「夕方や寝る前になると、脚に出てくる違和感でなかなか寝つけない。歩いたり、もんだり、たたいたりすると少し楽になる」。このような経験はありませんか?
実はこの症状、「むずむず脚症候群」かもしれません。この変わった名前の病気は、必ずしも病名にあるようなむずむず感だけでなく、じっとしていられない感じや、脚が熱い(冷たい)感覚、重だるい、じりじり感、砂や石を踏んでいる感じなどさまざまです。
症状は夕方から夜にかけて強くなることが多いため、寝つきが悪くなったり、しばしば日中の眠気を伴います。
この病気は小児から高齢者までみられます。成人以降では、前述の特徴ある症状で診断されますが、保育園児から小学校低学年の子どもたちでは、症状をうまく説明できず、この病気と気付かれないこともあります。睡眠不足のために学校でウトウトしたり、“キレやすい”子になったりします。授業中に症状が出ると、じっとしていられず、落ち着きがなくなるために、注意欠陥多動性障害(ADHD)という病気と似た症状になることもあります。
また、寝る前や夜間に手足の痛みや不快感を訴えることの多い“成長痛”ですが、その症状がむずむず脚症候群にとてもよく似ているため、注意が必要です。
「むずむず脚症候群」の原因は不明で、神経の何らかの機能障害と考えられています。誘因として重要なのが貧血です。特に、貯蔵鉄を反映するフェリチン値が診断や治療の際に大変役立ちます。貧血の方や妊婦さん、腎不全の方にもそれぞれ4〜5人に1人の割合でみられます。
その他、パーキンソン病などの神経系の病気が原因になることもあります。思春期以前は、貧血の治療で改善することが多く、食事に気をつけると良いとされています。加齢に伴い、原因が複雑になると、症状に応じて薬剤の調整が必要です。
気になる症状がある方は、一度かかりつけ医や睡眠・神経科の専門医に相談してみてはいかがでしょうか?