は日本ぐらいである。 そういう意味で、しっかりと第3者機関を作っ て再発防止を検討していこうとする考えが先日 のヒヤリングでも出された。

本件については、来年の夏に向けて整理を し、厚生労働省も検討審議会を作ることになっ たので、このあたりは整理されて来ると思う。

○無過失補償制度について

本件については、本日論点メモを出していた だいて、自民党国会議員の間で議論していただ いた。この制度を作ることには皆さん反対はし ていないが、議会にかなりの温度差がある。医 師の責任によって事故を起した場合には、医師 賠償責任保険が適用されるわけであるが、この 制度とゴチャマゼにして考えているのではない かとの印象を受けている。そのため、日医に対 して説明を行える資料の作成をお願いしたいと 思っている。今後の状況については、出産一時 金の35万円に上乗せをして、その部分を補償制 度の原資にする考えが出されており、一旦、基 金に投入してそこから必要な分娩資金は医療機 関に支払われるようになる。ただ、出産一時金 をもらう権利は妊産婦にあるため、このあたりをどう整理するのかという若干の問題は残って いる。しかしながら次の段階では具体的な案を 提出し議論を進めて参りたい。

○代理出産について

学会、厚生労働省審議会でも問題であるとし てはいるが、法律で禁止されていないため、そ ういう意味ではやり得的な流れが今出来つつあ る。しっかりとこのあたりの法整備をしてもら いたいとの質問をしているところである。

○医療区分、療養病床削減について

これらの制限についての根拠を確認したが、 はっきりとした根拠はなく、慢性期入院医療の 包括評価調査分科会が行った「慢性期入院患者 の実態調査」のデータをすり替えて示している に過ぎなかった。先日、この件について、厚生 労働省の担当者が話し合いを持ちに竹嶋副会長 を訪れたようである。おそらく今後しっかりと した議論がなされ、考えが整理されてくるので はないかと思う。

○健診について

今回、健診が保険者に義務付けられ、問題の ある人に対しては特別の健診を指導することに なっているが、ここに損害保険会社が参入しよ うとしている。

その準備を損害保険会社が進めており、非常 に重要な問題である。というのは、被保険者の 健康情報が損害保険会社に流れるからである。 確かに守秘義務が発生するが、ビジネスはその ようなものではなく、アメリカを見てもわかる ように個人の情報はすべて保険会社が把握する ようになる。これは大変な問題であるので、し っかりと認識をしたうえで、どこに委託をする のか考えてほしいとの質問をしている。各都道 府県においても是非ご認識いただきたい。

○ドクターヘリについて

公明党よりこの制度を作ってもらいたいとの 投げかけがあった。

今回の臨時国会か通常国会で議員立法で上げ ようということになっているが、先日も保険者 からのヒヤリングを行うと共に、日本医師会の 考えも聞かせていただいている。その中で公明党は、医療保険で対応するよう要望している が、ドクターヘリの運用費用まで医療保険でカ バーすることは少々問題があるとして、現在せ めぎ合いがもたれているところである。いずれ にしてもドクターヘリについては何とか議員立 法する方向で進めているが、その財源について 詰めているところである。

○障害者自立支援法について

本件については、大きな問題が生じてきたの で、自民党の中に障害福祉委員会を設置して、 行政側、障害者団体に来てもらい議論をしてい るところである。

法律を変えることは難しい話であるが、政省 令を変えることによってかなりの問題を解決で きると考えている。

過去2年間に比べて現在は、日本医師会もす ぐに資料を提供してくれる。そういう意味で は、今まさに政治を預かる我々と現場を預かる 日本医師会が密に連携をとっていけていると実 感している。今後ともご指導をよろしくお願いしたい。

※以上の報告の後、各委員より下記のとおり要 望があった。

長崎県諸岡委員

介護施設の前身は特養等であり、もともと医 療の必要が無い方が入っていたが、先ほどの武 見先生のお話では、終末期医療を介護施設にお いても出来るようにすると述べておられた。一 旦こういうことを許したならば介護施設におい て、患者の抱え込み、或いは介護施設の療養病 床削減、株式会社参入の地ならしになるのでは ないか思うので、日医としてしっかりとご検討 いただきたい。

また、熊本県井上委員より、救急看護師制度 の提案、保助看法の是正について日医会長並び に両参議院議員に要望書が手渡された。