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たかが「いびき」されど「いびき」(2013年4月9日掲載)

仲西雅人・みやびクリニック

無呼吸症候群にも

「いびきをしている時は、深く眠っているんですよね?」とは患者さんからの質問です。さてどうなんでしょうか? よく「高いびきをかく」と言いますが、辞書でひくと、「いびきが高いこと」。また、「ぐっすりと寝込むこと」と書いています。

いびきを症状とする患者さんの検査や治療を行っていると、時々、冒頭のような質問をされます。また、「私のいびきがうるさいので、妻とは別の部屋で1人で寝てます」という方もよくいらっしゃいます。子どものいびきの場合ですと、「いびきをかくぐらいぐっすり眠っていると思っていました」と言うお母さんもいました。

いびきは子どもから大人までありますが、必ずしも深く、すやすや眠っているとは限りません。それは、いびきのメカニズムを考えるとわかりやすいと思います。いびきは、寝ている時の呼吸の音が大きくなって聞こえていると考えてください。なぜ、大きな音になるのか? 指笛の音を出す時に、指と唇の狭い隙間から、強く勢いよく空気を吐くと音が出ます。同じように、いびきも体の中の空気の通り道である気道が狭くなり、そこから無理をして強く呼吸をすることで、大きな音が出るのです。

気道の狭くなる原因としては、大人だと肥満が、子どもだとへんとう腺の大きい子が多いです。このことから、いびきは寝ている間、無理をして呼吸しているのですから、深い眠りのはずがありませんね。そして、狭い気道で呼吸している状態のいびきから、完全に気道がふさがってしまうと無呼吸になります。寝ている間にいびきと無呼吸が何度も繰り返し起こる状態になると、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

睡眠時無呼吸症候群になると、高血圧になりやすく、血圧の薬が効きにくくなります。また、糖尿病にもなりやすく、血糖も下がりにくくなります。肥満やうつ病にも関係してきます。

そして、子どもの場合は、体の成長や集中力にも悪影響を及ぼします。

みなさんも、たかがいびきと侮ることなかれ。