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足関節捻挫(2013年1月8日掲載)

仲宗根竜也・たつや整形外科

軽く見ていませんか?

「足首をひねって腫れたことがある」。自分自身や身近な人を含めて一度は経験、遭遇したことがあるのではないでしょうか。「ちょっとした段差で足首をひねった」「ジャンプし、着地の際にひねった」など日常生活ではよく耳にする話ですが、たかが捻挫(ねんざ)と軽く見ないで注意することが必要です。

足首の捻挫は程度を3段階に分けています。足首にある靱帯(じんたい)が伸びる程度を1度、靱帯の一部が切れているものを2度、靱帯が完全に切れているものを3度と分けています。

日常生活で経験、遭遇する足首の捻挫のほとんどは、1度や2度の捻挫なのですが、3度の状態をただの捻挫ととらえて適切な初期治療を行わないと足首に不安定な状態が残り、その後捻挫を起こしやすくなります。

初期治療(受傷直後〜2日)はまずRICE療法、R(rest:安静)I(icing:冷却)C(compression:圧迫)E(elevation:挙上、持ち上げること)です。最近はP(protection:保護)を入れてPRICE療法ともいわれたりします。

初期治療は炎症の広がりを抑える目的で行います。初期の炎症を抑えることは治療期間の短縮にもつながるので大事です。初期治療を行わず放置していると、捻挫をくり返しやすくなり最後には骨、軟骨へ影響し、変形性足関節症となり、足首の動きが悪くなったり、歩くたびに痛くなったりすることがあります。

「捻挫だと思い初期治療をしっかり行ったのになかなか痛みが取れません」と来院される方が時々いらっしゃるのですが、骨軟骨骨折(距骨離断性骨軟骨炎(きょこつりだんせいこつなんこつえん))を生じていることがあります。早期には診断がつかないこともあるので、長く続く足首の痛みは必要に応じてMRI(磁気共鳴画像装置)などの検査も必要です。

身近に見られる足首の捻挫ですが、見ためや触っただけで捻挫と判断するのは難しいので、骨、関節、靱帯疾患の専門である整形外科でレントゲンや超音波検査などにて正確な診断を受けることをおすすめします。初期治療が大事なのですから。