沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 4月号

質疑応答
出席者一覧表

出席者一覧表

○大城(医師会)

では、皆さん、質問なり、ご要望なり、ございましたらお願いします。

○上里委員

現在の病院はどうなるんですか。

○安次嶺(医師会)

現在の病院は復帰直前に建てられ大変老朽化した建物で、施設としては限界にきていますので全く使えません。建物を取り壊し、その後、新たな施設なり、機関がくると思います。

○上里委員

病院ではなくなるんですか。新たな病院ができるということですか。

○安次嶺(医師会)

とてもいい場所ですから、新たなる病院という案も出ているようですが、まだ確定はしておりません。

○照屋(医師会)

ハード、ソフト面があると思いますが、電子カルテや医療機器など、そういうものの整備状況等をわかりやすく説明していただけますか。

○下地(医師会)

下地

まず電子カルテから、今まで紙で書いていたものを全部パソコンを使って打ち込んでいくことになります。医者が書く部門だけじゃなく、看護部門、例えば体温計、血圧、全部記録します。レントゲンフィルムも即座にその場で見れることになります。今までは、患者さんが外来に来ると、胸の写真を撮るためにレントゲンに行って、フィルムをもらってから戻ってきていました。もうそんなことはしないんです。レントゲンを撮ると患者さんはそのまま戻ってくるわけです。戻ってきた頃には、電子カルテでその患者さんの胸の写真が見れるというような状況になります。

一応、ペーパーレス、紙はゼロになるように設備を整えているところです。大体できあがりましたが、電子カルテは、各病院で形がいろいろ異なるんです。最後の詰めの段階で、新病院はこうじゃなくちゃいけないんだよというようなところを、追い込みにかけているところです。だいぶ出来上がりました。

ハード面は医療関係者がたくさんいる中ですとお叱りを受けるかもしれませんが、CT、MRIなどは最高級品ではありませんが、今、出回っている設備の中では最高級品に近いものとご理解下さい。心臓、循環器の先生方にほぼ満足してもらえるようなハードを用意しております。それと、今まで我々のところで出来なかった放射線治療が今度はできるんです。機械がかなり精度の高いもので、がんの患者さんはこの放射線治療でかなり成績が上がるんじゃないかと期待されるものが入ります。例えば、ミリ単位で指標が決まってくるというレベルのものです。先生も琉大から来ることになっております。

○武富委員

武富委員

この病院が開院することによって、県内で初めて取り組むことができる部分があるのかどうかという点についてお尋ねします。

また、移転作戦で、31日に40人以下に入院患者を制限して移転作戦するというお話がありましたが、最重症じゃなく、多少程度の重い患者さんも現在入院なされていると思うんです。そういう方々も徐々に減らしていくのか、そのへんはどうなのか。場合によってまた搬送するのであれば、いつ頃からそういう作戦が始まるのか。全部引っ越すのは何人ぐらいになるのかというのを教えて下さい。

○安次嶺(医師会)

那覇病院は434床、今は減らして370床ぐらいです。現在入院しておられる方は大体300人ちょっとです。既に外来の患者さん、あるいは入院の患者さん、地域の病院に紹介を始め、徐々に減らしております。しかし、まだ300人近い患者さんがおられ、長期の入院の方は、3カ月、半年、1年、2年、3年という方もいらっしゃいます。そういう方々は地域の先生方のところにお願いして移っていただくことになっています。

新生児や小さな未熟児たちを診てもらえる施設は限られているんですが、なるべくそういうところに診てもらう。ある時期から患者さんの受け入れもストップするわけです。例えば、非常に重症な患者さんが3月になって入りますと、その患者さんがレスピレーターにかかったりして、搬送の患者さんが増えますので、早い時期から、重症な患者さんは紹介をしていただかないように、心臓の手術も3月になったら緊急以外はやらないように、徐々に縮小していくということにしています。

今までなかった医療ができるのかというご質問に対しては、高度医療、高度多機能と、この病院は言われていましたのでそういう質問が出るかと思うのですが、これまでも沖縄の医療はかなりのことはやっていたんです。ですから、全く今までできなかった医療、新しい分野をやるということは無いかも知れませんが、より力を結集して、従来よりはるかにパワーアップして、あるいは従来だったらうまくいかなかったもの、例えば心臓の手術ですね。従来もやっていますが成績がベストというほどではなかった。でも、そういうものを本当にベストに近い状態に持っていくことは、この病院の役割だと思います。

心臓の移植とか、本当に特殊なものは我々が扱うべきものじゃないと思っています。ごく一部の本当に特殊な医療をここでやるというんじゃなくて、従来もやっていた重症な患者さんをより適切に治療するというのが目的です。心臓の手術、こどもの心臓は従来、中部病院でも県立那覇病院でもやっています。両方でやっている。それを一極に集中し、医師も集中させて、完璧にそこでやれたらいい。それは県民にとって非常に大きなものだと思う。従来無かった医療は何か、特別にやるかと言われると、まずそういうものは無いと思います。従来やっていたものですけど、それをより充実させるという点では意味があるんじゃないかと思います。

○武富委員

県立那覇病院ほどの機能を持った病院が引っ越しのために一定期間、病床受け入れをストップするわけですね。それに代わる新病院が機能するまでの間、重い病気になったら危ない期間というんですか、表現が悪いんですが、危険期間みたいな時期ができるということはないんですか。

○安次嶺(医師会)

