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低線量CT検診(2013年9月3日掲載)

久場睦夫・沖縄病院

肺がん死 減少へ

わが国における最近の死亡原因の第1位は、ご存じのように悪性新生物(がん)であり、今や3.5人に1人はこれにより亡くなっています。悪性新生物の中でもワーストは断トツで肺がんです。

この肺がんによる死亡を減らすにはどうすればよいでしょうか。禁煙が最重要であることは言を待ちません。ただ残念ながら、たばこを吸わない方にも肺がん発生がみられます。ワクチンのような予防法が確立されていないがんの死亡を減らすには、早期発見・早期治療が重要となります。がん死亡予防のために集団検診がありますが、年1回の胸部エックス線写真による肺がんの集団検診も有効とされています。

しかし肺がんの死亡は増え続けており、もっと確実な検診方法はないか、模索されてきました。そこで登場したのが低線量CTによる検診です。これまで、低線量CTによる検診については有効性を示す報告はあるものの、大規模な集団検診における有効性については確定的ではありませんでした。

そこへ最近、世界で最も権威ある医学誌「NEJM」に、米国で行われた大規模検診での低線量CT検診の有効性が発表されました。喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が600以上で、55歳〜74歳の5万3千人余を対象にした大規模比較臨床試験を受けてのものです。対象者を「年1回の胸部エックス線写真で検診を行うグループ」と「年1回の低線量CT検査を行ったグループ」に分け、低線量CT検診群で肺がん死亡をより多く減らすことができるかどうかを検討しました。

結果は、胸部エックス線グループより低線量CT検診グループの死亡率が20%減少していました。低線量CT検診が肺がん死亡を減らす有効な手段である、と世界へ明らかにしたのです。わが国での低線量CTによる全国的な集団検診はまだ行われていませんが、個別的な低線量CT検診・健診は行われています。

肺がんが気になる方、特に喫煙されている方、過去にたばこを吸っておられた方には低線量CTによる検診・健診をお勧めいたします。