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前立腺がん治療(2013年10月22日掲載)

翁長朝浩・中部徳洲会病院

ロボット手術に期待

ロボットと聞くと何を連想しますか? 鉄腕アトム? それともガンダム? 残念ながら、まだSFに登場するようなAI(人工知能)が、人間の手を介さずに手術するようなことはできません。ロボット手術とは、ロボットの精密な腕を遠隔操作することでより正確な手技を行うことができる手術です。

2012年4月から、ロボット支援腹腔(ふくくう)鏡下前立腺全摘術(前立腺がんに対する手術)が保険で認められるようになりました。

前立腺という臓器は尿道にあり、男性にしかありません。精液を作り、精子を助けて子孫を残すという重要な仕事をしている場所です。前立腺にもがんという悪性の病気が発生します。米国では、がん全体の中だと前立腺がんが男性の死亡原因第2位でしたが、早期に治療することで、死亡率は低下してきています(米国では、前立腺がんの手術の90%がロボット手術で行われます)。

日本でも、前立腺がんになる人が年々増えてきています。遺伝的な素因や欧米風の食生活が、前立腺がんの危険因子だと言われ、肉類やチーズ、バター等の乳製品の摂(と)り過ぎは良くありません。反対に大豆(主としてイソフラボン)を多く含む食品は、がんの予防になると言われています。

また、がんは放置すると他臓器に転移して命に関わる重篤な疾患です。そのため、早期に発見し早期に治療するのが一番の治療法となります。

いろいろな治療法がありますが、ロボット手術は(1)出血が少ない(2)傷が小さい(3)痛みが少ない(4)回復が早い(5)機能温存が容易−などの利点があります。

残念ながら「ダビンチシステム」という最新の機器は県内ではまだ1台しかありませんが、近い将来、産婦人科や一般外科の疾患でも保険適応となり、ロボット手術が活躍するでしょう。

自動車にも車検があるように、人間にもメンテナンスが必要です。50歳を過ぎたら、ぜひ健康診断や人間ドック等検査を受けましょう。健康と長寿のために!