県立那覇病院の機能というのは実は限られているんです。周辺には那覇市立病院、沖縄協同病院、赤十字病院、豊見城中央病院もあり、たくさんの機能を持った病院が周辺にありますから、私たちはそういう病院にお願いすれば、そんなに医療の空白ができるほどの大きな問題にはならないと思います。ただ、もし、将来、新病院が建て替えになると仮定すると、今おっしゃったようなことが起こり得るぐらい高い機能を、あの病院は持つはずです。

残念ながら今の県立那覇病院はそれほど、よその病院で出来ないすごい医療をやっている状況にはありませんから、それほど県民にご迷惑をおかけしなくても、地域の病院と連携をしていけば、十分に乗り切ることができると思っています。

○下地(医師会)

ちょっと補足します。2週間お休みしますので、周りの病院にかなり迷惑をかけるのは十分認識しております。それで、去年から近辺の病院を回り、協力願いをしてきております。一番大きなのは那覇市立病院です。あちらは毎日、救急をやっていますので、那覇市立病院には頭を下げ、是非、協力して下さいという協力願いを出しております。院長はじめ、トップの全部が行って宜しくという話もしております。

一番困るのは多分、新生児、NICUじゃないかなと思うんです。これも那覇市立病院とか他にあるんですが、キャパシティが小さいんです。赤十字病院もとにかくフル稼働してもらって、場合によっては医師を県立那覇病院から派遣するというぐらいの体制でやるんです。このNICUのベッドがどれぐらい減らせるかが、引っ越し担当としては一番頭が痛いところです。全く100%影響がないというわけではありません。NICUの面、救命救急、救急の部分では、かなり心配があります。

よその病院を回っていて言われるのは、2月、3月はどの病院もベッドが98%以上埋まってしまうんです。場合によっては100何パーセントなんです。うちの病院も例年、2月、3月で100%近く動くんです。その時期に移るというのが、とにかく大変なことだという認識ではあるんです。だけど、前々から決まっていて、4月1日に開院するとアナウンスし、それに向かってやっていますので、何も起こらないんじゃないかということで動きますが、場合によっては多少の危惧をしながら進めているということでご理解下さい。

○狩俣委員

狩俣委員

2つほど知りたいことがあります。

最近の県立病院の科目によるドクター不足、特に今度の名護市長選挙では、産婦人科の休診問題がかなり取り沙汰され、そこだけではなく、八重山・宮古も同じような騒ぎがありました。私なりに、そのへんを検証してみましたら、どうしても処遇の問題、特に医師暫定手当の全面カットの問題など、だいぶ影響したという思いがあって、ドクターの人材確保の面で心配です。せっかく高度医療を中心とした病院ができるけれども、医師の人材確保という面ではどういうふうになっているのか、きちっとできているのか。

もう一つは、高度医療を中心にやっているわけですし、地域医療も入ってきますが、多分、琉大附属病院もほぼ似たような機能を持っていらっしゃると思うんです。お互いの連携、そういった体制についても是非知っておきたいと思います。

○安次嶺(医師会)

新病院の医師は100名揃えることになっております。高度病院のために2〜3年前から医師の配置を検討し、そのぐらいです。今の那覇病院と新病院は、ベッド数は全く一緒ですが、医師の数は2倍近くになるんです。そういう点で、やっている診療の内容がまるで違うということになるんです。幸い、医師に関しては95%はいっています。ほぼ、予定の人は集めつつあります。

ただ、一部の科において、確かにまだ定数に満たないところがあり、産科がやっぱり問題なんです。8人のところ、それでも6人までは集めました。まだ計数ですから徐々に集まると思います。今後もインターネットなどで募集しているのを見て応募してくる人もいると思いますので、いずれ集められるとは思っています。

もちろん、今おっしゃった八重山や北部の問題もありますし、将来、新病院で医師を養成して、そこから他の病院に派遣するということも可能になろうかと思います。続いて連携の件ですが、既に病院をつくるとき、他の病院との連携も全部、指針として出ているんです。琉大附属病院も高度な病院ですが、従来、県立病院と大学病院は人材の派遣以外はあまり交流がなかったんです。しかし、新病院ではかなりの医師が琉大から派遣されています。例えば、小児科の新生児をやっているグループもかなり琉大から来ますし、血液のグループも来ます。それから先ほど副院長が言ったがんの放射線治療、これも琉大から来ている。

例えば、琉大もがん治療患者が満杯で大変らしいんです。その先生が来られることによって、比較的軽いものは新病院で診て、琉大では特殊ながんを診るという形になります。こどもの血液もそうです。琉大の小児科は血液疾患、がんで大変なんです。それを琉大の小児科の助教授がこの病院に来まして、患者さんも連れてくる。このように医師が動くことによって、患者さんも動く。それによって、今まで非常にヘビーだったところが、いくらかその重荷を解く状況もあります。

県立中部病院との連携もお互いに役割を分担していく。県立中部病院もすさまじい病院でみんな疲弊していますので、そういう点で、新病院と同じ県立病院という立場で役割を協力し、分担しながら担っていく。これからはそのように連携をしていかないと、みんな疲弊してしまって辞めていくという状況があります。これも今後、地域の医療を行うためにはとても大事なことだと認識しております。

○国吉委員

国吉委員

私の知人のこどもが心臓病です。どうしても沖縄では出来ないといって、何度も福岡に行くんです。今度の多機能病院でそういったことが改善されるのかどうか、お聞きしたい。

○安次嶺(医師会)

