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大宇宙のロマン(私の死生観)

下地寛保

医療法人琉心会勝山病院  精神科 下地 寛保

山路を登りながら、こう考えた。智に働けば 角が立つ。情に棹されば流される。意地を通せ ば窮屈だ。忠解に人の世は住みにくい。

住みにくさが高じると、安い所へ引き越した くなる。どこへ越しても住みにくいと悟った 時、詩が生まれて、画が出来る。人の世を作っ たものは神でもなければ鬼でもない。矢張り向 う三軒両隣りにちらちらする唯の人である。唯の人が作った人の世が生みにくいからとて、越 す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くば かりだ。人でなしの国は人の世よりみ猶住みに くかろう。

越す事のならぬ世が住みにくければ、住みに くい所をどれほどか、寛容で、束の間の命を、 束の間でも住みよくせねばならぬ。(夏目漱 石・草枕前文より・新潮文庫)

また旧約聖書創生記の第1節天地の創造によ れば、初めに、神は天地を創造された。地は混 沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水 の面を動いていた。神は言われた。「光あれ。」 こうして、光があった。神は光を見て、良しと された。神は光と闇を分け、光を昼と呼び、闇 を夜と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第 一の日である。神は言われた。「水の中に大空 あれ。水と水を分けよ。」神は大空を造り、大 空の下と大空の上に水を分けさせられた。その うようになった。神は大空を天と呼ばれた。夕 べがあり、朝があった。第2の日である。神は 言われた。「天の下の水は一つ所に集まれ。乾 いた所が現れよ。」そのようになった。神は乾 いた所を地と呼び、水の集まった所を海と呼ば れた。神はこれを見て、良しとされた。神は言 われた。「地は草を芽生えさせよ。種を持つ草 と、それぞれの種を持つ実をつける果樹を、地 に芽生えさせよ。」そのようになった。地は草 を芽生えさせ、それぞれの種を持つ草と、それ ぞれの種を持つ実をつける木を芽生えさせた。 神はこれを見て、良しとされた。夕べがあり、 朝があった。第3の日である。神は言われた。 「天の大空に光る物があって、昼と夜を分け、 季節のしるし、日や年のしるしとなれ。天の大 空に光る物があって、地を照らせ。」そのよう になった。神は二つの大きな光る物と星を造 り、大きな方に昼を治めさせ、小さい方に夜を 治めさせられた。(中略)

このようにして神は天と地、また太陽と星、 植物と動物等を創造された。その中で最も興味 深いのは、エデンの園にアダムを創り、アダム の肋骨を1本抜いてイブを創られた。神の言われる人類の誕生である。しかし、エデンの園に は知恵を支配する悪賢い蛇がいて、アダムとイ ブに知恵を授けようと誘いかけて知恵のリンゴ の実を食べさせたことである。人類の邪悪の根 源と快楽の種が播かれたのである。

このようにして創造された人類も考古学的に みるとアフリカを起源とした原始的人類は海に 出現した単細胞が天文学的な年月を経て、原始 的魚類が陸地にあがり、それらが他の原始的種 族へと発展し、原始的大陸の移動によって世界 各地へと移動して地球の温暖化や氷河期を繰り 返す天変地異の間になおも発達をとげ、原始的 人類が発生し、それらの人類が世界各地に散ら ばっていき、人種や言語、文化の異なる現在の 人間が存在するようになったようである。

しかし、天文学的な意味での人類の発生の起 源はアインシュタインの相対性理論から導き出 されたビッグ・バンによる宇宙発生の理論に由 来するのが今や常識的になっている。即ち宇宙 の源はチリが微力な引力に引きつけられて強力 な塊となり、その塊がとてつもなく強大な力を 持つようになり、その塊が強大なエネルギーを 持つようになり、そのエネルギーが爆発して強 大な宇宙線や放射線、引力を放出して宇宙の塵 となって飛び散り、宇宙は混沌の世界と化し た。その宇宙へ飛び散った宇宙の塵がお互いに 引力で引き合い、原始宇宙で創り出されたとい うのである。その原始宇宙がさらに引力が引っ 張り合って星や星雲が形成された。個々に創り 出された星雲や星はさらに巨大化して宇宙には 何千、何億という星や星雲が形成された。我々 が属する太陽系は原始宇宙の中の3分の2の位置 するとのことである。太陽系の星にもお互いに 衝突したり、合体を幾千光年もかけて太陽を中 心とした太陽の惑星として形成されたものであ る。宇宙には幾千万いや何億という星雲があ り、人類は地球以外に地球外生命体が存在し、 UFOが地球に何千年も前に来ていて、アスカの 地上絵を作ったのではないかとも言われている。 今は梅雨の真っ最中であり、梅雨が明ければ天 空にはいろいろの星座や星雲が見られる夏空でキラキラと光り輝いていることでしょう。

しかし、この広大な宇宙の中に人類を創り出 したチリやガスが存在しており、人類の身体構 造と心(精神)は宇宙の何処へ死後は行ってし まうのでしょうか?人間の死後は魂は身体より 分裂して宇宙に飛び散って、現世を見続けてい るとも言われている。

果たして人間は死後の広大な宇宙の何処へい ってしまうのでしょう。宇宙には何千何億とい うブラックホールがあり、ブラックホールから は光さえものみ込んでしまう強大なエネルギー を持っていて、魂という得体の知れないものを も吸い込んでしまって、そこからは魂も抜け出 せないでいるのではないかとたわいもない想像 をしている今の私の精神状態である。死後の世 界のことは神や仏様におまかせて今を生きてい くのが幸であり不幸であるかも知れません。

最後に一句。

我が魂 天の空に 何処へ行く。