最近の統計によると、日本人の2人に1人ががんに罹患(りかん)、そして3人に1人はがんで亡くなると言われています。つまりがんはそれほど身近な存在で、決して他人事ではないのです。
かつて、死因の上位を占めていた結核や胃腸炎などの感染症による死亡は、抗生物質の発達などにより激減し、代わって1960年代以降は、脳血管疾患・心疾患・がんが3大死因となりました。いわゆる「三大成人病」です。その後、脳血管疾患は1970年代をピークに減少し、心疾患による死亡は緩やかに増加しているものの、一時は減少した時期もありました。しかし、がんによる死亡は1981年にトップとなって以来、ハイペースで増加の一途をたどり、今や死亡原因の約30%を占めるまでになっています。これは脳血管疾患の約3倍、心疾患の約2倍にあたり断トツの1位です。このがん死亡率増加は、がんによる死亡率の高い高齢者の増加が一つの要因とされています。
それでは、私たちはがんに対して、どのように心掛ければ良いのでしょうか。それはまず、日頃からできる限りがんにならないよう努めることと、早期に発見・治療ができるよう検診を受けるということが大事です。もちろん、がんを確実に予防できる方法はありませんが、リスクを減らすことは可能です。
表にもある「日本人のためのがん予防法」では、たばこは吸わない、飲むなら節度のある飲酒、バランスのとれた食事、日常生活を活動的に過ごす、適正範囲内の体重維持、肝炎ウイルス感染検査を受ける、以上の6項目が挙げられています。これを見て「おやっ?」と思った方がいると思います。そうです。もしこれらを実践すれば、メタボリック症候群などの生活習慣病の予防にもなり、まさに一石二鳥です。実はがんも生活習慣病の一つなのです。2000年に沖縄県男性の平均寿命が26位まで落ちた「26ショック」以来、長寿県から転落しつつあるわが県で、多くの県民がこの「がん予防法」を実践すれば、がんのみならずその他の生活習慣病も予防でき、再び「長寿県沖縄」と胸を張れる日が来るのではないでしょうか。