おっしゃるとおりで、従来でもかなりのことは沖縄で出来るんですが、本当に重度の病気は手術出来ないということも一部ありました。その点では、新病院でほとんどの手術はおそらく出来ると思います。ただ、本当に特殊で、世界でも何人しかこの手術はできないということが稀にありますから、その際には沖縄に限らず、鹿児島でも出来ず、福岡に送るわけです。そういう意味で100%全部ここでできるということはないんでしょうが、ご心配の点はかなり改善されると考えております。

先ほどのご質問で手当の問題がありました。少ない科、特に産婦人科などは2倍ぐらいの給料をあげたいし、小児科も1.5倍ぐらいあげたいんです。しかし、これは私たちが言うよりも、皆さん方が是非知事に届くようにおっしゃっていただければありがたいんです。

○狩俣委員

公務員の医師と民間の医師ですと、処遇の問題をあまり一般に分けて評価していないんです。それを何故出来ないのかは県に言わないといけないんじゃないでしょうか。

○山田委員

山田委員

ドクターのことはよくわかりました。看護師さんも不足しているようですが、看護師さんも大事な分野ですので、しっかり把握していらっしゃると思いますがいかがでしょうか。特に婦人科、助産婦、新生児のケアにはやっぱり専門の人が欲しいと思います。

○安次嶺(医師会)

一般論として、看護師さん、免許を持っている人はたくさんおられるんですが、結局、家庭に入ってしまう。免許を持っている人ほど実際は働いていないということがこの前の新聞にもありました。今後、沖縄県で700人ですか。

○當山副会長(医師会)

5年間ずっと約700人ほど不足です。

○安次嶺(医師会)

700人も実際足りないという現状があるんです。これは慢性的に看護師不足で、官民問わず、公立病院も民間病院もみんな大変な状態が続いています。その中で看護師さんは過酷と言えるぐらい働いています。今後もっと、看護師さん、もちろん助産師さんも養成していかないといけないというのは大きな問題だと思います。

○中田(医師会)

中田

安次嶺先生に2つほど。

1点は、県立中部病院と南部医療センターとの住み分けが今ひとつはっきりしない感じがするんで。琉大附属病院も、医療としてはっきり住み分けがよくわからないんです。運営機関が大学病院と県は違うのはわかるんですが、住み分け、これから詰めていくのもあるのか。あるいは、走りながらやっていくのか。

もう1点は、看護師不足、養成でみんな努力しないといけないという話がありました。中部地区医師会も平成19年が、20年になりますが、看護学校を開設していきます。そのときに絶えず問題になるのが、実習病院の不足というのがあり、多機能病院でもご協力を是非していただきたい。看護学校をつくるとき困るのは、看護師養成という資格教員免許を持っている人たちを育てることともう1点は、実習病院の確保が難しい。これらのことを含めて看護学校はつくりにくいというのがあるものですから、積極的に協力をしていただけたらありがたい。

○安次嶺(医師会)

第1点ですが、県立中部病院、それから新病院、琉大附属病院、そのへんが具体的にどのような形で今後連携し、住み分けていくか、本当に難しい問題です。私も長年中部にいた人間で、それを那覇に出てまいりました。県立那覇病院には中部出身の医師もかなりいます。南部医療センター、こども医療センターは、メインはやっぱりこどもなんです。とにかく沖縄のこどもの最終病院はここであるという点で、私たちは新病院に小児科のマンパワーを集中させたいと考えております。

そういう点で、県立中部病院からも優秀な小児科医がここに移るということになる。一方、中部としては優秀な人が取られるから困るというふうにおっしゃる。これもわかります。でも、これは病院対病院ではなくて、沖縄県全体を見た場合に、何が県民のためにいいかと考えていただきたい。例えば医者が抜けていくところは、それは痛手があり、痛みを伴います。中部地区としては、県立中部病院から優秀な小児科医が抜けるのは困ります。でも、本当に高度な医療をやるためにマンパワーを集中して、心臓の手術でも両方でやるよりは1カ所でやったほうがいいんじゃないか。そういう考えで私たちは新病院の役割を果たすために動いております。移行期には従来の枠組みが少し壊れてくるわけですが、当然、痛みを伴う部分もあると思います。でも、県民のため新病院の設立の目的に向かって進んでいきたいと思います。ある意味では、ピシッとある瞬間から住み分け出来ませんね。そのへんはお互いに話し合いながら役割を分担していく。ある時期は同じような医療もするし、また、高度なものはシフトしていくということになると思います。

県立中部病院は小児部門を除いたら、まだまだ陣容も新病院より中部のほうがそろっていますし、他の部門では新病院以上の役割を、中部が今後とも沖縄の中心となる役割を担っていると思います。今後、お互いに切磋琢磨し、協力し合い、だんだんお互いの役割が出てくるんじゃないかと思います。ただ、移行期にはいろいろと不協和音も出てくると思っています。

○當山副会長(医師会)

私から、お答えさせていただきます。平成元年から5年ごとに地域医療計画を立てる計画になっています。その中で、各地区の病床の余っているところ、例えば今回は県立南部病院がそうだったんですが、そういうものをきちんとするようにとなってきているのです。今年度は平成20年までに、各都道府県で新医療計画をつくってほしい、つまり、あと2年しかありません。それは二次医療圏、南部なら南部医療圏で地域完結型の医療をし、医療の連携をして、そこで完結できるようにする、そのためにはクリニカルパスをつくってほしい。例えば、患者さんが新那覇病院に入院し、その後、退院するときにリハビリに行くのか介護に行くにはどうするか。その人のクリニカルパスをつくって導いてほしい。各医療圏で診療所も含め、病院の特徴をつかんで、その中で効率的な医療をやっていこうと、この2年間で形づくろうとなっております。

