節々の痛み・腫れや朝のこわばりから始まり、よい治療法がなく次第に変形していき関節が動かなくなる病気、というイメージがかつては強かった「関節リウマチ」ですが、ここ10年くらいは生物学的製剤と呼ばれる効果的な治療が登場し、その経過もかなり改善されてきました。
それでも変形が進んだ関節が元に戻るわけではないので、早期診断、早期治療や患者さん個々に合った治療の調整が大切だといわれております。
早期診断やリウマチの活動性(病気の勢い)の判断には、関節の炎症がどのくらいあるかが大切な診察項目となっています。
さて、話は少し変わりますが、みなさんはエコーという検査はご存じかと思います。おなかの臓器や心臓の動き、妊娠中の赤ちゃんの状態などを観察するのによく使われています。ここ数年、エコー機器の性能が格段に進歩したこともあり、関節の炎症などを観察することにも応用できるようになっています。
先ほども述べたとおり、リウマチの診断や評価は重要で、腫れている関節を触って状態を把握すること(触診)は大切な手段です。しかし、触診によって関節の腫れがあるかないか、前と比較して良くなったか悪くなったかといった診察は医師の主観によるところが大きく、曖昧な評価となることも少なくありません。
先日、その関節エコーを手にして診察する機会を得ました。評判は聞いてましたが、実際に患者さんにエコーを用いると、腫れがあるかないか迷っていた関節が実際には炎症で燃えているとか、変形だけで炎症は無くなっていることなどが画像として確認でき、しかも患者さんにもその場で見ていただきながら説明できるので、非常に診療の精度が向上するのを実感しました。
近年広がりつつあるも、まだ一般的に普及していない検査ですが、近い将来エコー検査が手軽に活用され、治療薬の進歩と共に、多くのリウマチの患者さんに恩恵がもたらされると考えています。