この時期、学校検診で視力低下を指摘された子どもたちが多く来ますが、最近の近視の増加と低年齢化が気になります。なぜ近視になるのでしょうか?
目は角膜と水晶体の2つのレンズで、目の中の網膜に焦点を合わせることによって映像がきれいに見えます。近視とは遠くを見ると網膜の前で焦点が合うためにぼやけて見え、近くは網膜に焦点が合うのでよく見える状態です。眼球が大きくなるとより焦点が手前に合うので近視が進みます(図参照)。生後すぐの子どもの目は軽度の遠視で視力は0.01程度ですが徐々に眼球は成長し神経も発達してきます。3歳から5歳で大人と同じ1.0程度の視力が出るようになります。
遠視は目の成長とともに減少し、8歳頃に正視化(遠視も近視もない状態)するといわれています。その後さらに目が成長すると近視になるのです。
近視はアジア人に多く、近視を促進する因子としては両親のどちらかが近視である、30センチより近くで30分以上読書する(ゲームや携帯も同じ)、外で遊ぶ時間が短いなどが知られています。現代の子どもを取り巻く環境が近視の増加や低年齢化につながっているのです。ですから、近視の予防には人種や遺伝は仕方ないとして、姿勢よく30センチ以上離して見ること、長時間近くを見ないことが大切。適度な明るさも必要です。続けて見る場合には1時間に10分程度休憩し遠くを見るといいでしょう。屋外でのスポーツもお勧めです。
近視で視力が0.7程度に低下したらメガネ装用を勧めます。早くメガネをすると近視が進むとか、掛け外しは良くないとか聞かれますが、全く関係ありません。お子さんが不自由を感じるなら掛ければいいのです。コンタクトレンズは取り扱いが悪いと眼病の原因になることがあるので、中学生くらいからの使用が望ましいと思います。
近視は「目が悪い」わけではありませんが、中には弱視や病気による視力低下の場合もあります。まずは眼科で適切な視力検査を。お子さんによく見える環境をつくってあげて下さい。