看護師さんの実習病院は我々も大変苦労させていただきましたが、これまで公的病院は受け入れてくれませんでした。しかし、看護師は年間700人、助産師は年間で100人も足りないためお産もできない状況になり、その養成を民間に任すということであれば、公的病院も実習病院として病院を開放してほしいということを政治的にも行政的にも強く要望しているところであります。

○安次嶺(医師会)

私ども新病院は教育病院と言っていますのは、医師の教育だけではありませんので、是非、看護師さんの教育にも力を注ぎたいと思います。

○中田(医師会)

平成18年4月から、企業、水道局みたいに独立採算、全適用になるという話を聞いております。しかし、全国的にみると、こども病院はほとんどみんな赤字で、補助金がないとやっていけないと聞いております。こどもセンターは120床で、かなり大がかりですね。それを全適にしますと、結局、いろんな病院が仮に一生懸命黒字にしてもそこの赤字を埋める形になる。こどもセンターはその後、非常に厳しくなると思うんですが、全適でも、こども病院のための助成金を県が補助金として一般財源を出さないといけないんじゃないかなと県民の一人として思うのです。

もう1点は、痛みと言うんですが、効率化はとっても大事なことですが、離島や北部はどんどん切り捨てられているようなイメージを受けてくるんです。中部は小児を除いたらと話をされておりましたが、北部から中部まで来るのに1時間以上かかってもう大変、死にそうで危ないのに、さらに那覇まで行きなさいとは北部の方たちには非常に悲しいなと正直、感情的には思いました。

○安次嶺(医師会)

そうですね。最後の質問で、従来、中部まで送ればよかったものが、北部から那覇まで送るのはそれだけ時間がかかる。おっしゃるとおりだと思います。しかし、今は高速道路があり、その間の時間は、日本の地方の県に比べればまだまだ大変恵まれています。沖縄より厳しい環境にある地域はゴマンとあるんです。沖縄は救急医療が全国でも最もアクセスがよく、進んでいるところです。東京、大阪のど真ん中で患者のたらい回しがあると聞きますが、それは沖縄では考えられないし、北部と那覇での距離感は従来より20分、30分は余計にかかるでしょうが、先ほど言いましたように、そこで集中し、すごい医療ができれば、それ以上のものが得られると思っています。

中部もすごい力を持っていますから、中部までたどり着けば、よその県でやっている高度の医療というのは十分できます。まだ相当の力を持っている病院で、中部の小児科は空っぽになっていません。相当の重症患者も中部は診る力は十分に持っています。ただ、最重症は新病院に送る。確かに北部から見ると離れていくとおっしゃるかもしれませんが、県全体を常に考え、限られた医療資源を有効に使うためには集約化しかないと考えています。もちろん将来は、北部にも離島にも十分な医者が行き渡るような形は当然、つくっていかなければいけないと思っています。

しかしながら、核になる病院なしで、その他の病院は成り立たないと思うんです。まず核になる病院をしっかりとつくりあげ、そこから支援に行く形でないといけない。医療資源がたくさんあれば、全部にばらまくことはできますが、今の状況はそれをやろうと思ってもできない苦しい状況が続いていると思います。先生のご指摘は理想はそのとおりで、私たちは全力を尽くし、県民のためのいい医療ができる方法を考え、新しい体制を構築していこうと考えております。

こども部門はどう考えても黒字になりようがない。県立南部病院で赤字だと言っていました。新病院でも確実に赤字が出ると考えています。それは、県民の皆様にご理解いただき、アメリカでも日本でも、こども病院は、まともに黒字が出ることはありません。アメリカですと莫大な寄附を受けますし、日本ですと政策医療としてこの分は別個に考えてやっていただきたい。是非、これは県民のご理解をいただきたいと思っていますので、知事さんに、皆さんのほうからもその旨伝えていただきたい。次の沖縄を担うこどもたちをしっかり我々が育てます。それは投資しなくてはいけない当然のことだと考えています。

懇 談

○大城(医師会)

新病院の件についてはここで終了させていただきます。

続きまして、委員の方々からお寄せいただいたご質問、ご意見について回答させていただきたいと思います。各委員から質問の趣旨をご説明願いたいと思います。

「診療報酬の改定について」、盛根委員、よろしくお願いします。

診療報酬の改定について

○盛根委員

盛根委員

昨年12月、新聞で医療改革、老人利用などいろいろ記事が載っていまして、その中で大きな見出しで診療報酬の改定でかなり大幅に下げられる見通しであるという記事がありました。テレビで診療報酬が引き下げられますと、医療機関では収入確保のために検査等で必ずしも必要でないのが出てくるとか言われていました。果たしてそういうふうになるのかどうかということでございます。

医療の内容は、先ほどのこどもの病院の話であったように、いつも赤字であるというところには診療報酬を引き上げるべきというご意見があって、私もそうだ、そうだと思って質問させていただいています。こども病院は、先ほど政策医療というお話がございましたが、そういうことかなと思います。

○當山副会長(医師会)

ご質問の中で、医療制度改革が決着したということですが、実は決着していません。国会で現在議論中ということです。決着というのは、内閣府と与党連絡会議で決着したということです。

