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小児の無呼吸症候群(2013年4月2日掲載)

新垣紀子・ちばなクリニック

成長、発達に悪影響

お子さんのいびき、あなどっていませんか? 大人の睡眠時無呼吸症候群は広く知られてきていますが、実は小児にもあります。

お子さんのこんな症状、気になりませんか? 睡眠中にいびきをかく、寝返りが多い、胸がへこむような苦しそうな呼吸をしている。日中は口をポカーンとあけた眠そうな顔つきの「アデノイド顔貌(がんぼう)」、イライラして怒りっぽい、授業中居眠りが多い、学校や保育園で落ち着きがないといわれる、成績がのびない、発育が悪い、胸の真ん中がへこんでいる、起床時に頭痛を訴える。

これは、もしかしたら「睡眠時無呼吸症候群」かもしれません。大人の睡眠時無呼吸症候群は、肥満や顎が小さいこと、加齢などが原因で発症します。しかし小児の場合、多くはのどちんこの左右に見える扁桃腺(へんとうせん)(イラスト参照)の肥大や、のどの奥にある扁桃腺のひとつであるアデノイドの肥大が原因で起こります。

お子さんのいびきが気になって受診し、「扁桃腺は大きいですが、成長過程なので心配はないですよ」と説明されるかもしれません。子供の扁桃腺は一時的に肥大し、4〜5歳でピークをむかえます。しかし、前述した症状がある場合、睡眠時無呼吸症候群の可能性があるのです。ですが、扁桃腺の大きさと重症度は、必ずしも比例しないということも分かっています。

では、どうしたらよいでしょうか? それは「終夜ポリソムノグラフィー検査」を受けることです。この検査は、睡眠検査室を備えた病院やクリニックで行われます。睡眠中のいびきの有無や大きさ、呼吸状態、血液中の酸素量の変化、睡眠の深さや質、無呼吸や低呼吸によって脳が起こされた回数、心拍数などを調べます。扁桃腺の肥大があり、無呼吸症候群と診断された場合は、手術を受けることになります。

寝る子は育つと昔からいわれています。もし睡眠時無呼吸症候群のような睡眠障害を放置すると、成長ホルモンの分泌量が低下し、小児の成長や発達に悪影響を及ぼします。

子供のいびきが気になる場合は、一度検査を受けてみることをおすすめします。