皆さんはパニック障害という病気をご存じですか? 最近は有名人で自身のパニック障害を公言される方もおり、名前くらいは聞いたことがあるかも知れませんね。
パニック障害とは、今まで普通に生活していたのにもかかわらず、ある日突然に動悸(どうき)、呼吸困難、過呼吸、震えやしびれ、目まい、不安感や恐怖感などの症状が起き、このような発作(「パニック発作」といいます)が何回も繰り返されるものです。パニック発作自体は生命に危険が生じるようなものではなく、通常は長くても1時間ぐらいで落ち着きます。パニック発作が起きたときには体の病気と思い、病院で診察を受けたり、救急車で運ばれたりする方も多いのですが、検査しても特に異常は見つかりません。その後、なぜこのような発作が起こるのか分からず、「また発作が起きるのではないか?」という不安につきまとわれます(「予期不安」といいます)。
さらに不安が強まると、発作が起きそうな場所や発作が起きたときに助けが得られにくい場所・場面を避けるようになります(「広場恐怖」といいます)。例えば、人混み、車の運転、エレベーター、飛行機、トンネル、一人で過ごすことなどです。このような広場恐怖は日常生活の活動範囲を大きく狭めることとなってしまい、中には引きこもりになってしまったり、うつ状態になったりする方もいます。
パニック障害は脳の機能異常のために生じると考えられています。最近は非常に効果が高く副作用の少ない薬がありますので、まずは薬の服用で発作が起きないようにコントロールした上で、予期不安や広場恐怖など日常生活への影響が大きい症状を徐々に克服していきます。
パニック障害は発作が起きるようになってから、なるべく早い時期に治療を始め、予期不安や広場恐怖による日常生活への影響を食い止めることが大切です。パニック障害の治療は「心療内科」や「精神科」で行っています。