診療報酬引き下げは、マイナス3.16%と決まっておりますが、中医協で中身が議論の進行中ということになっております。

医療部門とは、介護にも医療部門が少し入っておりますので、薬、検査、医療器具、大変幅広いものの中から31兆円という医療費が出てきております。この31兆円が高いか、安いかという議論は常にいろんなところで議論されています。マイナス3.16%をどうするんだということでございます。おそらく、厚労省の優秀な役人でもマイナス3.16%をどうやってやったらいいかわからない。国庫負担を2,500億円減らすという試算で、2,500億減らすということは患者さんの負担を増やそうということなんです。3,000億円ぐらい減らしてという試算をしておりますが、マイナス3.16%の中で3,000億円は、どうやるのか非常に難しい計算で、実際にやってみなければ本当の数字が出てくるか、私自身はわからないと思っております。

小児科や産科を上げることも、実際に上げてみたら人件費ほどにも上がっていなかったという事実があるだろうと思います。下がるところは大幅に下がる、これはフタを開けてやってみなければわからないと思っております。また、産科も、保険でできない部分がありますので、おそらく、高度医療の婦人科の何かを上げようとしているのです。産婦人科は自費診療ですから、そういうところが実際に新聞に報道されているのとは、ニュアンスが違うのではないかと思っております。

医療の質が落ちるかということですが、私は落ちないと思います。ここにいらっしゃる先生方の熱意を見ていただければわかると思いますが、下がれば下がったで、その中で何とかやっていこうというのは当然の義務でございますので、そう簡単には落ちない。人間が病気で弱っているときに、その質を落とすことは普通はあり得ないことであり、当分心配は要らないんです。しかし、長期になってみると、その影響は出てくる可能性があると言えます。

姉歯建築士やIT産業のホリエモン問題もあるんですが、苦しい病院はやはり、どこかで医の倫理に反するところが出てこないか、このへんは監視していかなければいけないので、私はご挨拶の中で申し上げましたピアレビューをどれだけできるかが我々の力にかかってくると思います。病院が倒産するのは一遍に倒産するわけではなく、ちょこちょこ悪いことをしながら、だんだんしびれていくのではないかなと個人的に思います。

それから、診療報酬で、勤務医と開業医の収得の差も言われましたが、実際には開業医は経営者であり、開業医の収益は病院のプールしたお金という計算もされます。そういう場合は、ドクターズ費とホスピタル費を分け、果たしてどれぐらいのものかという試算をしていく必要があるだろうと思います。

それから、検査づけで検査をどんどんやるというのは、効率的にまるめ検査や、非常に厳しい審査がありますので、厳しい検査の中でやりたい検査ができないぐらい絞られています。無駄な検査より心配なのは、やらなければいけない検査まで抑え込まれるんじゃないかと危惧をしております。

○大城(医師会)

山田委員からご質問のありました「医師の処遇について」と「デイ・ケアは適正に行われているか」について、簡単にご説明願います。

医師の処遇について

○山田委員

質問を2つ出させていただきました。1つは先生方の処遇についてです。開業医の先生は非常に収入が多くても支出のほうが莫大なので、そっちのほうは置いておきまして、病院の先生方のことなんですが、新聞にも医者の収入が多いから削れというふうなことも見ました。それに、聖域なき構造改革のもとに、先生方の給料も画一的に引き下げようとしているようですが、病院の先生方の勤務状況、本当にいつも忙しそうにして、非常に厳しい中で、急患が出たり、時間外勤務で疲れ、ヘトヘトになっても、不平不満もおっしゃらずに一生懸命頑張っていらっしゃるんです。このような厳しい中で、先生方の給料を引き下げるのは、実態にそぐわないところも見受けられます。

患者さんにとって、先生しかすがるところはないし、先生がにっこりと、ほんわかとした表情で患者に接していただきましたら、それだけで病気が治るような気がします。人間ですから、待遇や給与に対する不満があったら何となく顔つきとか態度に出てくるのは当然だと思うんです。

今までしっかりと医師会や政府のほうにもの申したはずなんですが、そういう反応が新聞紙上やマスコミでは耳に入らないので、先生方はこれで良いのか? 特に、今は少子化で子供を産み育てなさいという鉦・太鼓入りで一生懸命国のほうもうたわれております。女性のドクターはどんどん増えている状況なんですけど、病院に勤めている女医さんは、子供さん2人ぐらい抱えていると、親や、おじいちゃん、おばあちゃんも巻き込んで子供を見てもらって勤務しているような様子が見て取れるんです。病院に勤めている女医さん方も男性の先生と一緒に給料を引き下げられたり、特別な配慮がないのかなと不安があります。女性のお医者さんのご両親の声が私のほうによく入ってきます。

一生懸命大きくし、大学まで出して医者にさせたが、子供を産まないといけないということで、2人産んだ。しかし、給料はそんなに高くなく、40万から60万円ぐらいを行ったり来たりで、親が子守をして、超過勤務や時間外勤務も多い中、外食や買い物で食事を済ませたりして出費も収入にふさわしく多い。これで医者の給料を下げられたら、男性の先生方もそうでしょうが、たまったもんじゃないということを2、3件耳にしたもので、心配になり、お尋ねいたしました。特に女性となりますと育児と出産がありますので、医師会として女医に対しての特別なご配慮がおありなのかとお尋ねします。

