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風邪は万病の元(2013年4月23日掲載)

狩俣洋介・かりまた内科医院

重症の危険性も

風邪をひいて、重い体をひきずって病院に行ったが、何時間も待った揚げ句、風邪に効く薬はないから家で寝ていた方がいいと言われ…。私自身、学生時代にこういう経験をしたことがあります。皆さんも風邪で医者にかかるべきかどうか、判断に迷うことがあると思います。放っておいても自然によくなるものですが、『風邪は万病の元』とも言われ、重大な病気が隠れていたり、こじらせて重い病気を合併したりすることがあります。今回は、どのような場合に医療機関を受診すべきかお話ししたいと思います。

まず、お年寄り、もしくは心臓病や呼吸器疾患、糖尿病などの慢性的な持病がある方は、ただの風邪だと思っても診察を受けた方がよいでしょう。これらの方々は、肺炎などの重症感染症を合併する危険性が高いことが分かっています。

次に、風邪の代表的な症状の、のどの痛み、せき、頭痛のうちどれか一つの症状が極端に強い時は『ただの風邪』ではない可能性があるので受診した方がいいでしょう。例えば、のどの痛みが強い場合は抗生物質が必要な場合がありますし、せきが強い場合は肺炎やぜんそく発作をおこしている可能性があります。頭痛が強い場合は、蓄膿(ちくのう)や髄膜炎の可能性があります。

症状が続く時も受診の必要があります。2週間以上せきが続く場合は、結核やぜんそくなどの肺の病気が隠れていないか、検査が必要です。5日以上熱が続く場合は、風邪以外の病気の可能性を念頭においた注意深い診察が必要です。鼻水が続く場合は、アレルギーや蓄膿の可能性があります。

受診のポイントをいろいろお話しましたが、実際にはご自身で判断するのは難しいことも多いと思います。しかし、重症患者さんの多い大病院だと、冒頭に挙げた学生時代の私のような状況になる可能性があります。町のお医者さんの中には“風邪診療”のプロがたくさんいます。気軽に相談できる、かかりつけ医を見つけておくのが一番大事なことかもしれません。