人間は若い時をピークに年をとると、体の機能が低下します。肌年齢、骨年齢、脳年齢などの表現があり、実年齢(本当の年齢)と比較して若い、老けているなどと一喜一憂しています。
呼吸器学会は3年前より肺機能検査から肺年齢という表現を提唱しています。多くの方は人間ドッグなどで検査を受けた経験があると思いますが、「%肺活量」「1秒率」などの数字が出て、分かりにくいです。人の肺機能は、25歳をピークに一年間に平均30ミリリットルの容量が低下すると考えられています。
肺年齢は性別、身長、1秒量で計算され、健康な人が年を重ねるにつれて落ちていく肺容量と比較して、自分の肺機能(肺の力)がどの年齢に相当するかを表したものです。
健康な人とはたばこを吸わず息切れの症状もなく、結核などの既存の肺疾患もなく、肥満もない人です。逆に言うと、これらの喫煙を中心とする生活習慣に起因して肺の力の低下が早くなり、肺年齢は実年齢と差が生じます。
肌年齢は肌のシミや弾力性などから自覚しやすいです。せき、たんの呼吸器症状は自覚したり他人に指摘されたりで病院を受診しますが、肺年齢は実年齢と大きく離れても日常生活が可能で自覚しにくいです。
車の排気量に例えると、若い時は3千ccのスポーツカーエンジンでどこまでも速く走れたが、年を重ねると次第に排気量が低下し、車体の大きさは同じですが千cc小型車エンジンの排気量へと低下してしまいます。一般道路は車として走ることは可能ですが、高速道路や坂道を登る時はあえぎながらやっと走っている状態です。肺機能低下が著しい人は、一般道路さえも走行が苦しい状態になり日常生活に制限が出てしまいます。
禁煙と極度の肥満を避けて、横隔膜を動かす有酸素運動を行えば、肺年齢は実年齢と懸け離れません。呼吸器学会は呼吸の日(5月9日)、肺の日(8月2日)を設定しています。普段は無意識の自分の排(肺)気量がどのくらいか、意識する日があってもいいと思います。