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RSウイルス感染症(2013年11月12日掲載)

宮城裕之・沖縄赤十字病院

乳幼児に多い呼吸器疾患

「RSウイルス」という、あまり聞きなれないと思われる病気についてお話します。最近は一般診療所でも検査できるようになりましたので、多少はお聞きになっている方もいらっしゃると思いますが、どんな病気でどんな症状が出るとか、治療はどうするのかなどは知らない方が多いと思います。

RSウイルスは、Respiratory Syncytial Virus(呼吸器合胞体ウイルス)の頭文字を取ったものです。専門的になりますが、「ウイルスの感染する細胞が主に呼吸器にあり、合胞体というものを作る」ということに由来した名前です。名前の通り呼吸器細胞に感染することが多いので、咳(せき)、鼻水などの症状が出ることが主です。一般的には他の風邪症状と何ら変わらないことが多いのですが、新生児の無呼吸発作や、肺炎や気管支炎で入院治療することもあり油断なりません。年齢的には2歳未満の乳幼児に多い病気で、本土では冬に多いといわれていますが、沖縄では一年中見られ、むしろ夏に多い傾向があります。

診断は、鼻に綿棒を入れて鼻汁液を取り、ウイルスの有無を検査して行います。インフルエンザの検査と同じ要領です。短時間に診断がつきますので、その日のうちに病気が分かります。しかし、その検査も外来では1歳未満にしか保険適用がないため、1歳を過ぎてからの対処には不備があります。乳幼児に多い病気ですので、保育園など集団生活をしている場所での感染拡大などに神経を使います。

治療としては、特効薬がありませんので、熱があれば解熱剤を使う、咳や鼻水があればその症状を抑える薬を飲むなどという対症療法が主体となります。感染経路としては、咳、鼻水などからの飛沫(ひまつ)感染と手指を介した接触感染が主ですので、手洗いやうがいを励行し、マスクを使用し感染を広げないようにすることが重要です。

特殊な薬で「パリビズマブ」というものがあり、早産児や心臓疾患のお子さんには使われていますが、高価で保険上の制約もあり一般的には使われていません。良いワクチンができ、乳幼児全ての子を対象とした対策が取れることを期待するものです。