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マイカーをジムに(2012年11月13日掲載)

久田 友一郎・浦添総合病院健診センター

呼吸法でメタボ対策

最近、美木良介のロングブレス呼吸法、鼻呼吸など、多くの呼吸法ダイエット・健康法がメディアに登場している。釈迦(しゃか)は2500年前「健康の基本は呼吸法にあり」と説いている。筋トレには釈迦以来伝わる東洋的筋トレとマシンによる西洋的筋トレの2種類があると考えている。

2008年から、メタボ対策の一環として呼吸法の開発に取り組んできた。発端は禅の呼吸法。禅の呼吸法は、呼吸関連筋群の筋組織増加をもたらすと記され、長息法と短息法がある。

人の老化は脂肪組織増加と筋組織減少、骨密度減少、心肺機能低下である。禅の呼吸法は、心肺機能の向上、筋組織増加と脂肪組織減少。筋組織増加は、骨粗しょう症の改善につながることも予測される。

禅の本を参考に、車社会の現代人に適した呼吸法の模索が始まった。39歳の糖尿病男性に、夕食のヘルシーメニューと短息法の呼吸法を4カ月間試みた。体重は4キロ減、腹囲は4センチ縮小、血糖値も顕著に改善した。腹部CTでは、皮下脂肪優位の脂肪組織減少であった(皮下脂肪:内臓脂肪=2:1)。

私たちのこれまでの研究では、非肥満でも体重の微減と皮下脂肪減少、内臓脂肪の基準値内増減、中性脂肪低下、HDLコレステロール増加、腹囲縮小が認められた。肥満および非肥満で腹筋、背筋、四肢筋組織増加が見られ、体形もスリムとなった。

浦添市医師会とともに開発した短息法の呼吸法は座位の呼吸法、立位の呼吸法、釈迦の呼吸法、猫背改善呼吸法、ウオーキング呼吸法、マイカー呼吸法など。

最も習慣化しやすいのはマイカー呼吸法だ。ハンドルを握りしめ、息を吐いて吐いて吐き切る呼吸法。5秒くらいでおなかをへこましながら息を吐き切り、おなかの力を抜く。腹式呼吸ではない。吐いて吐き切る丹田呼吸法。信号待ち、渋滞時にお試しあれ。「あなた呼吸法やっている?」というマイカー後部に貼るステッカーを作るのが私の夢です。

詳細は、同市医師会ホームページ、アンチエイジング浦添モデル。当センターでは呼吸法道場を開設し、普及に努めています。