沖縄県医師会 > 健康の話 > ドクターのゆんたくひんたく > ドクターのゆんたくひんたく2013年掲載分 > 腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニア(2013年12月3日掲載)

金城幸雄・南部徳洲会病院

9割は保存療法で軽快

腰椎椎間板ヘルニアは、激しい坐骨(ざこつ)神経痛(お尻から太もも・ふくらはぎの後面にかけての痛み)が特徴です。はじめは腰痛がでて、数日後に片方の坐骨神経痛が出現することもあります。気になる程度の痛みから、座ることができないほどの激しい痛みまで、さまざまです。

ヘルニアとは「脱出」という意味で、腰椎のクッションの役割をする椎間板が脱出して神経を圧迫する病気です。人口の約1%が罹患(りかん)すると推定されています。20〜40歳に多く、男性には女性の3倍多くみられます。下肢伸展挙上テスト(イラスト参照)において、70度以下の傾きで痛みが強まれば、腰椎椎間板ヘルニアが強く疑われ、腰椎MR画像検査で診断できます。

腰椎椎間板ヘルニアは90%程の割合で自然軽快が期待できるため、治療としてはまず薬、安静、仙骨ブロックなどの保存療法(手術を行わない治療)です。2、3カ月の十分な保存療法を行っても日常生活に支障がある場合や、坐骨神経痛が激しい場合は手術を考慮します。ただし発症早期であっても、排尿・排便障害、両下肢運動まひ・筋力低下などの運動神経まひがある場合は手術が必要です。特に排尿・排便障害があれば緊急手術になります。

手術は通常、後方から5センチ皮膚切開して腰椎ヘルニア摘出を行います。施設によって3センチ切開での顕微鏡手術や、2センチ切開での内視鏡手術などを採用していますので、ご確認ください。内視鏡のメリットは術後の痛みが軽いことですが、重労働への復帰は2カ月と通常の手術と後療法は変わらず、再発率も同程度です。

手術をしても5%は再発しますので、排尿・排便障害、両下肢運動まひ・筋力低下がなければ、まずは1〜3週間の保存療法後に、治療方針を再度検討します。

坐骨神経痛があり腰椎椎間板ヘルニアかなと思ったときには、お近くの整形外科へ受診してください。