沖縄県は男女とも全国一の肥満県です。肥満が糖尿病、高血圧症などを引き起こし、心筋梗塞や脳卒中などの原因になります。肥満の改善が沖縄県の急務となっています。
多くのダイエット法の中で注目されているのが糖質制限です。これは、砂糖、米、パン、麺類などの糖質(炭水化物)を減らすものです。各種栄養素(糖質、脂質、タンパク質など)の中では、糖質が最も血糖を上昇させます。また、膵臓(すいぞう)からのインスリン分泌を増加させます。インスリンは細胞のエネルギーであるブドウ糖を細胞に入りやすくするものです。消費できずにあまったエネルギーは、脂肪細胞に中性脂肪として蓄積されます。このため、内臓脂肪が増え肥満につながります。また、異所性脂肪といって、心臓や筋肉にも脂肪がたまるものもあり、体に悪さをします。
糖質制限をして糖質が減った分、代わりに内臓脂肪をエネルギーとして消費するので、体脂肪が減り体重も減ります。実際、多くの方が糖質制限で減量しています。
では、この糖質制限は誰がやってもいいのでしょうか。治療中の病気のある方は注意が必要です。特に腎臓が悪い方は行わないでください。糖質制限では糖質を減らす分、タンパク質と脂肪を取る割合が多くなります。腎臓病の治療食は低タンパク食であることを考えても、高タンパク食で腎機能障害が悪化します。
また、高脂血症の方も悪玉コレステロール(LDL)が上昇する場合があります。狭心症などの動脈硬化の原因は酸化LDLですが、LDLが多くなると、酸化LDLも増加します。糖尿病で内服薬やインスリンで治療中の方は糖質制限で低血糖になる恐れがあります。必ず主治医の先生と相談してください。
日本糖尿病学会では糖質制限を長期に行った場合の安全性などの科学的データが少ないことから、今のところ糖質制限を推奨していません。治療中の病気がない方でも、健診などで血液検査を受けて検査値の異常がないかを確かめてから行ってください。糖質制限ダイエットは、すべての人に当てはまるものではありません。