血尿とは、尿に血液が混じった状態です。尿は腎臓で作られ、尿管という管を通って膀胱(ぼうこう)にためられた後、尿道を通って排尿されます。腎臓から尿道までのどこかで出血があると、尿に血が混じることになります。
血尿には、目で見て赤いと分かる「肉眼的血尿」と、目で見ては赤くないが、顕微鏡で見ると赤血球が見られる「顕微鏡的血尿」があります。
顕微鏡的血尿は原因不明の場合も多いのですが、腎炎や尿路結石や癌(がん)などが原因の場合もあります。腎臓内科や泌尿器科で精密検査を受けた方がよいです。
肉眼的血尿はわずかに赤く見える血尿から血の塊が混じる血尿まであり、ほとんど全ての症状に明らかな原因があります。肉眼的血尿の原因は、膀胱炎、腎炎、動脈瘤(りゅう)、結石や癌などです。沖縄県では、寄生虫のひとつであるフィラリアの後遺症による乳糜尿(にゅうびにょう)に血尿が混じって、肉眼的血尿となることもあります。
また、肉眼的血尿は症状の程度も重要です。血の塊がある血尿は、出血が強い病気が原因となります。膀胱炎、腎臓癌、尿管癌、膀胱癌、腎動脈瘤や膀胱結石などによることが多いので、早めに泌尿器科での精密検査が必要です。
膀胱癌や腎臓癌では、肉眼的血尿の症状が一度消失して、数カ月後にまた出てくることもよくあります。血尿が出なくなったからといって、病気が治ったわけではありません。血尿の原因が癌の場合は、そのまま進行して手遅れになることもあります。ですから、肉眼的血尿の場合は早めに精密検査を受けるべきです。血の塊が無い血尿や顕微鏡的血尿にタンパク尿を伴う場合は、腎炎の可能性があります。腎臓内科での精密検査が必要です。腎炎を放置すると、腎不全となり人工透析が必要になることがあるからです。
血尿について気をつけるべきことがあります。女性の場合は、性器出血が尿に混じるために血尿となっている可能性があるということです。子宮癌などからの出血で血尿となっていることもありますので、婦人科の診察も必要になります。
血尿はあなどれなません。一度、精密検査を受けましょう。