もし健診で血圧が正常だとしても安心はできません。血圧は1日中変化しており、気付かないうちに高血圧になっていることがあります。これは「かくれ高血圧」と呼ばれ、症状に気付きにくいため治療されにくく、危険性が高いのです。その結果、ある日突然、心筋梗塞や脳卒中などの重い合併症を起こしてしまうことがあります。かくれ高血圧の早期発見、早期治療がとても大切です。
単に医療機関や健康診断で血圧を測定するだけでは、かくれ高血圧を発見することはできません。近年、夜間を中心に一日を通した血圧管理の重要性が分かってきました。
携帯型自動血圧計を用いて1日中連続して測定した血圧を24時間血圧といいます。この血圧計で測ると、一日の血圧の変動の様子が分かるため、かくれ高血圧を診断することができます。
かくれ高血圧の原因として、眠っている間に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」が挙げられます。無呼吸状態を繰り返すことで、夜間の血液の酸素濃度が低くなったり、呼吸が止まるたびに苦しくて脳が目覚めてしまうため交感神経が興奮し血圧が上昇したりすることになります。
また、高血圧で治療中の方も要注意です。薬によって日中は血圧が安定していても、薬の効果が切れやすい朝方になると血圧が急上昇することがあるからです。高血圧を治療していても、かくれ高血圧を見逃すと合併症を発症する恐れがあります。24時間血圧測定により薬の効き目が十分かどうかを見ることができます。高血圧治療中の方の一日の血圧変動パターンを見ることは、的確な治療方針を立てる上で重要です。
24時間血圧検査は、簡単な検査です。腕に血圧計を取り付け、小さな記録用の機械を腰に巻きます。そして家で普段通り生活していただきながら、一定の時間間隔で血圧を測ります。翌朝に腕の血圧計を外した後、記録・測定されたデータを解析して血圧の情報が得られます。
十分な血圧管理と健康管理に、24時間血圧検査を活用していただきたいと思います。