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ストレス関与の病気(2013年7月16日掲載)

原 信一郎・沖縄セントラル病院

心療内科に相談を

現代社会は、ストレス社会ともいわれており、ストレスが関与する“からだ”と“こころ”の病気をたくさん生み出しているようです。糖尿病などの生活習慣病、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、最近ではうつ病、不安障害、睡眠障害などでつらい思いをしている方々が多くおられます。

現代のストレス社会において、私たちの日々の生活は、地震・津波・台風などの気象の激しい変動、PM2.5や二酸化炭素などの大気汚染、鳥インフルエンザウイルスのような病原微生物などの「身体的なストレッサー(ストレスになりうるもの)」に加えて、判断や選択に困るような国内外からの多様な情報、職場・学校・家庭・地域における人間関係の不和やもつれ合いなどの「心理社会的ストレッサー」にも曝(さら)されています。

このようなストレッサーを適切に受け止めることができず、効果的な対処ができなければ、私たちの心身は悲鳴をあげます。そして、本来私たちに備わっている自律神経系・内分泌系・免疫系の働きが損なわれて、心身両面の健康を維持しようとすることができなくなり、ストレスが関与する病気になってしまうのです。心療内科とは、その発症と経過にこのようなストレスが関与している“からだ”や“こころ”の病気を、心身両面から診断し治療をする診療科のことをいいます。また、内科領域だけでなく、外科、婦人科、精神科などの領域にわたるこれらの病気に悩まれ苦しまれておられる方々の治療も行います。心身の両面的な治療を進めると「からだだけの治療」「こころだけの治療」のような、一面的な治療では予想もつかないほどの効果が得られます。

大切なことは、そのような病気になられたからといって「ストレスに弱い、ダメな人間」だと自分を責めたりしないことです。自分の病気の成り立ちを振り返り、ストレスの受けとめ方、感情や欲求の持ち方などに“気づき”、柔軟で適切な対処行動が取れるようになると、病気は必ず良くなります。そして、ひとまわり成長した自分を実感できます。なぜなら、病気は自分を成長させていけるチャンスになり得るからです。お気軽にご相談してください。