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薬剤性肺障害(2012年11月20日掲載)

屋良 さとみ・琉球大学医学部付属病院

サプリで起こることも

世の中にはさまざまな“お薬やサプリメント、健康食品”が大好きな人がいらっしゃいますね。全部合わせると一日に十数種類も飲んでいる方もいます。

これらは疾患(病気)の治療、診断、予防のために身体に投与(内服・注射など)するわけですが、適正量、適切な方法で投与したにもかかわらず、まれに有害で、本来の目的、作用でない反応(副作用)が起こることがあります。

その中で肺・呼吸器の反応(せき・呼吸困難、発熱等)が起こることを「薬剤性肺障害」といいます。しくみとしては、薬剤が肺の細胞、組織を直接傷害する場合と、アレルギーや免疫反応による場合の二つがあります。

比較的最近の日本のデータでは、抗がん剤で52.4%、抗リウマチ・免疫調整薬で27.4%と2種類で約8割を占めています。次いで血液製剤、抗不整脈薬、抗微生物薬(抗生物質等)、解熱鎮痛薬と続いています。

しかし健康食品、サプリメント、生薬に含まれる成分、非合法ドラッグなどでも起こってしまうことがあるのです。また、薬剤性肺障害は“日本人で頻度が高い”ことも分かってきました。

もし以上のような薬剤を飲んでいて、せき(からぜきが多い)、息切れ、発熱などが出てきたら、早めに病院を受診してください。呼吸困難、低酸素の程度によって軽症、中等症、重症に分かれます。症状までの薬剤投与期間は、薬によって数日から数週間、数カ月とさまざまなので気づきにくいこともあります。症状は普通の風邪とほぼ同じなので、のんびりして進行してしまわないうちに!

治療としては、まず疑わしい薬剤の中止をし、次に副腎皮質ステロイドの投与、呼吸不全への対処、全身管理を行います。副腎皮質ステロイドの適応と投与量は、原因薬剤、発症のしくみ、重症度などを参考にして決められます。

薬の副作用が出る出ない、出る程度は“人それぞれ”です。サプリメント、健康食品などにも注意して、呼吸の異変に気づいたら即受診を!