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風疹と赤ちゃん(2013年6月18日掲載)

中村健・勝山病院

CRS児発生防止を

かつて沖縄県で風疹の大流行があり、風疹による先天性風疹症候群(CRS)児が全国一高い割合で出生しました。妊娠するまで風疹にかかったことのない女性の比率が極めて高かったからです。当時、風疹のワクチンは無く、無防備の状態でした。風疹にかかるのが妊娠の初期であればあるほど、先天異常の程度は重く、部位は広範囲で、死産も見られます。

日本では昨年から風疹の流行が始まりました。今年になって患者数はさらに増加し、5月に入って昨年の同時期の34倍に急増しています。現在も急増中です。主に県外の大都市で流行していますが、流行が数年にわたって続くことがあります。このままですと、近々CRS児が出ることが危惧されています。

風疹の流行を防ぐには、風疹ワクチンの接種により感染者を減らすしかありません。

最近読んだ記事で、重症CRSの乳児を30年ほど前に亡くされた母親が、同じような悲劇を二度と起こさせないようにワクチン接種を強く呼び掛けるというものがありました。定期ワクチンの接種率が高い地域では、学童・生徒が親にワクチン接種をせがむ所もあります。ことし風疹が流行している地域では、条件付きではありますが、CRS児発生防止のために、那覇市や豊見城市など公費による風疹ワクチン接種を行う自治体もあります(詳細については各市町村の窓口にお問い合わせください)。

風疹感染の30%ほどは、熱や発疹などの症状が無い不顕性(ふけんせい)感染です。この場合、血液検査による風疹の確定診断が難しいケースがあります。ですので、特に妊娠を考えておられる方のうち、接種をまだ受けていない方や1回しか受けていない方には、流行前のワクチン接種が望まれています。接種後2カ月間の避妊が必要です。妊娠すると接種できません。また、全国の風疹患者の8割は20〜40代の男性で、特に20〜30代男性パートナーの感染予防やワクチン接種も重要です。