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腰痛(2013年1月29日掲載)

宮里剛成・大浜第一病院天久の杜

整形外科をまず受診

最初に強調しておきたいのは、腰痛は症状であって原因ではないということです。原因を見つけて治療しないと症状は改善しません。腰痛が出現したらまず近くの整形外科を受診し、正確な診断をつけてもらってください。

われわれ整形科医は診察により、骨の異常か、筋肉・筋膜の障害か、内臓(肝臓・膵臓(すいぞう)・腎臓)の病気か、感染による炎症やがんの可能性の有無などをチェックします。

大きな鑑別点は、背骨由来の腰痛は動く時に起こる痛みであるのに対して、内臓由来の痛みは動きに関連しない痛みだといわれています。

次に腰痛で鑑別すべき疾患の特徴をお話しします。

腎盂腎炎は発熱や叩打痛(こうだつう)、尿管結石は腰から鼠径部(そけいぶ)(脚の付け根部分)の痛み、腹部大動脈瘤(りゅう)破裂はショック(冷汗)や下肢まひ、腰の感染は発熱や股関節の運動時の痛み、帯状疱疹(ほうしん)(ヘルペス)は皮膚表面のピリピリした痛みなどが特徴です。

腰椎由来の代表疾患には急性腰痛症(ぎっくり腰)、腰椎椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、腰部脊柱管狭窄症(きょうさくしょう)、骨粗しょう症、脊椎圧迫骨折などがあります。しっかり診断をつけた後におのおのの疾患にあった治療法の選択が必要です。

治療はまず手術をしない保存的治療法(食事、コルセット、リハビリ、内服、ブロック)を行います。症状改善しない場合は手術的治療が必要になります。

最近の話題としては、2012年1月より骨粗しょう症性圧迫骨折に対して、バルーン椎体形成術が保険適応となりました。これはつぶれて変形した骨(脊椎)にバルーン(風船)を挿入矯正(元の形に近づける)後、比較的安全に骨セメントを注入する方法です。手術後すぐに座位をとることができ、翌日より歩行が可能になります。ただし、全ての患者さんに手術が適用されるわけではなく、事前検査による確認が必要です。

最後に繰り返しになりますが、腰痛は症状であって原因ではありません。原因をしっかり診断してもらい治療しましょう。