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九州ブロック日医代議員(含・次期)連絡会議

会場風景

会場風景

去る3月4日(土)沖縄ハーバービューホテ ルにて標記会議が開催され、日本医師会各種委 員会についての報告があったので、その概要に ついてそれぞれ報告する。

(1)社会保険診療報酬検討委員会
海江田健先生

海江田 健先生

日本医師会社会保険診療報酬検討委員会に ついて、同委員会委員である鹿児島県医師会海 江田先生から概ね次のとおりご報告があった。

標記委員会は日医松原常任理事を含め26名 の委員で構成され、九州からは大分県医師会の 近藤先生と私の2名が委員として出席している。 委員会の開催回数は平成16年8月から平成17年 12月までに計8回開催されている。

標記委員会では平成16年8月に日医植松会長 より諮問された「@診療報酬改定の影響とその 対応〜平成16年4月改定〜」、「A現在の診療報 酬における問題点」の2題について議論を積み 重ねた結果、『国家の財政の見地からの医療費 抑制政策が全体を支配しているような中におい て、医療関係者の努力と犠牲だけでは国民の望 む質の高い医療提供体制の実現は困難であり、 医療費総枠の拡充が必要である。』『政策誘導に 終始して制度の議論をしてこなかったことの矛 盾が診療報酬に集積し、様々な問題を生じさせ ることになっている。まずフリーアクセスの意 味の国民的周知と、プライマリ・ケアとしての「かかりつけ医機能」から専門医療に到る医療 機関の機能分化や分担と連携構築の為の検討が 第一であり、それに対する「技術の適正な評 価」が必要である。』として意見を取り纏め、 平成17年12月に植松会長へ答申している。

また、平成18年4月の診療報酬改定に対して は、先程の答申内容並びに各方面から日医に寄 せられた多くの要望事項を勘案し、医療安全を 推進していくことはもとより、「物と技術の分 離」、「技術の適正評価」、「従来からある技術料 に関わる不合理点の是正」及び「国民が理解で きる診療報酬体系」の4つを基本コンセプトに して整理を行い、「社会保険・老人保健診療報 酬改定要望事項」として最重点要望項目(11 事項)を取り纏め、日医へ提出している。

※質疑応答

【沖縄県医師会當山副会長質問】

日医社会保険検討委員会では各分野の専門の 先生方が委員となっているが、中医協委員につ いても社保検討委員会委員が兼任していると考 えてよいか。

【海江田委員回答】

御存知のとおり、今回中医協改革が行われ、 委員構成が見直された。これまでは日医の常任 理事クラスが参加していたが、今回からは病院 代表や患者代表が加わることになり、次はどの ような構成になるのか現在検討されている状況 である。先生からご質問のあった件について は、「中医協のメンバーには社保診療報酬検討 委員会委員は入っていない」と理解している。

(2)介護保険委員会
嶋田丞先生

嶋田 丞先生

嶋田丞日本医師会介護保険委員会委員長 (大分県)より、日本医師会介護保険委員会の 活動について報告が行われた。

平成16・17年度介護保険委員会は、全国か ら選出された16名の委員により平成16年7月28 日に発足した。同日、植松日医会長より「介護 保険における医療提供とケアマネジメントの関 わり方」について諮問が行われ、当諮問に係る 答申「高齢者医療・介護において果たすべき医 師・地域医師会の役割」を平成17年12月に発 表するまでに、計10回、会を開催した旨報告が あった。

答申は、日本医師会が平成16年11月に発表 した「高齢者医療と介護における地域医師会の 取り組み指針」を補完する形で整理されたもの であり、世界一の高齢国家となった我が国の高 齢者医療・介護における地域医師会の果たす役 割の重要性、また地域医師会に求められる取り 組み等を踏まえた内容になっている旨説明があ った。

地域医師会に求められている具体的項目に は、「高齢化に対する地域医療再編と包括的シ ステムの構築」、「地域ケアの機能向上への地域 医師会の積極的関与と地域作り」、「保険者との 連携の強化、介護予防への積極的関与」を総論 に、主治医機能の強化、効果的で良質のケアの 提供、地域づくりへの積極的参加等に係る各項 目が提示されている。

(3)IT問題検討委員会
富田雄二先生

富田 雄二先生

富田雄二日本医師会IT問題検討委員会委員 (宮崎県)より、日本医師会IT問題検討委員会 の活動について報告が行われた。

平成16・17年度IT問題検討委員会は、全国 から選出された14名の委員により構成され、当 委員会では、近々の具体的な取り組み事項とし て「TV会議システムの導入」、「医療施設ホーム ページのガイドライン」について、当面の課題 事項として「ORCAプロジェクト」、「電子カル テの標準化」について、また、今後の医療IT化 推進の方策と課題事項として「日常診療におけ るネットワークのあり方」、「情報管理とセキュ リティー」について協議されたと報告があった。

「TV会議システム」については、システム の条件として、@47都道府県の同時アクセス、 A音声がクリアであること、B5年は使用でき るシステムであること、等に主点を置き検討構 築を進めていると説明された。現在のテスト段 階のシステムは、最大60地点からアクセスする ことが可能となっており、同時に複数の会議を 開催することが可能であるが、音声の品質があ まり良くなく、調整中であるとのことであった。

「医療機関におけるHPのあり方に関するガイ ドライン」については、現在、他団体が有料で 行っているHPの認定サービスが存在するが、そ の認定審査を行う団体に医師が関わっておらず、 また日々内容が更新されるHPを認定すること自 体がナンセンスではないかと考えられることか ら、日医として医療機関のHPにおける情報の信 頼性を確保する指針を示す必要があると考え、 当ガイドラインを作成したと説明された。

「日医標準レセプトソフト」については、全 国で75,000施設がレセコンを使用しており、そ の内の1,763施設が日レセを使用していると報 告があった。また、現在、ORCAと接続可能な “診療支援ソフト(ウルフ)”の開発を進めてお り、より利便性の高いシステムを目指している とのことであった。しかし、「電子カルテとの 接続」、「病院版の開発」等について、課題も残 っていると説明があった。