もう1つ、デイ・ケアは適正に行われているかと2番目に質問させてもらいました。宮古島の高齢者研修会の席上で発言が多々ありました。5〜6年前はなかったので、近年だと思います。元気な高齢者を畑まで迎えにきて連れていって、一日中病院のデイ・ケアで過ごしている。地区の社協や民生員、老人クラブは地域密着型、包括福祉活動、福祉や社協も、民生委員や老人クラブも一緒になって高齢者を地域でどう生き生きとさせるかとやったら、寝たきりにさせず、長期入院させるようなことがないようにと頑張っている活動です。健康活動、レクリエーション活動、友愛活動、ユンタクヒンタクの会、食事会をやっているんです。しかし、客観的に見て、デイ・ケアに行かなくもいいのに引っ張っていくケースがある。ケアマネジャーの資質や能力にもかかわるのかもわかりませんが、大きな病院のケアマネジャーでしたら、我田引水的で、病室が空いているから行きましょうとおっしゃっているのが耳に入ってくるんです。

ケアマネジャーに言ったらいいのかもわかりませんが、先生方も是非、関心を持っていただきたい。地域の住民が病院や医療に対して、「元気な人まで病院に引っ張っていく、これでいいの?」なんてというような声が出ていました。宮古島の役所の人、議員、あるいはトップクラスによる社協の人たちを有識者とまとめておりますが、介護保険の掛け金がまた上がりはしないか。宮古が断トツに増え、いろいろと負担になってくる。素人の人はケアマネジャーが引っ張っていっていることを知らないものですから、病院の宣伝効果も不利になり、お医者さんに対してもイメージが悪くなるので、お尋ねいたします。

平成12年に、介護保険ができる以前、本島でも医療機関がデイ・ケアにどんどん誘って、それで成り立つという時代があったんです。その余韻がまだ宮古のほうに残っているのか、本島ではケアマネジャーがケアプランを立てて、デイ・ケア、デイサービスを行っているようでございますが、離島や末端には届いてないのかなという気がしたのでお尋ねいたします。

○當山副会長(医師会)

デイ・ケアに関しては、県医師会は小渡先生が専門でございますので、小渡先生にお答えを譲らせていただきたいと思います。

1番目の医師の処遇に関しまして私から簡単にご返事申し上げます。

病院は人手を使うところでございますから、人件費比率は他の職業に関して非常に高いと思います。やはり手作業的部分が非常に多いからだろうと思います。ただ、今回の診療報酬の影響は直ちに勤務医師の給料に響くとは、実は考えておりません。先ほど、県立病院の全適というお話がありました。これは院長にすべて権限を与えるということですから、今度の病院も全部院長がやりくりします。そういうやりくりの中で、おそらく院長は医師の給料を下げることはしないと私は思っており、マイナスが特に出てくることにはならないと思います。

ただ、こういうことが続いていきますと、新病院といえど、勤務の先生方の意欲が少しそがれてくる部分を心配します。新しいときはいいけども、5年、6年経っていきますと、やはり意欲がなくなってくる。勤務医は、そこで働いてみんなに喜んでいただけるから、給料は安くても頑張るんだというところがあるんです。そういうモチベーションがありますが、そのモチベーションを下げるようなものが出てくると、バタバタと病院を辞められる可能性があります。こういうところはしっかり医師会としてもサポートしていかなければいけないと思います。

それから、女医さんの問題。この間も大城先生と、実は女医の方々、勤務医の先生方とお話しさせていただきました。各病院によって、次第に、待遇はそれなりのやり方でうまくやっている。例えば、今まで女性の更衣室がなかったんですが、最近は更衣室ができました。こんなのは当たり前なんですが、そのぐらいは出てきたという部分であります。新病院はどうなっているかわかりませんが、おそらく、各職場において女医さんに対する勤務体制を今後、積極的にやっていかないといけないだろう、これは時代の流れでそうなります。

ただ、国としては状況がどうであるか、一体、女性の立場がどうなっているか、まだ把握しきれておりませんので、これから国の指導をしっかりしてもらわなければいけない。我々のほうからも要求していく問題だろうと思います。

○小渡(医師会)

小渡

介護保険担当者の小渡といいます。

この事例は県医師会では把握してないので、宮古医師会に事務局を通して確認しているところです。ただ、これは多分誤解だと思います。

ケアマネジャー以前の問題で、既に介護認定審査会で、この方が要介護度幾つでデイ・ケアの対象かどうかが決まるわけです。その段階でこの人がデイ・ケアのサービスを受けられるか、受けられないか認定審査会にかかっているんです。認定審査会で仮に要介護度があったとしたら、ケアマネジャーから本人に必要なサービスのどれを受けるか選んでもらうわけです。そういう意味では、ピンピンしている人がデイ・ケアに行くのは考えられないはずです。もしあったとしたら、認定審査会の審査そのものに問題があるんじゃないかなと感じがします。

とりあえず、事務局から宮古地区医師会に対して、そのようなことがあるのかどうかを確認しているところです。まず、ないと思います。

医師の対応への要望

○大城(医師会)

続きまして、「医師の対応への要望」、国吉委員、よろしくお願いします。

○国吉委員

ここに當山先生が回答しておりますので、それでよろしいかと思います。

ただ、娘の友達がこういうことがあったんで、娘も非常にショックを受けて話していたんです。それで要望として出してあります。もっと詳しく聞けばわかると思うんですが、回答のように、医師の発言が「何の目的で来たのか」という意味であったのかわかりませんが、本人もショックを受けて帰ったということです。

○當山副会長(医師会)

私が気になるのは、セカンドオピニオンは盛んに言われておりますが、非常に難しいんです。例えば、前の医者のやり方が非常に良かったとして、後医者悪かったといったとき、助言で余計迷ってしまうんです。それで、サードオピニオンやフォースオピニオンを求めないといけないということになります。セカンドオピニオンをする人は、よっぽどしっかり意見を言し、前医のフォローをしていただかないといけない、ポロっとちょっと冗談めかしに言ったことが、結局、ものすごく物事を複雑にすることはあり得ると思います。

精神障害者の地域生活支援にかかる医療・保健・福祉の連携について

○大城(医師会)

次は、「精神障害者の地域生活支援にかかる医療・保健・福祉の連携について」、伊波委員、どうぞ。

○伊波委員

伊波委員

今度、精神障害者の地域生活支援のあり方という報告書が出されて、精神障害自体も支援法の適用になるわけです。昨年、法律が制定されて、今年の4月に適用されるんですが、なかなか詳細が決まらない状況です。県議会でも話題にもならない状況なんですが、実際に市町村対応になった時点で自主的に4月に適用になった時、慌てるのではないかというふうに思っております。

精神科の部門でどういう対応が検討されているのか。

もし社協だとか、それから福祉関係との協働が必要であれば、特に精神科の部分で、どういう準備、対応をしたら良いのかご示唆願えたらと思います。

○小渡(医師会)

精神科の医療施策は大きく分けると2つあるんです。医療系と福祉系の部分。精神科は特殊なんですが、何が特殊かというと、法律が特殊なんです。一般科の医療は医療法1本なんです。しかし、精神科は医療法プラス精神保健福祉法というのがあるんです。要するに、医療福祉法というぐらい医療と福祉が一緒になっているわけです。どうしてかというと、病気の人と、その病気の結果、障害がある。ハンディキャップのある人たちを両方同時に診るので、そのため、医療法だけでは足りず、精神保健福祉法という法律でくくられているわけです。

今、お話ししているのは福祉の部分なんです。これまで、我が国の福祉の対象は、二障害制度だったんです。二障害というのは、知的障害と身体障害になるんです。だから、身体障害と知的障害以外は福祉の適用ではなかったわけですが、平成5年に三障害制度に変わり、その結果、精神障害者が福祉の対象になった最初の法律です。それを障害基本法と言います。それで現在は三障害制度となっています。ただし、諸外国、先進国に比べると20年以上後れています。要するに、ハンセン病と同じなんです。以前より先進国ではみんな三障害制度なんですが、やっと日本も精神障害者を障害者として認めたというのが平成5年です。

さらに今回、その障害者支援法案が新たにできたわけですが、これは、三障害制度にしたんだけれども今のところサービスがバラバラなんです。その法律をもう1回整合性しようと新しくつくったわけで、同時に、福祉の概念が我が国は変わってきたんです。福祉はもともと救済するという意味があったみたいですが、救済という概念ではなく、支援しますとなっています。障害者といえども努力して下さい、それを国が支援するんだという形に障害者支援法案は転換したんです。基本的に福祉的な概念が変わったことを理解しないといけないです。

その中で一番顕著なのが、福祉をもらっている人も1割は負担してくださいということなんです。障害者支援費法案では、障害者ですからいろんなサービスを受けますが、サービスを受けるときは、1割は負担というのがこの法律なんです。これまで賛否両論あったわけですが、世の中がこういうご時世ですから、概念がこういう具合にするということでなっています。

精神障害者はおっしゃるように、一番後れていたんです。一番進んでいるのは身体障害者、次に知的障害者も進んでいます。今度、精神障害者が入ってきましたが、10%負担であってもこれはいいことだ、歓迎すべきことだと言っているんです。というのは、今までがあまりにも格差がありすぎるんです。法律の中で入れられるのは、格差がありすぎたのが是正され、一つにして総合化すればと非常に歓迎しているということです。

この法律のよかった点は、障害者に対する支援費を国に義務化をしたんです。それまでは全部一般財源できているわけです。これを国が必ず、障害者支援用だよという費用を義務化し、法律の文言に入れたんです。障害者にとっては、ある意味できちっとした担保を取っている。それが得られたというのが非常にいいことなんです。

その法律が今度4月1日から新制度に変わりますが、中身が介護保険と同じなんです。要するに、在宅系サービスと、在宅以外のサービス、施設サービス、その2つに分かれているわけですが、今度は就労サービス、仕事面でのサービス、それからケア面、介護面でのサービスとか、介護保険と同じようにサービスがあるわけです。サービスを受ける人は、誰でも彼でもではなく、重症度を認定するわけです。介護保険と似てはいるが、難しいのは障害者別にみんな違うわけです。知的障害者の重症度、身体障害者の重症度、それから、精神障害者の重症度はみんな特徴があって、それをきちっとつくっている最中なんです。

従来から知的障害者と身体障害者は歴史があり、かなりきっちりしたものがあるんですが、精神障害者はこういうサービスが初めてなもので、重症度がちゃんとできていないんです。今、日精協案、全日本精神病院協会案とすり合わせをしているところなんですが、今年の4月からですから、それまでには重症度の判定が出てくると思います。それに基づいてサービスが受けられるということです。

ただし、単身者の人たちが多いので、まだ居住サービスが不確定なんです。従来あるのがグループホーム、授産施設、生活援護施設、訓練施設とあり、多岐にわたっているんですが、それを整理するというわけです。しかし、なかなか整理つかなくて、結局は付帯決議で5年間かけて整理しましょうということになっているんで、それは随時にしかならないと思います。

今、県のほうとも調整していますが、県のほうも国の全国課長会議でも、まだこのへんがはっきりしない。そのため、いずれにしても追々やっていこうとなっています。今、決まっているのは、居宅のほうで従来あったグループホームは4月1日から新グループホームとする。それから、福祉ホームAというのがあるんですが、福祉ホームAは、今年の10月から新グループホームという具合にグループホーム化するみたいです。あとの授産施設とか、そんなのはまだまだ決まってないのが現状です。

もう一つは、入院から地域中心へと、これは医療の形を言っているわけですが、長期入院が精神病は多いので、これを帰しなさい、外来に通院しなさいということなんです。外来で通院するというのは、帰る場所がないといけないんです。住む場所がないと帰れないわけです。だから、その支援費法案と連動しています。

もう一つは偏見です。地域に帰そうとしたら、反対する人がいっぱいいるんです。あるいは住む場所をつくり、グループホームをつくろうとすると、すごい反対が出るんです。そういう意味で、差別とか偏見をなくすための啓発活動をやりますと、国は回答に書いてあります。グランドデザインの中に、ここ10年間で精神疾患は誰でもかかる病気であり、メタボリックシンドロームと一緒ですよということを、国民の90%にわかるようにしますということを明言しているんですが、どうも予算化もされていません。

こういう問題が話題に出ること自体で偏見が徐々になくなるんだろうなと私は思っています。

長期入院患者の取り扱いについて

○大城(医師会)

それでは、続いて、「長期入院患者の取り扱いについて」大城委員が今日は欠席ですので、私のほうが読み上げます。

長期入院患者の取り扱いについて、入院患者は3カ月ごとに病院を変えるということを聞いています。どういうシステムになっているのでしょうか。

救急車で運ばれた患者は、処置を済ませば重体であっても、その病院には入院できないのですか。どこに移っていいかわからないので家族が困っていました。

○安里(医師会)

安里

今の質問にお答えします。図にもありますように、最近は病院の機能分化が進んできております。特定機能病院と言いますと大学病院です。地域医療支援病院は地域の医療機関との連携がスムーズにいっている病院です。一般病院というのは急性期の一般病院です。療養型はある程度、急性期を過ぎた病院を指します。一般病院の中で5つの種類の病棟があるわけですが、集中治療病室、その後のハイケア・ユニット、それから、一般病床、回復リハビリ病棟、亜急性期病床という5つの病室の中でも、在院日数が全部変わっていっているという具合です。今はいろいろな意味で過渡期だと思っております。いろんな病院の分化及びその病床の在院日数の変化があります。

急性期を過ぎますと、回復病棟や急性期病床に移るわけですが、さらに、病状が安定し、医療より生活の支援が中心となりますと療法型病院に移っていく。こういう具合に症状と生活支援、医療と生活支援、どちらが中心となっていくかによって変化していきます。施設によって、入所される日にちが制限されていく背景があると思います。

患者さんの重症度と医療機関の機能分化並びに制度と診療点数が関係していると思います。このことはまだ医療従事者も十分に把握しきれてなく、ちょっと複雑な面がございます。国や県、医療機関はもう少し県民にわかりやすいように説明する必要があります。また医療機関でも医療相談室や患者相談室、地域連携室で気軽に相談していただきたいと思います。

2番目の質問ですけど、本当にこういうことがあったのかと思ったりしていますが、事実だとすれば、本当に恐縮し申し訳なく思います。救急車で来院されて診察は受けたけど入院はしなかったのは、ひょっとしたら、その病院で専門的な対応ができなかったという背景があったのではないかと感じます。

専門医がいなければ、心臓の病気だと急変して手術になったり、未熟児を診療するとき、専門医や医療機器がないと、その病院に入院するだけで刻々と時間は過ぎていって適切な対応ができないと思います。仮にその治療ができないんでしたら、次の病院を紹介するというのが通常そうなるわけですが、それがなかったのでしょうか。

自院では、治療が困難な時、即時他の病院と連携して救命治療にあたるのが当然のことだと思っております。そのような事態が仮に生じたら、診察した医師から紹介状をもらい、病院の救急車か公的救急車を呼んでもらい、より専門性の高い病院に紹介します。ご指摘の病院が事実でしたら、医師会としても指導していきたいと思いますし、沖縄県の医療安全相談センターや医師会の苦情相談窓口にご連絡いただけたらと思っております。

○大城(医師会)

皆様のご協力で少し時間に余裕ができました。この際ですから、お一方だけ先ほど質問し忘れたらことがありましたら、どうぞ。

ご質問はないようですが、私からお願いがあります。新しい病院はボランティアを募っていますので、是非、ご協力を宜しくお願いします。

○山田委員

ボランティアの内容はどういうような、子供の世話とか?

○大城(医師会)

子供の世話は訓練がある程度要ります。ボランティア養成講座が既に終わっています。その他の部分で、例えば屋上庭園の問題、環境整備、あるいはギャラリーなどをサポートしていただければと思います。

○安次嶺(医師会)

患者さんのお世話をするだけではなくて、いろんな領域でボランティアも募る。とりあえず開院に向けて患者さんを案内したり、本当に身近で世話する方を求めています。ボランティアは幅広く、趣味を生かし、花を植えるのが好きという方はお花を植えていただいて結構で、水をかけてくださる方もおりますし、何でもおできになる方がありましたら、相談していただければと思います。宜しくお願いいたします。

○山田委員

老人クラブは前期高齢者で元気な人がたくさんいらっしゃいます。県の老人クラブ連合会に依頼文を出せば、考えてくれます。募集はしていらっしゃるけど、おそらく足りないんじゃないか。社会人としてある程度は経験と知識がありますので、有効なボランティア活動ができると思います。

○大城(医師会)

本日も活発なご意見をありがとうございました。